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時刻は20時30分

波乱の一夜が始まった

私はうつむく少女…… 中村雨音を気にした

中村雨音

……。

新城綾香

あら、雨音ちゃん。橘真衣さんみたいになっちゃってるわよ?

橘真衣

……。

新城綾香

もう少し、お喋りだったはずねぇ。

中村雨音

……いや、別に……。

中村雨音は尚深く 項垂れてしまった

さて この状況を打開するには

一体どうすればいいだろうか

野嶋隆

……新城さん。そんなに責め立てるように問わなくていいのではないですか。

新城綾香

責め立てているわけではないですよ。私は事件解明へ向けて、生命線となる情報を大切にしているんです。

新城綾香

その大切な情報は、共有しなければならないですよね。私達は"仲間"なんですから。違いますか?

野嶋隆

ああ、そう、だね。

仲間……

この中に犯人がいる しかし それゆえに連帯感は強まる

その連帯感こそが 中村雨音に対するヘイトになってしまうのか

だとしても

中村雨音

……。

私はこの少女を追及できない

それに橘真衣

橘真衣

……。

彼女にも厳しい意見などできはしない

野嶋隆

待ってください。やはり、これは間違っていませんか。

神崎隼也

間違っている……?

野嶋隆

ああ。2人は何かを話し合った。だが、それは個人の尊厳を傷つけてしまうような、2人の間でしか共有できないデリケートな問題だと言うことはあり得る。

野嶋隆

私達に、それを問いただす権利なんかあるかい。ないだろう?

新海拓馬

おい、待てよじいさん。あの女の肩を持つのは癪だが、この場合においては、隠し事をするのは話が別じゃないか。

新海拓馬

だとすれば、中村とそこの橘とかいうやつから聞き出す権利を僕たちは持っている!

野嶋隆

新海くん。それが通用するのなら、私からも聞きたいことがある……君は年頃の男の子だろうから、精通は済んだだろうね?

新海拓馬

……は?え?は?

野嶋隆

君が初めて精通したのはいつ頃だい?変な意味じゃないさ。学術的な興味を私は持ってね。統計調査のためにも、君にはぜひ協力してほしい。

新海拓馬

い、い、いやそんなこと教えられるわけないだろバカかジジイ!あんただけは少しまともかと思っていたのにやっぱり色欲にまみれた変態野郎だったなこの野郎……

野嶋隆

新海くん。君は知る権利があるからって、個人の何から何までを聞き出せるわけではないと知っているだろう?

新海拓馬

い、い、いやそれは!!

野嶋隆

私が今言ったのは、極端な例だね。それは承知している。しかし、10代の若い女の子2人が秘密にしたいことだ。それは無闇に聞いていいものではないし、全く関係のないことを聞き出して傷つけてしまったらどうだろう。

野嶋隆

感心しない、そうじゃないかね。

新海拓馬

う、うーん。

精一杯のフォローであった

中々に苦しいフォローであるが これで中村雨音、橘真衣に対する ヘイトは緩和したのではないか

そう思った矢先のことであった

神崎隼也

………野嶋さん、俺は反対です。

野嶋隆

なに?

意外な人物からの反論だ

神崎隼也

個人の尊厳だの、デリカシーがどうのという話の次元じゃないでしょう。この事件が解けなかったら俺たちはどうなります?

神崎隼也

分かりませんよね。犯人側からの声明はこれ以上出ていません。もし、犯人の目的に見合うことを俺たちが成し遂げられなかった時、俺たちは……

俺たちは…… と、神崎は一瞬ためて

震える声で訴えた

神崎隼也

"皆殺し"にあうかもしれない!!

野嶋隆

か、神崎くん。

新海拓馬

み、み、み、皆殺し?

神崎隼也

ああ、そうだ。みんな、一度は考えなかったか?この事件の犯人を指名できなかった時、犯人は何をしでかすのだろうかと。

神崎隼也

愉快犯にしろ他の意図を持っているにしろ、快くは思わない。

神崎隼也

そこで、俺たちを殺すという選択肢になりはしないか。

中村雨音

や、やめてよ!!

神崎隼也

だったら、言えよ!!

