/s/[storyId]/_components/heading/assets/back_arrow_icon.4081080bcaba67b8.svg){kind=icon}
/s/[storyId]/_containers/report-container/assets/more-icon.20cfac1b79e24f56.svg){kind=icon}
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。
テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
タイトル、作家名、タグで検索
ストーリーを書く
テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
タイトル、作家名、タグで検索
ストーリーを書く
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。
Bluetoothでイヤホンを繋ぎお気に入りの曲をスマホで流す。
モグモグとパンの耳が口からはみ出ているがそんな事は気にしない。 何しろ
時間が無いのだ……
世間体？ 大丈夫。隣のおばさんだけはいつも笑顔で送ってくれる。
叩いても壊れない縫いぐるみ型の目覚ましは、その目的を達成するには至らなかった、任務不履行である。
何故って？
劈く意思表明を掻き消すべく叩くと、ポーンと静かに遮光の部屋へと転がる。それじゃあダメなんだ、ガシャンと派手に悲鳴を上げてくれなければ、この包まれた魔界の温もりからは抜け出せない。
電気毛布は現代悪だ。
父が通勤に乗っていた自転車の両立式のスタンドを、乙女とは到底思えぬ蹴りで以って派手に跳ね上げ、セーラー服は初夏の中を颯爽と飛び出して行く。
歴史文学をこよなく愛した父の形見。
私に見た事も無い、風に流れる景色を見せてくれるお気に入りの愛車だ。
交差点に差し掛かると、歩行者信号が青い点滅でその門戸を狭めようとしている。
美麗
立ち上がり間に一気にペダルに体重を掛けた刹那……
前輪の鍵に付けた小さな縫いぐるみが、
ガガガと車輪のスポークへと巻き込まれた。
美麗
―――昔聞いた父の言葉が蘇る―――
お父さん
お父さん
お父さん
お父さん
お父さん
その場で慌てて急ブレーキを掛けると、右側から赤信号を突破して猛スピー ドで車が突っ込み自転車の前輪を掠めて行った。
止まる事を知らない怪物が
まだ渡り切らない人々を跳ね上げる――――
地獄が口を開き、悪魔が微笑みながら心臓を摑み私の脳を傷つけた。
スローモーションで流れる映像は永遠と続き悲鳴に変わる。茫然とする最中、亡き父が背中を押してくれた。
美麗
交差点の中央で跳ね飛ばされた親子に近づく、
恐怖で足が竦み冷静さを失い掛けていた。
（お願い、お父さんどうか私に勇気を…… ）
小さな身体の男の子に近づく―――
美麗
学んできた事を全て此処で吐き出せ。
先ずは…… 外傷確認。鼓動確認。瞳孔反射確認――――
虚ろな瞳に意識は無い、涙が溢れ手の震えが止まらない。
雅人
声を投げたのは同じクラスの同級生の雅人《まさと》だった。堪らず声を大に泣き叫ぶ!!
美麗
雅人
美麗
小さな男の子の身体を横に、軌道に溜まった血液を吐かせる。ポッケからハンカチを出すと、いつ拾ったのか父から貰った小さなお守りの縫いぐるみが地面に落ちた。
男の子にお守りを握らせると、涙ながらに心肺蘇生を開始し、
失われゆく命を繋ぐ。
美麗
――――お願いお父さん私に、私にもう一度チャンスを下さい……
美麗
父を救えなかったあの時から看護師になると心に決めた。
その志は今、開花する。
男の子の瞳は徐々に光を取り戻し、
奇跡は舞い降りた。
小さな縫いぐるみをしっかりと握りしめたまま……
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！
