死海で君と死にたい
世界でいちばん沈めない海――死海。
その静かな岸辺で、日本は愛おしそうに誰かの手を握り、穏やかに笑っていた。
「みんなと一緒なら、怖くない。」
そう言い残した日本は、ある出来事をきっかけに記憶を失っていた。
自分が誰なのか。何を守ってきたのか。なぜ心がこんなにも苦しいのか。
何も思い出せないまま、それでも仲間たちと過ごす日々は温かく、失われた記憶よりも大切なものになっていく。
しかし、忘れたはずの過去は、少しずつ日本を蝕み始める。
やがて日本がたどり着いた場所は、世界で最も沈めない海――死海。
そこで日本が最後に見た景色とは。
そして、「君」とは、一体誰だったのか。
これは、忘れることでしか生きられなかった一人の国が紡ぐ、静かで残酷な物語。