テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#びーえる
# こる
264
全ての収録が終わり、楽屋を出る時はいつも通りバラバラだった。「康二、また明日な!」と手を振るメンバーたちに「お疲れさん!」と笑顔で返し、向井は1人、夜の街へと歩き出す。数分後、あらかじめ指定されていた少し離れた通りの角に、見慣れた大柄なシルエットを見つけた。
向井康二
目黒蓮
目黒の車に滑り込み、ドアが閉まった瞬間、車内は2人だけの完璧な密室になる。 他愛のない仕事の話をしながら向かったのは、目黒の自宅。 エントランスを抜け、鍵を開けて部屋に入り、パチンと明かりが灯った瞬間に、昼間の「メンバーの向井康二」というフィルターは完全に剥ぎ取られた。
向井康二
言いかけた向井の言葉は、後ろから伸びてきた長い腕によって遮られた。 ガサリと上着の擦れる音がして、向井の身体が目黒の胸の中にすっぽりと収まる。
向井康二
目黒蓮
首筋に目黒の熱い吐息がかかる。その声は、昼間の楽屋で聞いたどのトーンよりも低く、独占欲に満ちていた。 目黒は向井の肩口に深く顔を埋め、まるで自分の存在を刻みつけるように強く、強く抱きしめる。
目黒蓮
向井康二
向井が慌てて振り返ろうとするが、目黒の腕の力は緩まない。
目黒蓮
向井康二
目黒は向井の身体をくるりと自分の方へ向けると、そのままリビングのソファーへと押し倒した。 昼間の衣装部屋での、あの焦れったいニアミス。 それを思い出すように、目黒の綺麗な瞳がじっと向井を見下ろす。 いつもは優しくて頼れる年下の恋人が、今は完全に「オトコ」の目をして自分を支配しようとしている。 そのギャップに、向井の心臓は再び跳ね上がった。
向井康二
目黒蓮
向井康二
目黒蓮
その切実な独占欲の言葉と一緒に、深い、深いキスが降ってきた。 昼間の焦りを取り戻すように、何度も角度を変えて重ねられる唇。 目黒の大きな手が向井のシャツの裾から滑り込み、熱い肌に直接触れる。 その指先が触れるたび、向井の身体は小さく跳ねた。
向井康二
目黒蓮
目黒は意地悪く微笑むと、向井の細い手首を頭の上で優しく、だけど絶対に逃がさない強さで片手で組み伏せた。 自由を奪われた向井の耳元に、今度は甘く掠れた声が吹き込まれる。
目黒蓮
向井康二
目黒蓮
楽しそうに、そしてどこまでも愛おしそうに笑う目黒の表情に、向井はもう降伏するしかなかった。 「もう……めめの意地悪……」と小さく呟き、自由な方の腕を目黒の背中に回して、自分からその体温を引き寄せる。 外の世界では、誰もが羨む輝く9人組のアイドル。 だけどこの部屋の中だけは、世界で一番お互いを求め合う、ただの恋人同士。 夜が更けるにつれて、ふたりの甘い吐息と肌の触れ合う音だけが、静かな真夜中の部屋にどこまでも溶けていくのだった。
コメント
1件
ああ、第4話、読み終わりました……!もう、冒頭から「今日はずっと我慢してた」って言いながら抱きしめるめめの独占欲がすごくて、胸がギュッとなりました。昼間の楽屋での距離感と、部屋に入った途端のスイッチの切り替わり方がたまらないです。特に「俺だけを見て」のくだり、あの切実さに康二が抗えなくなっていく流れが本当に自然で。アイドルとしての顔と恋人の顔、その二重性がこの作品の一番好きなところです。続き、気になります……!