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私
そう言って私は2階女子トイレ奥から3番目の扉を叩く。 キシッと音がして扉が開いた。
でも、誰もいない。
私
少しがっかりしながら中に入って洋式トイレに腰を下ろした。 今はお昼休みの真っ只中。 教室ではみんな仲の良い者同士が机を くっつけたりしてお弁当を広げているのだろう。
私
花子さん
私
花子さん
ふいに耳元で聞こえた声に妙な叫び声をあげた。 気づくとすぐ横に黒いセーラー服を着たおかっぱ頭の女の子が立っていた。
花子さん
私
花子さん
私
花子さん
私
花子さん
小首をかしげながら花子さんは私の顔を覗き込むように見つめてきた。
私
花子さん
用という程の用があったわけではない。 ただ、噂を聞いて半信半疑ながら試してみただけで……
花子さん
言ってる内容に比べて口調にそれほど非難の色は感じられない。 でも、大した用でもないのに呼び出したといったら 怒らせてしまうかもしれない。
私
いつもこうなのだ。人に何か言われても、 相手の気持ちを勝手に先読みして言葉が返せない。 怒らせないだろうか、傷つかないだろうか。 そしてそれによって自分が嫌われないだろうか。
結果として親しい友達もできず、いつも一人ぼっち。 お昼ごはんの時みんなが楽しくお喋りしている中を一人で食べるのがいたたまれなくなって、いつしか便所飯が当たり前になった。
そんな時たまたまみつけた学校の掲示板で花子さんの噂を目にした。 だから試してみたのだ。 人間の友達を作るのは難しい。お昼を一緒に食べられる相手も見つけられない。せめてお化けでもいいから傍にいてくれたら……。
花子さん
花子さんはゆっくりと私の頬に右手を添える。
私
それは想像以上に冷たく彼女がこの世ならざるものだということを 認識させるのに十分だった。ふいに怖くなる。
花子さん
その言葉の意味は更に恐怖を煽り私はシンプルにその言葉をひねり出す。
私
花子さん
言われてびっくりするような顔をする花子さん。
さっき、ここで物は食べない方がいいと警告もされている。 余計怒らせちゃうかもしれない。
花子さん
私
花子さん
私
花子さん
言って、私はおかずの卵焼きをパクリと口に入れる。 甘い出汁の味が口の中に広がった。
花子さん
私
花子さん
突然彼女は私の口に吸い付いてくる。
私
花子さん
私
花子さん
彼女の言葉が終わると同時に私の右手が勝手に動き お弁当の中身を口に入れていく。 私の咀嚼し飲みこみ終わった途端に彼女が唇を重ねてくる。 それは中身を平らげるまで続いた。
花子さん
そういう彼女に私は言葉を返せない。 その理由は先ほどのものとは異なっていた。 顔が火照っていて心臓がどきどきする。
花子さん
私
花子さん
私
花子さん
私
花子さん
私
花子さん
そこで私は理解した。 彼女は『トイレの花子さん』ではない。 戸がある所にならどこでも現れる。
私