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記憶。約束。大切な人。

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記憶。約束。大切な人。

1 - 記憶。約束。大切な人。

♥

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2022年03月30日

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それは、消えても消せない記憶。

2011年 3月 11日

午前11時24分

あ〜もう明日で卒業か

3年間、早かったなぁ

明梨

うちら、ついに女子高生
名乗れなくなるね(笑)

なんか、やっぱり寂しいな

明梨

えー?

この道も毎日のように
歩いてたのに、これからは
通らなくなるんだなって

こうやって友達と帰るのも
当たり前だったのに

明梨

ここに残るんだから

明梨

響は別に寂しくないでしょ

明梨

来ようと思えばいつでも
来れるじゃん

そうだけど、

明梨とは
会えなくなっちゃうじゃん

明梨

・・・んふふ

東京行っちゃうんだもんね

明梨

行くよ

明梨

将来、美容室オープン
したいから

・・・遠いな、東京

明梨

大袈裟だよ〜

明梨

一生会えないわけじゃ
ないんだし

明梨

もしほんとに美容師に
なれたら、お店来てよね

明梨

響が最初のお客様だから!

明梨

──約束ね

うん

あ、そういえば明梨

柚希くんはどうするの?

告白、するの?

明梨

・・・しない!

明梨

つもりだったけど!

明梨

やっぱしよっかな〜

え?

明梨

親友がずーっと応援して
くれてたわけだし

明梨

卒業式のあと、
好きって言うだけ言ってみる

明梨

2年間の片想いに
終止符を打つわ!

・・・うん、がんばれ

明梨

んじゃ、私こっちだから

明梨

じゃーね!

・・・明梨!

明梨

・・・?

あのね

私もある。
明梨に言いたいこと

明梨

え?

明日の卒業式のあと、
屋上で待ってる

明梨

──うん、聞かせて。

・・・(*´︶`*)

明梨

じゃあ、また明日ね、響

うん、明日!

午後2時46分

〜♪ 〜♪

なんかおやつないかな〜

──ガタガタガタガタ!

え・・・!?

地震?

──ガタガタガタガタ

デカくない・・・?

・・・

とま、った?

応答なし

応答なし

お父さん、お母さん・・・!

繋がらない・・・

津波!?

陽太(弟)

おねーちゃん!

理音(妹)

響おねーちゃん!

陽太、理音!

大丈夫だった?

理音(妹)

怖いよ〜😭

先生

陽太くんと理音ちゃんの
お姉さまですか?

はい

先生

陽太くんは、避難の際に
転んで足を擦りむいて
しまいました

そうでしたか、、

陽太(弟)

これくらいヘーキだよ!

先生

理音ちゃんも無事です

本当にありがとうございます

2人とも、怖かったよね

偉かったね

理音(妹)

ママは〜?

・・・すぐ戻ってくるよ

午後5時17分

響!

響!

お父さん! お母さん!

理音(妹)

ママー!!

陽太(弟)

ママ・・・!

陽太、理音!

無事だったか、、

怪我はしてないか?

大丈夫

悪かったな、遅くなって

よかった・・・

心配で心配で・・・
何かあったら
どうしようって
震えが止まらくて・・・

電話も繋がらないし

もう、会えないかと思った・・・

よかった、
ほんっとによかった

午後6時51分

応答なし

応答なし

・・・

誰にかけてるんだ?

友達

もしかして明梨ちゃん?

・・・うん

大丈夫よ

午後8時55分

明梨の父

あの、響さん?

明梨のお父さん!

ご無事だったんですね

明梨の父

ああ、わたしはね・・・

「わたしは」・・・?

明梨の父

妻と明梨が・・・

明梨の父

まだ戻って来ないんだ

っ・・・!

明梨の父

もしかしたら響さんと
一緒かもしれないと
思ったんだが・・・

明梨の父

見て、ないよな

・・・お昼頃に、駅前で
別れて、、そのまま・・・

明梨の父

そう、か・・・

電話は・・・?

明梨の父

まだ繋がらない

多分ですけど・・・

おばあさんの家へ
行ったんだと思います

お饅頭の差し入れを
持っていたから・・・

明梨の父

・・・

連絡があったら、
すぐに報告します・・・

明梨の父

・・・ありがとう

4日後

医師

明梨さんに
間違いありませんか?

