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『桜の下で見つけた光』
四月。 新学期を告げる風はまだ少し冷たくて、けれど空は眩しいくらいに青かった。
唯奈
真新しい制服のスカートを整えながら、唯奈は稲荷崎高校の校門をくぐった。 周囲には同じ新入生たちがいて、みんなそれぞれ不安や期待に胸を弾ませている。
唯奈
並ぶ桜の花は、ひらひらと風に舞って髪に触れる。
中学の頃、バレー部のマネージャーをしていた唯奈にとって、稲荷崎は憧れの場所だった。 だけど、今日はただの入学式。まだ誰とも繋がっていない。
体育館に入ると、新入生たちが緊張した面持ちで椅子に座っていた。 先生たちや在校生が整列し、壇上には北信介主将の姿もあった。
唯奈
そんなことを思っていると、入学式が始まり、校長先生や学年主任の話が続いた。 ただ座って聞いているだけなのに、緊張で喉が渇いていく。
唯奈
式が終わると、担任の先生が新一年生を連れて教室へ戻った。
『新しい教室で』
teacher
教室に入ると、生徒たちは一気にざわめき出した。 女子同士で集まって自己紹介をしたり、男子がふざけ合ったりしている。
唯奈
窓際の後ろから二番目。 隣の席には、髪を肩まで伸ばした可愛い女の子が座っていた。
ひなた
唯奈
ひなた
唯奈
緊張が少しだけほどける。 教室の窓から見える桜は、まだ柔らかく淡くて、それが今日の心細さを少し慰めてくれるようだった。
主
主
主
主
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