咆哮が空気を伝う

びりびりと肌に突き刺さる

神崎は真剣な眼差しで 中村を見据えた

神崎隼也

中村、俺はね、真剣なんだ。分かるだろう?

神崎隼也

俺の言いたいこと……もう、単刀直入に言ってしまおう。

そう言うと 神崎は中村の隣に座している人物の方を向き

衝撃的な一言を投げた

神崎隼也

"犯人は橘真衣"
お前だろ!!

橘真衣

……。

中村雨音

なん、で…?

野嶋隆

な……にを。

新海拓馬

橘真衣が、は、んにん?

新海拓馬

は、はは。はははは!!

新海拓馬

………説明しろよ……神崎!!

神崎隼也

ああ。勿論だ。

神崎隼也

これについては、新城さんも同意見なんだそうだ。

新城綾香

ええそうね。推理も何もないわ。私達素人には、状況証拠からのロジックでしか導くことはできないけれど……。

こんなものを見つけたの

そう言って彼女が差し出したもの

それは……

新海拓馬

……た、橘真衣!!
それに、その2人は!!

新城綾香

ええ。あの和室で死んでる2人ね。

中村雨音

な、何でそれを持ってるの!!

和室で殺害されていた50代の男女と

無表情で写る橘真衣の姿

そう それは一枚の写真であった

新城綾香

…ふふ。何でって?本人が渡してくれたのよ。

中村雨音

真衣ちゃん……?

橘真衣

……。

中村雨音

何で?何でよ!

橘真衣

……。

中村雨音

何とか言ってよ!!

橘真衣

……もう、いいの。雨音ちゃん。

橘真衣は語り出した

あの2人は橘真と橘理恵という夫婦 そして自身の父母であること

ささいな苛立ちから あの2人をナイフで刺殺したこと

つまり 自身がこの事件の犯人であること

橘真衣

……これで、全部。

中村雨音

真衣、ちゃん。

野嶋隆

到底……信じられん。

橘真衣

……ごめんなさい。私が殺したの。

神崎隼也

本当にそれだけか?

橘真衣

……ええ。

神崎隼也

……ふぅん。

新城綾香

それにしても、やっぱり貴方が犯人だったのねぇ。最初から、怪しさ満点だったものね、橘真衣さん。

橘真衣

……。

新海拓馬

しかし……これで事件解決ということか?

新海拓馬

終わったのか?

野嶋隆

終わった……んだな。

本当にそうなのか

神崎隼也

全く長かったですね。

いや、何かが……

新海拓馬

ちっ。手こずらせやがって。殺人女め。

違う。足りない

中村雨音

真衣ちゃん……どうして。

私は何かを

新城綾香

後処理は、公的な機関がしてくれるわけね。流石に、私も疲れたわ。

頭の中を巡る言葉

前提?     矛盾?  症候群?  記憶?  心理? 目的?      犯人? ナイフ?  献花? 橘真衣?

橘真衣?

橘真衣

……。

救い

救い……?

もしかすると

もしかすると!!

ワスレロ スベテ

私の頭の中に声が侵入した

スベテヲ ナニモカモ

ハンニンハ タチバナマイ

ハンニンハ タチバナマイ!!

そこで、私の視界は暗転した

……ああ

私は生きているのか

死んでいるのか

もうわからない

どちらでもいい、と思う

暗い私の部屋で ただそんなことを思った

そう 関係ないのだ

私はXなのだから

私が犯人なのだから

天井を見上げていると

わずかに扉が開いた

光がさしこんできたからわかった

誰かが来たのだ でも、誰だろうか

私は鍵をかけたはず……

あれ?鍵を、鍵をかけたはず

鍵……鍵を握っているのは

私は飛び起きた

しかし、そこには既にナイフを持った黒い人間がいた

黒い人間は ナイフを振り上げ

私の胸に突き刺した

痛い 熱い 痛い 苦しい

意外にも出血は多くない

ナイフの柄まで刺さっているからか

ああ 意識が遠のいてゆく

何でだろう 何で何だろう

黒い人間は一言だけ残した

オマエラガ ワルインダ

そこで橘真衣は絶命した

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