明梨の父

・・・・・・はい。娘です

・・・

明梨は津波に呑み込まれ

そして亡くなった

明梨の父

・・・明梨ぃぃ!

当たり前に来ると 思ってたいた『明日』は 二度と戻らない光となった。

警察

いまだ、奥様は行方が
分かっておりません

警察

心中お察し致します

明梨の父

はい

警察

そして今日はこちらを・・・

警察

明梨さんがあの日
持ち歩いていたものです

・・・

警察

お返しします

明梨の父

・・・ありがとうございます

どうして、、

どうして、明梨が・・・?

約束、果たせてない・・・

警察

・・・気休めになってしまう
かもしれませんが

警察

明梨さんは、
最後まであなたのことを
考えていたと思いますよ

私を・・・?

警察

彼女の携帯。
復元してみたら、
あなたとの写真が沢山
ありました

警察

そして・・・彼女は最後の瞬間
あなたに電話をかけて
いました

・・・!

警察

明梨さんはきっと

警察

人生最後の瞬間に
あなたを選んだのだと
僕は思います

・・・明梨・・・

明梨の父

響さん──ありがとう

明梨の父

明梨の未来は失われたけど

明梨の父

あいつにとって、
君と過ごした時間は
幸せだったはずだ

明梨の父

最後の瞬間を
君に捧げるくらい

明梨の父

明梨の最期が、、
大切な人への想いで
溢れててよかった

明梨の父

君でよかったよ

・・・明梨・・・

柚希

響ちゃん、久しぶり

ね、ほんと久しぶり

あれから全然
会わなくなっちゃったね

柚希

まさか、明梨ちゃんが
居なくなるなんて、
思ってなかった

私の大切な親友に

「明日」は来なかった。

柚希

響ちゃんも相当
辛かっただろう

柚希

一緒に卒業できなくて

・・・うん

『響〜!』

『こんな親友持てて幸せだわ!』

『もしほんとに美容師に なれたらお店来てよね』

『響は最初のお客様だから!』

『約束ね』

『また明日ね、響』

柚希

あ、ごめんごめん

柚希

こんな話しに来たんじゃ
ないよね

柚希

何、伝えなきゃいけない
ことって?

あれから長い月日が 流れた今も

約束は「約束」のまま。

・・・ごめんね

明梨ね、あのころずっと
柚希くんが好きだったよ

柚希

・・・!

卒業式に告白するって
言ってたけど・・・

今さらになってごめんなさい

柚希

・・・そっかぁー

柚希

遅かったんだな、俺が

柚希

明日も会えるって思ってた

・・・

柚希

当たり前に明日が来るなんて
言えるやつ、どこにも
いないのに

柚希

伝えればよかった

柚希

好きですって

柚希

俺もずっと彼女が好きだった

・・・

柚希

──響ちゃんには負けるけど

柚希

明梨ちゃんを想う気持ち

私が伝えるはずだった想いも

あの日に呑み込まれてしまった

6年後

いらっしゃいませ

加藤さま。
お待ちしてました
今日はどうなさいますか?

加藤

軽くカットでお願いします!

かしこまりました

加藤

響さん聞いてくださいよ

加藤

こないだついに告白
されたんですけど、
そのシチュエーションが
ダサすぎて!

加藤

残業帰りで化粧も落ちてて
眠気MAXの時に
告白します!?

加藤

全然ロマンチックじゃない!

でも告白されたなら
よかったじゃないですか〜

何だかんだで
そんなところも大好き
なんでしょう?

加藤

まーね♡♡

加藤

さっすが響さん!
よくわかってますね〜

加藤

結婚式のヘアメイクも
響さんに頼もっかな〜

もちろん喜んで

加藤

ほんとですかー?

加藤

──約束ですよ?

『約束ね』

・・・

加藤

響さん?

はい、約束です

それは、消せても消えない記憶。

果たされない約束も 色褪せず残り続ける。

明梨

響〜卒業式おめでとう!

明梨もおめでとう!

明梨

なーに? 話って

・・・明梨

──大好きだよ

明梨

明梨

ふふふっ、なにそれ

明梨

私も愛してるよ響!

──うん、愛してる(笑)

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