「皆さん、今までありがとうございました」
「私はもうすぐ死にます。」
「最期に、今まで仲良くしてくださったお礼として」
「抽選でささやかながら金一封を差し上げます。」
「条件は当アカウントのフォローと拡散です。」
「皆様、今までありがとうございました。」
今までの沈黙が嘘かのように、エサに釣られた雑魚がどっと私の投稿に押し寄せてきた。
スマホの通知は止まる気配はなく、手の中で振動を続ける。
黒髪の柚
黒髪の柚
「物乞いの皆さん、お疲れ様でした」
「金に目が眩んだ亡者たちが押し寄せてくるのが、最期に見られてよかったです」
「拾い画を適当に加工しただけなのに、まんまと引っかかってバカみたい」
「もし本当に私のお金だったとしても」
「あんたたちに一銭たりともやるものか」
そう投稿した後、私はそれ以前の投稿……
クビカリ様とやり取りする以外のもの、私の痕跡を全て消した。
黒髪の柚
黒髪の柚
黒髪の柚
夕暮れの公園のベンチで、スマホ片手に歓声を上げる。
クビカリ様と会う約束をして以来、私は街をぶらつくようになった。
学校になんてもちろん行っていない。
だってそうでしょ?
今週中に死ぬ予定の人間が勉強して何になるの?
寝床の確保の為に、夜には帰るようにしてるけれど
もう「あの人」のお世話はしない。
「あの人達」はぐちぐち何かを言うけれど、聞こえないふりをしている。
「あの人」の事は、きっと何とかするんだろう。
黒髪の柚
黒髪の柚
黒髪の柚
帰路に着こうとベンチから立ちあがろうとすると……
瑠奈
瑠奈
瑠奈
瑠奈
黒髪の柚
黒髪の柚
黒髪の柚
瑠奈
瑠奈
……そういえばそんな事もあったかも知れない。
黒髪の柚
黒髪の柚
瑠奈
瑠奈
瑠奈はそう言って、私に細長いストラップのような物を見せた。
瑠奈
瑠奈
瑠奈
瑠奈
瑠奈
そう言って私のポケットに無理やり「それ」を押し込んだ。
瑠奈
瑠奈
瑠奈
瑠奈
黒髪の柚
黒髪の柚
そうぼやきつつも、貰ったグッズを公園のゴミ箱に捨てずに
ポケットに忍ばせたのはきっと……
瑠奈がほんの短い間だけでも、私の理解者でいてくれていたからだろう。
behead
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kubisama
kubisama
behead
kubisama
behead
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kubisama
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kubisama
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behead
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kubisama
kubisama
黒髪の柚
クビカリ様に二つ返事で了承したのはいいけれど
実は私は不器用で、工作の類は大の苦手なのだ。
家に帰る前に寄ったホームセンターでロープとハサミを買い
送って貰った動画を見ながら試行錯誤する。
黒髪の柚
黒髪の柚
黒髪の柚
そうやって10分ほど格闘し、やっと形になるものが出来上がった。
黒髪の柚
黒髪の柚
黒髪の柚
お母さん
お母さん
お母さん
……しまった、迂闊だった。
補導を恐れて家に帰ってきて練習してたけど
「この家の人たち」の存在を忘れていた。
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
黒髪の柚
黒髪の柚
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
お母さん
黒髪の柚
黒髪の柚
黒髪の柚
黒髪の柚
黒髪の柚
そう言って私は、スマホと出来たばかりのロープを掴んで
止めようとする母親を突き飛ばす勢いで部屋を出て、家を後にした。
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ここで使用している写真は、実際に私が撮った写真となります。皆さんも「お金配り系詐欺」にはご注意を。