ひとつの影がパソコンルームに浮かんでいた。
何かを打ち込んでいるようだ。
チーノ
…なにしてんの?

チーノ
…何か言ってよ。
みんな向こうで集まって喋っとるで?

チーノ
しにーもおんのに、お前らしくないで。

チーノ
ロボロ。

ロボロ
…ちょっと気になったことがあったから調べとっただけやで?
なんでそんな咎めるように言うんや。

チーノ
じゃあその画面見せてや。
俺も色んなこと知りたいし、共有するべきやろ?

ロボロ
…くだらんことやから共有するまでもないで?

チーノ
…もう、さ。
わかってんねん。

チーノ
お前が内通者なんやろ?

ロボロ
…内通者って、失礼やなぁチーノ。

2人は暗がりの中で見つめ合う。
体の大きさはチーノの方が上なのに、ロボロの目はそれを感じさせないほど圧がある。
ショッピ
おーい、チーノ。
お前そんなとこでなにしてんの?

ショッピ
あれ、ロボロさんもおるやん。
なんかみんなここ来るらしいから……

ショッピ
チーノ、お前下がれ。

チーノ
ショッピ、なんで…

ショッピ
あれはロボロさんやない。
ロボロさんやけど、違う。

ロボロ
さすがショッピくんやなぁ。
危険を察知する能力が高いわ。

ロボロ
ホムラに懐いてるだけあるなぁ。

チーノ
ロボロ、何するつもりや。

ロボロ
…いままで取った情報は全部向こうに送ってきた。
お前らはちゃんと分析されていつか終わりが来る。

ロボロ
そうすればKの時代が来る!
早くそうなればええねん。

チーノ
いつから向こう側やってん

ロボロ
まあ、、蜘蛛岡が来た時からやなぁ。
そん時から俺は向こうで動いててんけど…
気づいとらんかったんやな。

ロボロ
だからお前はダメやねん。

チーノ
それは…っ

ショッピ
それはちゃうやろロボロさん。

チーノ
ショッピ…?

ショッピ
こいつは人一倍努力してここまでのし上がって来てんねん。
あんたが…俺たちが1番知ってることやないですか。

ショッピ
そんなこと言うやつは俺の仲間じゃないですわ。

ショッピ
チーノ、やるで。

チーノ
わ、わかった!

ロボロは武器を持っていない様子だった。
しかし、武闘派なロボロはそれで十分戦える。
ショッピとチーノは力を合わせて抑えようとしたが、ひらりひらりとかわされてしまう。
だが、これだけ大騒ぎしていると、いやでも他の人が気づく。
らっだぁ
おーい、何してんだ〜?
って、まじでなにしてんの!?

チーノ
らっだぁ!
ロボロや!
ホムラはロボロのこと言っとったんや!

らっだぁ
あー、なるほどね。
任せて、俺も手伝うから。

ロボロ
らっでぃはちょっと厄介やな…。

らっだぁ
ふん、そうだろ?
早く降参した方がいいと思うけどなぁ?

ロボロ
降参はしないけどね?

らっだぁ
もー、大人しくしてくれよ〜…なっ!

らっだぁも加わって、よレベルの高い戦闘になる。
部屋はぐちゃぐちゃ、互いに殴り殴られている。
しにがみ
え、何やってんすか!?

ロボロ
っ、しにー!?

ショッピ
今や!

しにがみが来たことによってロボロが一瞬怯む。
その一瞬の隙をショッピは見逃さなかった。
ロボロ
くっそ、離せよー!

らっだぁ
しにがみくんまじでナイスタイミングすぎ…。
ちょっとこの人連れてくの手伝ってくれん?

しにがみ
いいですけど…
ロボロさんが内通者だったんですか…!?

ロボロ
なんか、、しにーに言われたらなんも言えへんくなるなぁ…

らっだぁ
とりあえずは監視が行き届くところにいてもらおうか。
はぁ、、洗脳されてるとはいえ、ロボロさんにこれ以上酷いことできんし。

チーノ
……。

ショッピ
チーノ、大丈夫か?

チーノ
悔しいなぁ…。

ショッピ
なんで?
お前が見つけてくれたんやろ?
ひとまずちょっと安心できるやん。

チーノ
いやぁ…やっぱ俺ひとりじゃなんも出来ひんなぁと思って。

ショッピ
…らっだぁさん、あと任せてもいいですか?

らっだぁ
うん、いいよ。
ほら行くよロボロさん。

ロボロ
はぁ、わかったよ…。
まじで後で覚えてろよチーノ。

らっだぁしにがみに連れられ、ロボロは部屋を出ていった。
少しだけ静寂が二人の間に流れた。
チーノ
…俺さ、幹部の中でいっちゃん最後に入ったし、ポンコツやったやろ?
だからずっとここにいる資格ないんじゃないかとか思っててんな。

チーノ
でもみんながいっぱい褒めてくれて、実力もだいぶそれに着いてきてさ。
嬉しかってんな、俺。

チーノ
でも最近またちょっと自信なくしてる。
みんながレベル高い話し合いしとるの聞いても、自分はなんもいいアイディア浮かばへんし。

チーノ
…ショッピくんはすごいよ。
なんでもそつなくこなしちゃうし、信用も高い。

チーノ
ホムラはいつだって俺の事を認めてくれてたけど、あいつがおらんとどうにも…

ショッピ
…いいかよく聞けチーノ。
お前は俺にないもん持っとるんやで。

チーノ
お前にないもん?

ショッピ
努力できるところ。
こんな感じのこと前も言ったと思うけどな。
お前はお前やから。

ショッピ
頑張り屋なことはみんな知っとる。
ロボロさんもあんなこと絶対思ってないから安心し。

チーノ
うん、せやな。

そうは言ったものの、チーノは不安しかなかった。
ロボロという大事な戦力を失ったことは、おそらく自分たちにとって痛手になるということを危惧していたのだ。
ショッピ
…まあ、俺も不安やけどさ。
きっとなんとかなる。
俺らなら。

チーノ
ショッピ…

ショッピはチーノの心の中を読んだかのようにチーノに言った。
チーノ
ふふ、やっぱお前には敵わんなぁ…♪

ショッピ
おい、何笑ってんねん、元気づけてるんやけど!?
