TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

奥座敷の襖を思いっきり開いた

伴侶の名を呼ぶが返事がない

??

…………?

もう一度呼びかけ、探しまわるが……

どこにも伴侶の姿が見えない

??

まさか──

また外へと出たのか?

しばらく“外に出たい”と口にしなかったため、てっきり諦めたかと思ったが……

??

あいつの諦めの悪さを失念していた

??

??

絶対連れ戻す

ゆっくりと上半身を起こす

いつの間にか浴衣から、山伏の白装束に着替えられていた

 

 

僕の浴衣は?

咫穏

それならあそこにあるよ

白い浴衣はしょいこに掛けられていた

咫穏

きみの浴衣、雨で濡れてたし

咫穏

身体が冷えて、風邪引いたら大変だしね

 

…………

手足は包帯が巻かれている

咫穏

一応、応急処置はしといたけど

咫穏

どこか痛いところとかある?

 

──大丈夫

しばらく沈黙が漂う

なんたが気まずい

チラッと見る

カラスの面を被ってるため、表情はわからない

 

(なんで“アヤ”って思ったんだろう?)

なんとなく雰囲気が似てたからかな?

ピカっ

 

……!!

遠くで雷が鳴った

ますます雨が強くなる

カラス

カァ

咫穏

……はぁ、勘弁してくれ

咫穏

赤とうもろこし、今持ってないんだからさ

 

──赤とうもろこし?

咫穏

雷避けのお守り

 

…………

咫穏

大丈夫?

 

……え?

咫穏

顔が真っ青だよ

大丈夫か?

顔が真っ青だぞ?

咫穏

もう少し横になる?

咫穏

この子の名前、訊いていなかったな……

 

どうしたの?

咫穏

──きみのこと、なんて呼べばいいのかなって

 

…………

ゆっくりと口を開く

 

神巫

咫穏

かんなぎ?

咫穏

それがきみの名前?

神巫はこくりとうなずいた

咫穏

(“神巫”……本名じゃないだろうな)

咫穏

(──まぁ、それはともかくとして)

せっかく名乗ってくれたんだし

咫穏

(私も名乗らないとフェアじゃないよね)

一瞬、偽名を使うかどうか迷ったが……

咫穏

咫穏

シオン

神巫

…………

咫穏

私の名前だよ

咫穏

シオンと呼んでくれ

──██年前

??

違う……

??

お前じゃない!!

怒号が響きわたる

白無垢をまとった“花嫁”は恐怖で顔が歪んだ

 

い、いや……!

花嫁は逃げ出そうとするが足がもつれ、その場で倒れ込む

??

…………

 

た、たす……け……

そんな願いもむなしく、“花嫁”は──

喰われた

辺りは血肉が散乱していた

??

……いつになったら、また会える?

数百年以上経っても会えない

??

……いっそのこと、人間の村なんか

??

滅ぼしてやろうか

乾いた笑いを浮かべた

神巫

──シオン?

咫穏

うん。シオン

ドカーン

雷鳴が轟いた

神巫

……!!

咫穏

──近いな

咫穏

どこかに落ちたか?

……はぁ、はぁ……

神巫

はぁ、はぁ……

神巫

(あれ? なんだか息苦しい)

……はぁ、はぁ……

神巫

(息が……)

……はぁ、はぁ……

咫穏

大丈夫、落ち着いて

神巫の背中をさする

神巫

……はぁ、はぁ……

咫穏

ゆっくり吐いて

神巫

…………

ゆっくりと息を吐く

しばらくして、だんだん落ち着いてきた

呼吸がととのってくる

咫穏

神巫くん、少し落ち着いた?

神巫

──うん

さっきよりも顔色が幾分よくなっている

咫穏

よかった

──落ち着け

ゆっくり息を吐け

 

少しはマシになったな

神巫

……アヤ

咫穏

…………

神巫

神巫

あ、また……僕……

咫穏

気にしなくていいってば

咫穏

ほら、もう少し横になって──

神巫

…………

じっと見つめられた

咫穏

ん? どうしたの?

神巫

その、やっぱり──

神巫

ちょっとだけ、雰囲気が似てるなと思って

咫穏

誰に?

神巫

アヤ

咫穏

咫穏

──どういう“ひと”か、教えてくれる?

一応察しはついているが、あえて尋ねる

神巫

えーと、シオンと同じ服を着てて

神巫

口は悪かったけど、面倒見はよくて……

いろいろ特徴を聞いて咫穏は確信し、思わず額を押さえそうになった

咫穏

(九割九分、“あのひと”だ)

咫穏

(っていうか)

咫穏

(そんなに雰囲気が似てる?)

うーん

全然わからない──

ゴロゴロ

また雷が鳴りはじめる

カラス

……カァ

咫穏

まだ飛ばない方がいいかもね

咫穏

雷が直撃したら大変だし

神巫

…………

震えが止まらない

ぎゅっ

咫穏

ん?

神巫は咫穏の袖をつかんだ

神巫

……雷、怖い

咫穏

咫穏

気が休まるまでいいよ

??

……言ったはずだ

“外は危険だ。奥座敷から出るな”と──

少し甘やかしすぎてしまったか?

??

躾しなおさないとな

この作品はいかがでしたか?

49

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