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じいちゃんのタイムマシーン

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じいちゃんのタイムマシーン

88 - 第八十八話:二人で内見へ

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2022年07月20日

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無事に撮影が終わり

丈ちゃんは前々から進めていた新居探しを本格的に始め

とある物件に辿り着いた

愛紗

え!?

愛紗

戸建ての賃貸!?

丈太郎

職場の人に部屋探ししてること話したら

丈太郎

知り合いの不動産屋さんを紹介してくれて

丈太郎

それでこの物件を進められたんどけど……

丈太郎

ダメだった?

愛紗

いや……

愛紗

全然ダメじゃないけど……

愛紗

まさかいきなり戸建てとは思ってなかったから……

結婚しても最初は丈ちゃんと二人きり

だから広い部屋は全く想像していなかった

そこに舞い込んできた戸建ての賃貸物件の話

愛紗

戸建てだと家賃とか高いんじゃ……

そこは元々、借り主の弟さん夫妻が住む予定だったのだが

入居直前で長期出張が決まり

その後も色々あって住めなくなってしまったらしい

丈太郎

定期的に掃除とかはしてくれてるらしくて

丈太郎

築年数はちょっと経ってるんだけど

丈太郎

中は凄くキレイなんだって

愛紗

へぇ

丈太郎

今度二人で……

丈太郎

見に行ってみない?

愛紗

うん

愛紗

私も見てみたい!

二週間後

いつものコンビニで待ち合わせ

行き先は丈ちゃんの職場の近く

だから何度も私がそっちに行くと言ったけれど

愛紗

朝早くて大変だったんじゃない?

丈太郎

大丈夫だよ

愛紗

私が行くって言ったのに……

丈太郎

いいじゃん別に

丈ちゃんは頑なにそれを拒否し続け

この日もわざわざ早く起きて迎えに来てくれた

二時間半以上かけて辿り着いた先には

想像よりも遥かに立派な家が建っていた

丈太郎

マジかよ……

愛紗

凄すぎ……

根岸作造

こんにちは

丈太郎

根岸さんですか?

根岸作造

根岸作造です

丈太郎

中崎です

愛紗

よろしくお願いします!

出迎えてくれたのは六十代くらいの優しそうな紳士だった

顔に似合わぬ作業着姿でにっこり微笑むその姿に

愛紗

(もしかしてこの人が……)

明日夢が言っていたお隣の大屋さんだと確信した

これから私達はここで暮らして

いずれ明日夢が生まれてくる

愛紗

(そう思うとワクワクするなぁ)

根岸作造

築年数は結構、経ってるけど

根岸作造

中はキレイなもんだよ

家の中にはソファなどの家具が既に置いてあり

全く築年数を感じさせない素敵な内装に心が踊る

根岸作造

元々は弟に貸すつもりだったんだが

根岸作造

弟の転勤のやら何やらで頓挫してしまって……

根岸作造

このソファやテーブルも使われないまま……

根岸作造

定期的に私や妻が掃除はしていたんだが

根岸作造

このまま無人にもしておけなくてね……

根岸作造

もしここに決めてくれるなら

根岸作造

ここにある家具は全て譲るから

愛紗

え!?

丈太郎

いいんですか?

根岸作造

まだまだ使えるものだし

根岸さんのその申し出に

私の心は完全に決まっていた

ここで暮らしたい

ここで明日夢を迎え入れてあげたい

そんな思いが強くなった

更に根岸さんは破格の家賃で貸してもいいと言ってくれて

丈ちゃんもここがいいと思ったみたいだった

丈太郎

今日はありがとうございました

根岸作造

いやこちらこそ

根岸作造

まさかこんな直ぐ決まると思ってなかったもんで……

愛紗

凄く素敵なおうちだったから……

愛紗

一目惚れしちゃいました

根岸作造

そう言ってもらえてうれしいよ

後日、仲介の不動産屋さんと共に契約書を交わすことになり

この日は一旦、家に戻ることになった

外観も内装も本当に素敵で

何よりも根岸さんの人柄にすっかり心を奪われてしまった

丈太郎

すんなり決まってよかったね

愛紗

本当によかった

愛紗

根岸さんいい人そうだし

まだ確証はないけど

きっとあの根岸さんがタイムマシーンを作ったじいちゃん

明日夢からは機械技術者だったと聞いていたし

あの作業着も普段の仕事で着てるものなのだろう

愛紗

楽しみだなぁ

丈太郎

そうだね

愛紗

一人でいいから子供も欲しいし

丈太郎

子供って……

丈太郎

気が早すぎやしませんか?

丈太郎

まだ籍も入れてないのに

丈太郎

俺だっていつかは欲しいけど……

五年前に明日夢が初めて会いに来た時

明日夢は私に未来のことを少しだけ話していた

愛紗

どこから来たの?

愛紗

西暦何年!?

明日夢

えっと……

明日夢

2031年……

愛紗

あんたの年齢は?

明日夢

十七歳……

私は瞬時に計算をして

明日夢が七年後に生まれることを知った

あれから五年……

つまりあと二年で明日夢は生まれてくることになる

"いつかは欲しい"と丈ちゃんは言ったけれど

そのいつかはわずか二年後にやってくる

出発してから三時間後

家の近くに着いた頃にはもう太陽が沈みかけていた

丈太郎

ちょっと遅くなっちゃったね

愛紗

仕方ないよ

愛紗

途中ちょっと渋滞してたし

丈太郎

でも本当によかった

愛紗

そうだね

愛紗

でもこれから大変だね

丈太郎

引っ越しの準備もしないとだしね

愛紗

うん

そっとキスをして車から降りる

丈太郎

じゃあまたね

愛紗

帰り気を付けてね

丈太郎

大丈夫だよ

丈太郎

帰ったら連絡するから

愛紗

うん

そのまま車は発進し

私は車が見えなくなるまで手を振って見送った

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