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えっ、もう第5話……! 雨の日の傘のシーン、すごく好きです。「俺が濡れる方がマシ」ってセリフ、タイミングといい温度感といい完璧でした。それに「同じ顔だからじゃない」って言い切る吏玖くんの真剣さ、胸に響きました。壱也が気づき始めたのも、物語が動き出した感じでドキドキします。続きがすごく気になります!
ザーザーと激しく地面を叩く雨の音。 けれど、一本の黒い傘の下だけは、驚くほど静かで、そして熱かった。
山中絃花
少しでも離れようとすると、肩に添えられた吏玖の手のひらに、きゅっと微かに力がこもる。
榛野吏玖
吏玖は前を向いたまま、いつものけだるげな、でもどこか優しい声で言った。 私は、小さく跳ね続ける心臓をなだめるように、自分のブレザーの裾をぎゅっと握りしめる。
山中絃花
気づけば、ずっと胸の奥に溜まっていた疑問が、ぽろりと口からこぼれ落ちていた。学年トップだけど地味な私。いつもお姉ちゃんの後ろに隠れて、誰にも気づかれないように恋を諦めていた私。 そんな私を、彼はいつも見つけて、そっと救い出してくれる。 私の言葉に、吏玖はふっと足を止めた。 雨のカーテンに遮られた世界の中で、吏玖がゆっくりと私の方を振り返る。 そのクールな瞳の奥に、いつもよりずっと真剣な光が宿っていた。
榛野吏玖
山中絃花
榛野吏玖
吏玖の綺麗な指先が、私の濡れた前髪をそっと横に払う。 その指が、私の頬にほんの一瞬だけ触れて、火をつけられたように熱くなった。
榛野吏玖
優しく、でも真っ直ぐに紡がれたその言葉は、私の心の奥の一番柔らかい場所に、じんわりと染み込んでいく。 壱也を想って傷ついていた私の心が、吏玖の言葉によって、優しく解きほぐされていくのが分かった。
翌朝。雨はすっかり上がり、眩しい太陽が照りつけていた。 いつものように、紗花と壱也の後ろを歩いて登校し、教室に入る。
御影壱也
自分の席にカバンを置くと、窓際の席から壱也がひらひらと手を振ってきた。 そこまではいつも通りだったけれど、壱也はそのまま私の席まで歩いてくると、少しだけ声を低くして訊ねてきた。
御影壱也
山中絃花
心臓が跳ね上がる。 動揺する私を見て、壱也はニヤニヤとするわけでもなく、どこか不思議そうな、少しだけ驚いたような顔をしていた。
御影壱也
壱也の言葉に、私は言葉を探す。
御影壱也
壱也は腕を組んで、窓の外を眺めながら小さく笑った。
御影壱也
幼なじみとして、ずっと私を「妹」としか見ていなかった壱也。 その壱也が、私の周りに新しく吹き始めた『榛野くんという風』に、少しだけ気づき始めている。
榛野吏玖
後ろから、トントンと私の肩を叩く音がした。 振り返ると、そこにはいつも通りの眠そうな、でも私と目が合った瞬間にふわりと目元を和ませた榛野くんが立っていた。
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