凛
(やばい…)
私は、学校からの帰りの電車で
……痴漢にあっていた。
凛
(悠もいないし…)
凛
(どうしよう…)
__1時間前 in学校
クラスメイト
凛ちゃんのリュックについてるキーホルダー、私の好きなキャラだ!
凛
ほんと?
凛
私、このアニメ最近ハマったんだよね〜
クラスメイト
神アニメだよねー!
悠
なになに?何の話?
凛
アニメの話してたの
クラスメイト
まさか、こんなマイナーなアニメの同士がいるなんて…
凛
たしかに!なかなか見てる人周りにいないよね
悠
へぇ〜
クラスメイト
凛ちゃんともっと話したい!今日、一緒に帰ってもいい?
凛
…えーっと、私、悠と帰る約束だから…
悠
俺はいいよ、委員会で遅くなるし
悠
待ってるのも退屈でしょ?
悠
今日は、先帰ってていいよ
クラスメイト
悠くん、いい彼氏すぎるよ…!
凛
ありがとう、悠
凛
じゃあ、一緒に帰ろうか
クラスメイト
うんっ!
__そして今に至る
凛
(あの子、途中で降りちゃったから、しばらく1人だ…)
凛
(いつもはこんなに人が多い時間の電車に乗らないからなー…)
いくつかの駅に着いたが、開かない方のドアに追い詰められていた凛には、逃げ場が無かった。
凛
(こうなったら、大声出すしか…)
その時、痴漢をしてきた男が小声で話しかけてきた。
痴漢の男
…もし、大声で叫んだりしたら、殺す
痴漢の男
俺はナイフを持っているから、俺を痴漢で差し出す気ならお前が死ぬぞ
凛
(こ、怖い…!)
凛
(ケータイはリュックの中だから出せないし…)
凛は、怖くて泣いてしまった。
凛
……ぐすっ…ぅ…
悠
…俺の彼女に何してんの?おじさん
痴漢の男
!?
凛が後ろを振り向くと、男の腕を掴んだ悠が立っていた。
凛
……ゆ、う?
悠は笑顔を崩さず男に話し続けた。
悠
俺を殺したかったら、殺したらいいよ
痴漢の男
…なんだと?
悠
…でも、
悠の隣に立っている男性が、男を睨んでいた。
悠
この人、私服警官だから。
悠
俺を殺す前に、取り押さえられるよ
痴漢の男
…くそっ!
その後、私服警官が男を確保し、凛と悠は電車を降りた。
悠
…もうほんとに、ばか。
悠は凛を強く抱き締めた。
凛
…ごめ、なさい
凛
…たすけて、って言えなかった
凛
…怖かった
悠
…りぃは悪くないから。
凛
…でも、なんで悠がここにいるの?
悠
ははっ、やっぱ聞かれちゃうよね
悠
…ここ。
悠は、凛の制服の襟についていた黒いボタンのようなものを指さした。
悠
これね、盗聴器。
凛
盗聴…。
凛
(まぁ、悠だから今さらびっくりしないけど…)
悠
友だちが電車降りた時からずっと様子がおかしかったから
悠
途中で乗り込んだんだけど、GPSがついててもやっぱり人が多くて
凛
(GPSもあったんだ…)
悠
遅くなっちゃった、ごめんね
凛
でも、来てくれた
凛
悠は、いっつも私を助けてくれるよね
悠
…俺がりぃを助けないわけないでしょ
悠
りぃがいなかったら俺生きていけないし
凛
…ふふっ、そういうのヤンデレって言うんだよ
悠
へぇー、りぃは?
凛
え?
悠
りぃは、俺がいなくても生きていける?
凛
…そんなわけないじゃん
凛
悠がいないと生きていけないよ
悠
一緒だね
悠は、そう言うと無邪気な笑顔を見せた。
ちょっと異常な愛だけど、たくさん愛してくれる
かっこよくて優しい私だけの王子様。
愛し愛され
私は、今日もヤンデレ彼氏と__
【完】