翌日
除籍処分についての詳しい事情を聞くため
優真さんは芹沢さんのマンションから大学に向かった
大学側は除籍処分の通知を優真さんのマンションに送ったが
釈放されてからずっと芹沢さんのマンションにいて
通知が来ていることを知らぬまま過ごしていた
優真さんから何の返答もないことを不審に思った大学側は
一応、緊急連絡先として登録されていた龍一さんの所に
改めて除籍処分の通知を送ったのだと言う
通知を受け取った龍一さんは直ぐに大学に連絡を入れ
三村龍一
お金の話をして除籍処分の撤回を求めた
優真さんが除籍処分を受け入れる意思があることを伝えると
今回の除籍処分の撤回は不可能な事例であり
大学側が龍一さんの条件を受け入れることはなく
正式に除籍処分となることが優真さんに直接告げられた
三村優真
優真さんは潔くそれを受け入れ
三村優真
芹沢大和
同行した芹沢さんが事務所の住所を伝え
芹沢さんと共に事務所に戻ってきた
そもそも除籍処分の撤回が認められるのは
学費滞納などの案件に限られていて
今回のような事件が原因となる場合
除籍処分が撤回される可能性は極めて低い
それに加えて優真さんの事件はネットでも話題になり
一体どこから情報を得たのか
優真さんの過去についての書き込みも多数存在していて
大学が特定され大学名などが晒されると
一気にその大学の名は世間に広まり
大学側は名誉を守るため
優真さんを除籍処分とする決断を下した
梶原智香
三村優真
優真さんは龍三さんに連絡を入れ
大学のこととマンションを出る意思があることを伝えた
電話の向こうからは龍三さんの安堵する声と
恐らく龍二さんと思われる男性の声が微かに聞こえた
三村龍三
三村龍三
父親である龍一さんを見返すために必死に勉強し
優真さんは常にトップの成績をキープし続けた
高校生になってからはアルバイトをしながら勉強に励み
龍一さんからの仕送りには一切手をつけず
家賃と光熱費以外は全てバイト代から支払い生活を続けた
それでも埋まらない心に空いた穴に
愛情を求めて必死にもがいて彷徨い続けるも
結局は皆、優真さんから離れてしまった
一人寂しく帰るあのマンションが嫌だった
他に行く宛のない優真さんには必要なはずの部屋が
いつしか孤独の巣窟と化していた
そこに差し込んだ一筋の光
声を失った孤独な少女が
優真さんを孤独から救った
でももうあの部屋に彼女はいない
警察署を出てからマンションに戻らなかったのは
ただマスコミを気にしていたからではなく
独りぼっちの部屋に戻りたくないと言う気持ちもあった
三村優真
三村優真
沢田マリカ
三村優真
梶原智香
優真さんは山梨に行く決意を固めたが
三村優真
三村優真
三村優真
二人が過ごした三ヶ月は
本当に大切な時間だったのだろう
優真さんはまだ
自分のマンションに戻ることができないでいる
あすみさんとの思い出が詰まっていて
一歩でも足を踏み入れると
あの三ヶ月間が甦ってくる
離ればなれになるとわかっている今
あそこに戻るのは辛いのだろう
彼女はゆっくりと少しずつ回復していて
順調にいけばもうすぐ一般病棟に移れると言われているが
それは別れが近づいているということでもあるのだ
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