紫央
、、内緒
切なそうな彼の顔に光が照らされる。
その光につられるように、俺らは目を空へ視線をずらした。
ドォォォォン、、、
赤、桃、白、、と花火はどんどん打ち上げられていく。
橙樹
、、綺麗やなぁ、、、
紫央
、、そうだね
好きな人と見る花火はこんなにも綺麗なのか。
そうなんだったらまた来年も、再来年も、彼と___。
紫央
、、でいて、、い
花火の音にかき消されて聞き取れない。
、、今なんて?
俺の心を聞き取ったかのように、なーくんは俺の耳に近づき内緒話をするかのように囁いた。
紫央
俺の事、好きでいて。、、あと、もう少しだけ、待って___
予想外過ぎる言葉に俺は声も出ない。
そんなことお構いなしになーくんは俺から離れ、続けた。
紫央
一生に一度のお願い。我慢だけど、、ちゃんと考えて返事したいの。もう少し、、、お願い、、
彼の言葉に溢れ出る思い1つ1つに、俺は耳を傾ける。
橙樹
、、ええよ
紫央
、、、!!ジェルくん、、
ホッと一息ついた彼に俺は1つ決め事を提案した。
橙樹
、、、その代わり、期限決めてええか?
紫央
うん、全然。ジェルくんには迷惑かけてばっかりだから
即答でそう答えるなーくん。
橙樹
、、、体育祭。夏休み明けの生徒会選挙が終わった体育祭の後。で、どや?
紫央
え、、え?そんな待ってくれるの!?選挙前とかでも、、
橙樹
なーくんに無理な選択させたくないねん。な?
紫央
、、、、ありがとう
橙樹
約束、な
少し困惑した表情のまま、なーくんはまた花火へと目を向けた。
紫央
あ、ハートの花火、、
橙樹
何やと!?写真!写真!!というかなーくん、写真撮ろ!?今は告白どうこうやない!!花火や!!
紫央
、、、うん
薄く微笑む彼に俺も笑い返す。
真っ赤な彼の耳に気づかないまま、花火の時間は過ぎていったのだった。







