陽菜
結衣、碧……。見て、今日のこの日差し。 合理的に考えて、太陽は完全に私に「ガチ恋」してる。
結衣
暑さで脳みそ溶けたか!! 8月の海なんだから暑くて当然だろ!自意識過剰も地球規模だな!
陽菜
違うよ。私が右を向けば右から照らし、左を向けば左から照らす。 これ、ストーカーの常套手段でしょ? でも、私はピンクの髪。太陽はオレンジ。 暖色系同士だとキャラが被るから、付き合うのは無理なんだ。 だから今から、太陽を正式に振るための「別れ話」を始めるよ。
結衣
話通じる相手じゃねーよ!!! 向こうは1億5千万キロ先だぞ!お前の声なんか届く前に真空で消えるわ!
碧
……陽菜、諦めるのは早いわ。 私のショールの中に、「宇宙用スピーカー(自作)」がある。 これを使えば、あんたの失恋宣告を核融合の爆音に乗せて太陽に届けられるわ。
結衣
それただの「メガホン」に「アルミホイル」巻いたやつだろ!!! 碧、お前も加勢するな!暑苦しいんだよ!
陽菜
いくよ。 (メガホンを構えて太陽を見上げる) 「ごめん太陽くん!君の熱い気持ちは嬉しいけど、私はまだ、地球の重力と付き合ってるから!!」
結衣
振る理由が壮大すぎて意味分かんねーよ!!!
碧
あ……見て。太陽が雲に隠れたわ。 陽菜に振られて、泣き出したみたい。
陽菜
罪な女だなぁ、私……。
結衣
ただの曇り空だよ!!! さっさと日焼け止め塗れ!
陽菜
結衣、碧。この「いちごかき氷」を見て。 合理的に考えて、これは「食べ物」じゃない。「概念の試食」だよ。
結衣
はぁ!? 500円払って買ったんだから、ただの氷といちごシロップだろ! 溶ける前にさっさと食べなさいよ!
陽菜
違うんだって。氷って、元は水でしょ? 水はH2O。つまり、私たちは今、「分子の集まり」をスプーンですくってるだけなんだ。 しかも、口に入れた瞬間消える。 これはつまり、「500円払って無を購入した」という高度な経済活動なんだよ。
結衣
難しく考えすぎだよ!!! 暑いから冷たいもん食う!それでいいだろ! 経済活動とか言いながら、シロップでベロ真っ赤になってんぞ!
碧
……陽菜、その理論は不完全よ。 私のショールにある「絶対零度の粉」をかければ、このかき氷は「永遠」になる。 食べても胃の中で溶けず、一生お腹の中でキンキンに冷えたまま。
結衣
死ぬわ!!! 腹壊すどころの騒ぎじゃないだろ! それ、ただの「おろしにんにく」じゃないの!? 匂うんだけど!
陽菜
解決策を見つけた。 このかき氷、溶けて水になったら、それはもう「いちごスープ」だよね? ラーメンの麺を入れて、「冷やしいちご麺」として売り出せば、私たちは海の家のオーナーになれる。
結衣
食中毒で営業停止だよ!!! 誰がそんなピンク色の不気味な麺を食うんだよ! ほら碧、お前も変な粉かけるのやめて普通に食べろ!
碧
私は……この氷の中に閉じ込められた「数万年前の空気」と対話してるから、忙しい。
結衣
ただの製氷機の氷だよ!!! 対話すんな!溶けるわ!
陽菜
結衣、碧、止めて。 目隠しして棒を持ってスイカの前に立つ。これ、合理的に考えて、一歩間違えたら地球を真っ二つに叩き割っちゃう。
結衣
割れるかボケ!!! お前の腕力で地球が割れたら、NASAが黙ってねーよ! ほら、目隠ししたんだからさっさと回れ!右だよ、右!
陽菜
待って、右ってどっち? 今、私が回転したことで、遠心力によって「右」という概念が霧散した。 今の私にとって、右とは「過去」、左とは「未来」だよ。 つまり、私は今、時間の狭間に立っている。
結衣
ただ迷子になってるだけだろ!!! 10回回っただけで時空を超えるな! いいから、そのまま3歩進んで振り下ろせ!スイカはそこだ!
碧
……陽菜、危ないわ。 そのスイカ、実はスイカじゃない。「偽装された小惑星」よ。 普通に叩くと、反動で陽菜のピンクの髪が緑色に変異する。
結衣
変異しねーよ!!! どんな呪いだよ!てか碧、お前はどこを見て「小惑星」だと思ってんだよ! 1玉1500円で買った、ただの甘いスイカだよ!
陽菜
わかった。じゃあ、衝撃を逃がすために、棒を振り下ろす瞬間に「全細胞の振動数」をスイカと同期させるね。 いくよ……「共鳴・スイカ・クラッシュ!!!」
ドゴォォォォン!!
結衣
砂を叩くなぁぁぁ!!! スイカの3メートル横だわ! 全細胞どころか、ただの腰砕けじゃねーか!
碧
……成功ね。 陽菜が砂を叩いた振動で、ブラジルの裏側のスイカが割れたわ。
結衣
そんな遠隔操作いらねーよ!!! 目の前のを食わせろよ!






