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部屋の中はやけに静かだった。
時計の秒針の音だけがやけに響く。
ソファに座ったまま俺はそっと自分のお腹に手を当てた。
山中柔太朗
ぽつりと呟く声は自分でも驚くくらいに優しかった。
少し前に決めた名前。 まだ呼び慣れないその響きを、心の中で何度もなぞる。 ——ちゃんと、守らなきゃ。
そう思えば思うほど、弱音は飲み込まれていく。
立ち上がろうとして、ふらっと視界が揺れた。
山中柔太朗
壁に手をついて、何事もなかったみたいに息を整える。
こんなの、ただの疲れだ。
そう言い聞かせるみたいに小さく笑った。
その日の夜。
佐野勇斗
玄関のドアが開く音に、柔太朗は少しだけ安心した顔をする。
山中柔太朗
キッチンから顔を出すと、勇斗が少しだけ眉を寄せた。
佐野勇斗
山中柔太朗
即答だった。
あまりにも自然すぎて嘘だってバレないぐらい。
勇斗はそれ以上何も言わなかったけど、どこか納得してない顔で荷物を置いた。
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夕飯の後。
佐野勇斗
佐野勇斗
山中柔太朗
佐野勇斗
その声は、仕事の時とは全然違って、驚くくらい柔らかかった。
佐野勇斗
山中柔太朗
佐野勇斗
勇斗はそう言って、もう一度優しくお腹を撫でた。
その仕草が、あまりにも大事そうで。
——ああ、この人、ちゃんと大事にしてくれてる。
佐野勇斗
山中柔太朗
佐野勇斗
さっきと同じ質問
でも今度は少しだけ真剣だった。
俺は一瞬だけ言葉が詰まる。
本当は少ししんどい 立ってるだけで息が上がることもある。
でも__
山中柔太朗
また"大丈夫"って言ってしまった。
勇斗は何も言わなかった。
夜。
ベッドの中で、隣にいる勇斗の寝息を聞きながら、柔太朗は目を閉じる。
その静けさの中で、さっきの会話が何度もよぎる。
山中柔太朗
小さく呟いてお腹に手を当てる。
守りたいものが増えた分だけ、強くならなきゃいけない気がした。
頼るのはまだ早いって
勝手にそう決めていた。
その時
トン、と小さな感覚が伝わる。
山中柔太朗
もう一度。
今度はさっきよりはっきりと
山中柔太朗
驚いたままそっとお腹を撫でる。
返事をするみたいに。 その時また小さく動いた。
思わず、笑みがこぼれる。
山中柔太朗
その実感が、一気に押し寄せてくる。 じんわりと、胸の奥が熱くなる。
山中柔太朗
今度は自分に言い聞かせるんじゃなくて
ちゃんとその子に向けて。
山中柔太朗
その言葉は優しくて、少し無理をしてる響きも混ざっていた。
翌日。
昼下がりのスーパー
カゴを持つ手にじわっと力が入る。
山中柔太朗
立っているだけなのに足元がふわふわする。
でも、ここで座るわけには行かない。
あと少し、あと少しだけ。
そう思って歩き出した瞬間_
視界がぐらりと揺れた。
思わず近くの棚に手をつく。
息が浅くなる
それでも、周りを気にして、なんとか姿勢を保つ。
大丈夫、倒れてない。
まだ、大丈夫
そのまま何事も無かったみたいにカゴを持ち直す。
でもその夜。
山中柔太朗
玄関に立った勇斗の顔を見た瞬間。
ほんの少しだけ、安心してしまった。
それを見逃さなかったのか、勇斗がゆっくり近づいてくる。
佐野勇斗
山中柔太朗
佐野勇斗
柔太朗は一瞬だけ目を逸らす 言おうと思えば、言えた
でも__
山中柔太朗
また笑う。
いつも通りのやさしい嘘。
勇斗は少しだけ間を置いてから、小さく息を吐いた。
佐野勇斗
それ以上は、踏み込まなかった。
夜。
また同じように隣に寝転がる。
距離は近いのに、どこか少し遠い気がしたそれでも。
勇斗の手が、そっと柔太朗のお腹に触れる
佐野勇斗
小さな声。
柔太朗は目を閉じたまま、少しだけ笑う。
山中柔太朗
本当は、不安もある。
でもこの時間だけはちゃんと幸せでいたい。
その温もりに包まれながら、
このままでずっといられたらいいのに__
そう思ってしまうくらいには
すべてが少しずつ限界に近づいていることを
まだちゃんと認められていなかった。
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続きは、、数時間後に出します笑(多分明日になる可能性もある)