TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

『 死を知った君へ』

一覧ページ

「『 死を知った君へ』」のメインビジュアル

『 死を知った君へ』

6 - 『死を知った君へ』

♥

210

2019年12月30日

シェアするシェアする
報告する

颯から手紙をもらって

私は

また手紙を書くことにした

でも

書くことが思いつかない

────ただ 颯と会話したいだけ

あの時に使った

レターセットが

まだ残ってる

颯へ

手紙…届いたよ

ありがとう

本当に

届くなんて信じてなかった

颯の手紙が届いたとき

半分は驚いたけど

半分は嬉しかった

本当だったら

“他界へ送れるポスト”とか

“死神”って

信じられないけど

颯の字を見たとき

本当だと信じた

心の底は今穴が空いてる

でも

颯が元気づけてくれて

私の穴は塞がってきた

ありがとう

ありがとう

ほんとにありがとう

また手紙送るね

菜乃花より

不思議と涙はでてこなかった

ちがう

ちがうんだ

私は颯に背中を押されて

涙が出なかった

まだ塞がってきた穴は

完璧に塞がるわけではない

まだ悲しい

颯に会いたい

けど私は

なか…ないんだ…

手紙を書いてから

1ヶ月ほどたった

今日

ポストがあるか確認する

菜乃花

……

菜乃花

…あ

菜乃花

…ない

菜乃花

さすがに…ないよね

私が裏道を出たとき

同じクラスの

あさひ

に会った

朝陽

菜乃花?

朝陽

こんなとこで何してんの?

菜乃花

えっ?

菜乃花

ちょっとね…

朝陽

なんだよそれ

朝陽

お前一人?

菜乃花

そうだけど

朝陽

学校まで一緒に行こうぜ

菜乃花

えっ…

菜乃花

いいよ…

私は颯が亡くなった日から

クラスの男子と あまり話さなくなった

朝陽

あ…あのさ

菜乃花

なに?

朝陽

え…っと

朝陽

はやて…って

菜乃花

ッ…!!

“はやて”

その3文字を聞くだけで

心が痛い

朝陽

あっ ごめ───

菜乃花

大丈夫

朝陽

ごめん

菜乃花

いいよ

菜乃花

それで……颯が

菜乃花

どうしたの…

聞きたくない

けど 聞きたかった

朝陽

菜乃花は

朝陽

颯と付き合ってるんだよ…な?

菜乃花

うん…付き合ってた

菜乃花

でも…私は颯が死んでも

菜乃花

颯のことは好き

朝陽

だよな

朝陽

急にごめん

菜乃花

私と颯がどうかしたの?

朝陽

いや、ただ気になっただけ

朝陽

朝からごめん

菜乃花

いいよ

颯と朝陽は仲が良かった

なのに なんでそんなこと聞くの…

先生

いきなりだけど

先生

今日席替えするよー

wwいきなりすぎません?

先生

昨日言おうと思ってたんだけどね

この席…気に入ってたのに

陽菜

菜乃花…

陽菜

大丈夫だよ

菜乃花

うん…

陽菜は颯が

いなくなった日から

私のことを励ましてくれた

陽菜は

「颯が亡くなった日から菜乃花変わっちゃったね」

と言って私を

心配してくれた

『6』

窓際の席

落ち着く よかった

陽菜

どこだった?

菜乃花

『6』

陽菜

私と真反対だ…

菜乃花

そっか

菜乃花

でも大丈夫だよ

菜乃花

休み時間に会いにいく

陽菜

うん

陽菜

私も会いに行ってあげる

机と椅子を引きずる音が鳴り響く

菜乃花

ここだ…

朝陽

菜乃花何番?

朝陽

おれ『6』

菜乃花

私も『6』

朝陽

よろしく

朝陽は優しいけど

しつこい女子には態度は冷たい

わかりやすい人だ

愛菜

朝陽くんよろしくね!!

朝陽

あぁ

朝陽

よろしく

朝陽が座ってる席は

颯が座ってた席だ

朝陽

菜乃花どうした?

菜乃花

ごめん、何でもない

朝陽とは

あまり話さなかった

だけど隣になってから

話すと…落ち着く

でも話してると

後ろからの視線が怖い

愛菜

菜乃花ちゃん

愛菜

今日先生が教室に残ってって

愛菜

言ってたよぉ~

菜乃花

そうなんだ

菜乃花

教えてくれてありがと

朝陽

今日 先生会議って…

菜乃花

なんか言った?

朝陽

あぁなんでもないよ

朝陽

………

私は1人も居ない教室で

窓際の席に座って

先生を待った────

机が叩かれる激しい音がなった

愛菜

先生来るわけないじゃんwww

菜乃花

えっ?

愛菜

あのさぁ

愛菜

朝陽くん私の

愛菜

“彼氏”

愛菜

なんだよねぇ~

愛菜

だ か ら

愛菜

近づかないで

菜乃花

えッ…

菜乃花

そう…なんだ

菜乃花

ごめん…

愛菜

次どうなるかわかる?

菜乃花

はい…

愛菜

それでいいんだよwww

愛菜は私の目の前で

見たことない

姿を見せた

椅子が倒れる音がした────

朝陽

何考えてんの

朝陽

お前の彼女にいつなったんだよ

朝陽

お前なんかの彼女になりたくねぇよ

愛菜

あ…朝陽くん?

愛菜

なんで…ここに

朝陽

あ?

朝陽

今日先生会議だから

朝陽

ここにいるはずないんですけど

朝陽

菜乃花を いじめるな

愛菜は走って教室を出た

朝陽

菜乃花…ごめん

朝陽

大丈夫…か?

菜乃花

うんッ…

涙がとまらない

とまらないよ

朝陽

ごめん…

菜乃花

大丈夫…ッ

颯がいたら

“泣き虫” って言われたかな

朝陽

泣くなって

菜乃花

うッ…

菜乃花

うぅッ…はやッて…

朝陽

…ッ!!

“泣くなって”

颯と言ってることが同じ

朝陽が颯に思えてくる…

朝陽

行こ

菜乃花

うん…

朝陽

いつまで泣いてんだよ

菜乃花

うッ…

朝陽

お前

朝陽

“泣き虫”

朝陽

だな

菜乃花

えっ…

菜乃花

泣き虫…じゃない…よ

菜乃花

泣き虫じゃない…よ

菜乃花

うッ…

菜乃花

はやッ…て

菜乃花

うッ…

朝陽

菜乃花…

朝陽

お前1人で抱え込むなよ

朝陽

泣け

朝陽

“泣き虫”

朝陽

って言わないから

菜乃花

言って…いいの…

菜乃花

ちがうッ…言って…ッほしいのッ

朝陽

そっか

朝陽

じゃあ

朝陽

もっと泣け

朝陽

“泣き虫”

たくさん泣いた

朝陽は何も言わないで

大きい手で

優しく撫でてくれた

颯と同じ

安心して

“泣き虫”って言ってくれて

優しく撫でてくれて

“好き” になったら

どうすればいいの

颯…教えて

『 死を知った君へ』

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

210

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