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蝶屋敷の奥の部屋

無一郎が任務から戻ってきたのは、 つい先程の事だった

無一郎は、真っ直ぐ芙梛の部屋へ向かう

戸を開けると、 そこには静かに本を読んでいた芙梛の姿があった

芙 梛

ぁ、無一郎

芙梛の表情が一瞬だけ強ばる

先程まで、涙を流していたと悟られないよう

すぐにいつものような微笑みを浮かべてみせた

芙 梛

おかえり
任務、お疲れさま

芙 梛

早かったね

けれど、無一郎は返事をしない

ただ、じっと彼女の顔を見つめていた

芙 梛

...どうかした?

時 透

話したい

時 透

さっきの続き

芙 梛

...うん

二人は暫く黙って向き合う

外からは、 蝶の羽音と、木々を揺らす風の音が聞こえていた

無一郎は、静かに言葉を選ぶように口を開く

時 透

ずっと考えてた

時 透

...芙梛のこと

芙梛の目が僅かに揺れる

時 透

何処かで、昔...会った事がある気がする

時 透

思い出せないけど

違うよ

君が会った事があるのは、「 芙梛 」じゃなくて 「 蓮華 」なんだよ

君が求めてるのは、「 蓮華 」じゃない

私じゃないんだよ

時 透

でも、何かが、君の中にある "それ" を、僕に気づかせようとしてる

芙梛の指先が少し震える

やだ、気づいて欲しくない

君には気づかれたくない

知られたくないよ

芙 梛

...違うよ

芙 梛

私は、普通の女の子だよ...

そういった声は、何処か弱々しく、 今にも崩れそうだった

時 透

...嘘だよね

その瞬間、空気が変わる

芙梛の呼吸が止まったように感じた

無一郎は、真っ直ぐに彼女を見つめたまま続ける

時 透

嘘をついたって、君のこと
嫌いになったりしないよ

時 透

でも、ちゃんと向き合いたい

時 透

君が、どんな人でも...
僕は、聞きたい

時 透

芙梛の言葉で

芙梛は口を開こうとして、閉じた

そして、何かを堪えるように、ぎゅっと拳を握る

芙 梛

...全部は言えない

芙 梛

でも、...ほんの少しだけ

芙 梛

言ってもいい...?

時 透

うん

芙梛は深く息を吸って、そして静かに言った

芙 梛

...私ね

芙 梛

ずっと、誰かに名前を呼んでもらうのが、夢だったの

「 芙梛 」じゃなくて、 「 蓮華 」ってね

それは、 彼女が人としての心を残している証のような 言葉だった

無一郎は、優しく言う

時 透

...芙梛

その名前じゃないけど、今はいいよ

いつか、無一郎に「 蓮華 」って 言ってもらえると良いな

芙 梛

...ありがとう

鬼 と 人 間 は 結 ば れ な い

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コメント

6

ユーザー

うわぁぁぁぁぁーーーー!ヽ(^○^)ノ無惨許さない‼️ こんな可愛い子を鬼にしたことを❗️(#゚Д゚)ノ 続き楽しみにしてまーーーーーす‼️(〝⌒∇⌒〝)

ユーザー

あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ 読んでて切ない…!! 二人は幸せになってほしい……

ユーザー

めっちゃくちゃいい❣️うぅこんなにも悲しい恋があるのか、、、私は無一郎くんは本当に好いてるように見えた。忘れっぽい無一郎くんがあんなに覚えているから、、、本当のことを知っても嫌いにならないっていう保証はないけど2人には共通して辛いことがあるんだよね、、、よし!結ばれても結ばれなくてもこの作品を愛そう❣️そのくらい好きです❣️

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