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無那

な、何⁉︎

零礼

はあ⁉︎何が起こってるのッ⁉︎

無那

レイラさんも知らないんですか⁉︎

零礼

知る訳ないでしょッ⁉︎

無那

(ここにいたら建物が崩れる恐れがある...)

無那

(だったらその前に希空さんを連れて逃げないと...でも...)

私は目線を横にずらし 血の海に横たわる 希空さんを見た。

無那

(私1人じゃ希空さんを下の階まで運べる自信がない...)

無那

(一体どうしたら...)

無那

(いや、そんな考えてる暇はない‼︎いち早くここから脱出しないと...‼︎)

無那

(でもまずはレイラさんのナイフをどうにかしないと...)

私はチラッと彼女を見ると、 彼女は揺れた地面に足を取られ 体が後方によろめいていた。

無那

(今だ...‼︎)

私は彼女のもとへ走り出すと 持っていたナイフを奪い取る ことに成功した。

零礼

おいッ‼︎返せよッ‼︎

私は追いかけて来た彼女を背に 手に持ったナイフを近くに あった窓の外に放り投げた。

無那

逃げましょう‼︎希空さん‼︎

零礼

は?逃すと思ってんの?

するとレイラさんは足を 引きずりながらこちらに 向かって来た。

私はとにかく希空さんを 引っ張った。

しかし、その体は重く 数十㎝程度しか動かない。

希空

...ろ

その時、希空さんが 私に何かを呟いた。

無那

希空さん⁉︎

私は思わず希空さんに 駆け寄ると口元へ耳を傾けた。

すると希空さんは ゆっくりと私に告げた。

希空

希空

お前...だ...け...逃げ...ろ...

無那

そ、そんなことできませんよっ‼︎

無那

何がなんでもここから連れて帰ります‼︎

希空

もう...時間...ないんだ...

希空

頼む...

希空さんは真っ直ぐな目で 私にそう言った。

その時、私の背後から 男性の声が聞こえた。

「こっちだ‼︎」

無那

えっ...⁉︎

私は急いで振り返るが そこには誰もいなかった。

私が戸惑っていると 希空さんは一言私に言った。

希空

生き...ろ...

無那

....

無那

...分かりました

私は希空さんに背を向けると 声のした方向へ急いだ。

零礼

待てぇぇぇえええッッ‼︎‼︎

後ろからレイラさんの声が 聞こえた。

零礼

零礼

は?

私は彼女の恨みに満ちた声が 突然聞こえなくなったことを 疑問に思い一瞬だけ 後ろを振り返った。

希空

行かせ...るか...‼︎

そこには希空さんが 最後の力を振り絞り、 彼女の足を掴んで動きを 阻止している姿があった。

零礼

おい、離せよッ‼︎

彼女は右足で希空さんを 踏みつけた。

しかし希空さんは その手を離さなかった。

私が心の中で何度も 謝っていると、声が聞こえた 場所に辿り着いた。

無那

これは...

そこにあったのは 地上へと繋がる緊急脱出用の 滑り台だった。

無那

何でこんなものが...

無那

いや、迷ってる暇なんてない‼︎

私は重力に身を任せ 滑り台を滑った。

零礼

離せよぉぉぉッッッッ‼︎‼︎‼︎‼︎

私は必死にこの死に損ないを 引き剥がそうとした。

ゴゴゴゴッ‼︎

その時、建物は大きく傾いた。

零礼

ヤバイ...崩れる...

零礼

私は...こんなところで死ぬ訳には

ギィィィ...

零礼

...あ?

キリキリ...

突如、建物内に 鉄のようなものが 擦れる音が響き渡った。

零礼

何のお...と...

その音の正体はすぐ 私の目の前に現れた。

零礼

零礼

天体...望遠鏡...

それは建物の揺れにより 若干こちら側に傾いていた。

零礼

いや...やめて...

ギギギッ...

バキンッ‼︎

それは絶望の音だった。

零礼

何で...?何で...私がこんな目に...?

それは次第に加速をつけて こちらに傾いてきた。

零礼

私はまだあのクソ女を殺してないッッ‼︎‼︎

零礼

だからまだ...こんな場所で死ぬ訳にはいかないッッッ‼︎‼︎

零礼

お願いやめ

ドオォォンッ‼︎

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