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また、いつも通りの朝
僕は目を覚ます。
毎回おんなじ夢を見る
匂いも音も無い。
ただ、心臓の音だけがする
『どく。どく。』
『C-27、起床時間です』
スピーカーから声が聞こえる
優しい声。だが温もりはない
僕はゆっくりと起き上がる
ベッドの横には小さな箱がある。 今日の"テスト"の説明書
僕は字が読める 読めるように作られたの
「感情反応、記録」
僕は胸に手を当てる
『どく。どく。』
これは心臓だと教えられた
廊下に出ると僕と同じ白い服を着た 僕と同じくらいの年齢の子たちが並んでいた
誰も喋らない。
喋る必要が無いから
『君たちは特別だ』
『社会に役立つ』
『素晴らしい価値がある』
僕はこの言葉が嫌い
理由は分からない
今日のテストは泣くこと
僕の目の前には小さなぬいぐるみ
「これは君のものではありません」
「返して欲しい、と思ったら涙を流してください」
僕には理解ができない
僕の胸の奥がキュッとした
泣くこと、わからない
でも、
僕が言葉を発した瞬間 研究員?という人は眉をしかめてた
「命令違反です」
めいれい、?知らない。 いつもは"従う"
気がつくと僕の足は勝手に動いていた。 椅子を押して、扉に向かう
『停止してください。』
この声が廊下中に響き渡る
僕は気にせず足音を鳴らしひたすら走る
初めて、走る
心臓がずっと暴れている
『どく、どく、どく』
いつもより早い
怖い。かもしれない
走り続けていると 見知らぬ扉を見つける
少しだけ開いていた
隙間から冷たい空気が入ってくる
初めての匂い
後ろからは大人の声。番号を呼ぶ声。
でも僕は振り向かず、
この小さい体を利用して隙間に入る
僕は抜け出す
外に出た瞬間、何もかもが違った
空気も。音も。色も。
僕は『怖い』という気持ちになりながら
1歩を歩く
それが、初めての"自分で選んだ"1歩だった