となりの加賀美くん
高校一年生の朝倉紗南には、六歳の夏から一途に想い続けている「王子様」がいる。
二歳年上の隣人、加賀美凌。彼を追いかけて同じ高校に入学した紗南は、いつか「妹」を卒業して、一人の女性として隣に立つことを夢見ていた。
そんな紗南の隣には、いつももう一人の加賀美がいた。凌の弟で、幼稚園からの腐れ縁である加賀美遥だ。
口を開けばケンカばかり。紗南の恋路を邪魔してはからかってくる遥だが、紗南が凌に振り向いてもらえず落ち込んでいる時、一
番に気づいて手を差し伸べるのも、また彼だった。
物語が大きく動き出すのは、紗南が意を決して凌に告白した、ある雨の日。
ずっと憧れていた王子様からの、予想外の拒絶。
「……ごめん、今はそういう気にはなれない」
失恋のどん底で泣き崩れる紗南。そこへ現れた遥は、無理をして笑おうとする彼女を無言で強く抱きしめる。
「……俺なら、そんな顔させないから」
遥の突然の言葉と、その腕の熱さに戸惑う紗南。さらに、そんな二人を見た凌の心にも、今まで抱いたことのない焦燥感が芽生え始める。
ずっと追いかけ続けてきた憧れの「加賀美くん」と、
ずっと隣で自分だけを見ていてくれた、もう一人の「加賀美くん」。
二人の兄弟の間で揺れる紗南の恋。最後に彼女が選ぶのは、どちらの「隣」なのか――。