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部屋に帰って数分俺たちは何も話さず、沈黙の中で見つめ合っていた
俺はもちろん気まずさなんて感じるわけもなく、堂々と猿山の顔を観察している
猿山 らだ男
天乃 絵斗
俺の反応を伺いながらまるで触れてはならない話題に触れるかのように、彼は慎重に言葉を紡いでいるように見えた
天乃 絵斗
天乃 絵斗
猿山 らだ男
猿山 らだ男
天乃 絵斗
いつも通り接しているはずなのに、そんな疑問が浮かぶこと自体が不思議だったが本人もよくわからないらしい
天乃 絵斗
天乃 絵斗
「お前だろ?」と声にする代わりに、皮肉にも似た笑みを浮かべてみせる
するとその意図を理解したのか彼は苦笑いを浮かべた
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
天乃 絵斗
いたところで面倒くさいだけなのでいないほうがもちろん嬉しい
猿山 らだ男
猿山 らだ男
天乃 絵斗
俺のためにわざわざ邪魔な存在を遠くにやってくれたのだと考えると、自然と口元が緩んでしまう
そうして俺たちはそのあとは無言になる事なく楽しく過ごした
時間が過ぎるのはあっという間で、気がつけば数時間が溶けていた
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
ガチャ
天乃 絵斗
猿山 らだ男
別れはあっさりしていて、あまり言葉を交わすこともなかった
それが彼らしいと思えたから、俺も余計なことは言わず静かに玄関の扉を開けて外へ出た
すっかり暗くなった空を見上げながら、しばらく彼の家を見つめ深く息を吸い込んだ
天乃 絵斗
なぜ決意が固まったのか、自分でもはっきりとはわからない
けれど今ならやれる、そう強く思ったのだ
天乃 絵斗
職務上、拳銃所持が認められているがそれは非常事態に限られるので当てにはならない
天乃 絵斗
殺して仕舞えば拳銃を使ったなどは殆ど関係ないのに
そんなことを考えながら近くのダイソーを調べ鈍器を購入し彼の家まで歩いた
買い物中に猿山の妻が帰っていないのが気になったが駐車場に車がなくまだなのだとわかった
数時間前と同じように玄関のチャイムを鳴らすと、こちらへ向かってくる猿山気配がした
天乃 絵斗
鈍器を握った手をゆったりとした服に隠し彼が来るのをじっと待つ
猿山 らだ男
数秒して出てきた彼は、首をかしげながら不思議そうに俺を見ていた
それもそうだ
一度は別れを告げた相手が家に戻ってくれば、驚かないほうがおかしい
天乃 絵斗
猿山 らだ男
天乃 絵斗
彼は俺の言い訳に納得したのか家に招き、俺は鈍器を服に隠したまま、再びその家へと上がった
内心バレてしまうのではないかとも思ったがバレることは無かった
ガチャ
猿山 らだ男
天乃 絵斗
天乃 絵斗
猿山 らだ男
出口をひとつずつしかし確実に潰しながら、俺は彼のすぐ後ろをついていく
猿山 らだ男
天乃 絵斗
猿山 らだ男
猿山 らだ男
天乃 絵斗
俺より先に探し始める彼に少し申し訳なさを感じながら、屈んでソファーの下を覗く背中に静かに近づいた
猿山 らだ男
ライトを照らしながらあるはずもないキーホルダーを探す彼は無防備で、隙だらけだ
服の下に隠していた鈍器を手に取ると、手が震え、心臓の鼓動がやけに大きく速く耳に響いてくる気がする
天乃 絵斗
天乃 絵斗
猿山 らだ男
それでも、自分に喝を入れ震える手を振りかぶって彼めがけて振り下ろすが猿山が振り返り驚いて目の前で止めてしまった
猿山 らだ男
尻もちをついた彼の目は恐怖に満ち、今自分が殺されかけたとを瞬時に理解したようだった
猿山 らだ男
猿山 らだ男
理解したはずなのに彼は俺から距離を取ることはなく武器を渡すように説得しているようだ
天乃 絵斗
天乃 絵斗
彼の返事を待つ前に、ゴンッと鈍い音がリビングに重く響いた
今度は鈍器で強く殴れたので俺の額と近くの家具に血は派手に飛び散り、床を赤く染めていく
猿山 らだ男
ぐったり倒れた彼は虫の息で、 「どうして?」といいたそうに深い青の瞳がこちらを見ている
どうしてかなんて自分でもわからない
だが、確かなことが一つあるとすれば彼の今の姿にほっとしている自分がいるということだ
天乃 絵斗
ドクドクと彼の頭から溢れる血は温かく、触れていると不思議と心地がいい
天乃 絵斗
猿山 らだ男
トドメは刺さず、膝に乗せて撫でながら呟くと彼は不服そうな顔をした
猿山 らだ男
そんな彼が可愛らしくて撫でていると口が少し動いた
天乃 絵斗
しかし、最後の力を振り絞ったのか、それきり彼は一切反応を見せなくなった
天乃 絵斗
完全に息が途絶えたか確かめるように脈を取り
念のため蘇生できないように、自分の膝ごと猿山の頭めがけて鈍器を振りかぶった
天乃 絵斗
輪廻転生が本当に できるかなんて誰にもわからない
でも。祠とそれを信じた俺を信じたい
天乃 絵斗
温もりの残る指から指輪を外し 代わりに指を絡め、唇にキスを落とす
天乃 絵斗
天乃 絵斗
彼にしたときよりもさらに強くそしてためらわず 鈍器で自分の頭を殴り、鈍い痛みの中で意識を失った