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主。
主。
主。
主。
いつも通り病院での面会手続きを済ませた俺は、 まだ慣れない新しい病院の病室のドアをコンコンと叩く
Ak
帰ってきた友人の声にガラッとドアを開けると、 そこには車椅子に座って窓辺で本を読んでいる身長の高い青年がいた
Pr
Pr
Ak
俺がその名を呼びながら青年に声をかけると、彼は嬉しそうに笑って 手元の文庫本をサイドテーブルに置き、俺の方に向き直る
Ak
Ak
Pr
少し目を伏せた俺を見ながら、 Akは申し訳なさそうな顔を浮かべてこんなことを言ってきた
Ak
Ak
Pr
Pr
Pr
Pr
Ak
Ak
そう言って辛そうに目を伏せたAkを見て、 Akの足が動かなくなってしまった原因でもあるあいつらに 行き場のない激しい怒りが湧いてくる
しかし、すぐにあいつらがAkを傷つけた理由を思い出して 何も言えなくなってしまった
Pr
Pr
Ak
しばらくその場に気まずい沈黙が落ちたが、 そういえば、とAkは明るい表情を繕って俺に尋ねてきた
Ak
Ak
Pr
Pr
Pr
Ak
Pr
Pr
Ak
Pr
Ak
そう言ってにこりと微笑んだAkに胸がドキリと高鳴って、 1人でこっそりため息をつく
Pr
今まで何度も自覚してきた自分の淡い恋心を今日も思い知ったが、 すぐにAkがここにいる理由を思い出す
Pr
Ak
Pr
Pr
Ak
途端に嬉しそうに目を輝かせたAkに俺は笑いながら、 ジャガイモの刺繍が入ったエコバッグから今日図書室で借りてきた文庫本を サイドテーブルに置いていく
Ak
Ak
わくわくした様子で俺が借りてきた文庫本を物色しているAkを見ていると、 見知らぬ場所にいたことで無意識のうちに溜まっていたのであろう疲れが 全て飛んでいくような心地がする
Akの視線に誘導されてサイドテーブルに目を向けると、 そこに見覚えのない本があることに気がついた
Pr
その本を手に取ってよく観察してみるが、 表紙が美少女のイラストだったり、文庫本にしては長い題名だったりから いわゆるライトノベルというやつだろうと予測する
でも、Akが好きなのはこういった比較的軽めな物語ではなく、 今日俺が学校で借りてきたようなまさに本というような純文学であるので、 この本が彼のサイドテーブルにあるのはいささか不自然な気がした
Pr
Ak
俺の問いかけを受けてAkは、 サイドテーブルに大量に置いてある文庫本の山から視線をこちらに写し、 俺の手元にあるライトノベルを見る
Ak
Pr
Ak
Ak
Ak
Pr
Ak
Ak
Pr
Ak
Ak
Pr
Ak
Pr
Ak
Pr
Ak
Ak
そう言いながら嬉しそうな笑顔を浮かべるAkを眺めていると、 コンコンとノックの音がして看護師さんが入ってきた
Kty
Ak
Pr
Kty
Kty
Ak
Pr
友人の言動に呆れてる俺を見て看護師さんが笑っていると、 Akがねえねえと彼に話しかける
Ak
Kty
Kty
Ak
とても嬉しそうにしているAkに看護師さんが笑い、 手に持っていた先ほどと同じ美少女が表紙に描かれた本を数冊、 本で溢れかえっているサイドテーブルに置く
Pr
Ak
Pr
Kty
Ak
看護師さんがついさっき俺が手に取った本を回収していき、 それじゃあまた来るね、と言いながら病室を後にする
本に囲まれて幸せそうにしている親友に、 俺は西に傾き始めている太陽を見ながら声をかける
Pr
Ak
少し寂しそうにしているAkに俺も寂しくなるが、 流石に規則を破るわけにはいかないのでグッとこらえて俺は続けた
Pr
Pr
Ak
本を手にとりながら俺に手を振るAkに手を振り返しながら、 俺は病室のドアから外に出て1人で暮らすアパートに向かって歩き出した
いつも通り隠された上履きを回収してから席に着くと、 Prが転校してきて以来変わらない明るい笑顔で声をかけてきた
Pr
Mz
Pr
Mz
オレの言葉にPrが笑い、 それを見たクラスメイトがこちらに敵意のこもった視線を向けてくる
Mz
Mz
Pr
Mz
オレがそう尋ねるとPrはきょとんとしたような表情を浮かべ、 こてんと首を傾げながらこう答えてきた
Pr
Mz
Mz
Pr
Pr
Prが放つその言葉にポカポカして少し嬉しくなったが、 自分の性格上素直にそれを伝えることはできなかった
Mz
Pr
Mz
Pr
そこまで言ったところで、Prは何かを思い出したようにこう言ってくる
Pr
声をかけるべきか迷っていたことを 相手が言ってくれたことに少し安心しながら、オレは彼に返事をした
Mz
Pr
Mz
Pr
Pr
Pr
Mz
Pr
彼と昼休みの約束をしたところで、 いつもの熱血系担任が教室に入ってきたので、オレたちは雑談を止める
それを少し残念に感じた自分に気がついて、 少しずつPrと一緒にいて楽しいと思えるようになってきたらしいと悟った
ちょっとだけ、生きてて良かったなと思った
昼休みにオレとPrが2人で図書室に入ると、 優しい笑顔を浮かべたTg先生が出迎えてくれた
Tg
Tg
Pr
先生の言葉にそう返したPrは、オレの方を向いてこんなことを聞いてくる
Pr
Mz
Pr
Mz
そこでPrとは一旦別行動することになり、 オレは少し前にAtに教えてもらった本の題名をメモした紙を片手に 彼がオススメしていたラノベを探す作業に取り掛かる
Mz
Mz
この学校の図書室は他と比べても広いし、 ここにちゃんとあるかどうかすらもわからないので このまま探していても埒があかなそうだ
Atが教えてくれた新しい世界を早く体験してみたいという欲求も相まって、 オレは本の正しい探し方を知るためにTg先生に聞いてみることにした
Mz
Tg
Mz
Tg
Tg
Mz
Tg
そう言いながら先生が連れていってくれた棚には、 オレが本と聞いて思い浮かべるようなものよりもとっつきやすそうな 小説たちが並んでいた
Mz
Tg
Tg
Mz
Tg
Mz
言われてみれば、一番左にある本はタイトルが「あ」から始まるもので、 そのあとは題名の頭文字の五十音順で綺麗に並べられていた
Mz
Tg
Tg
Mz
オレの返事を聞いて笑いながら頷いた先生がカウンターに戻っていくのを 見送りながら、オレはメモに書かれた題名の本を探していく
Atが見ている世界を少し知れるかもしれないという期待に胸を躍らせながら、 丁寧に彼が教えてくれた本を探していくと、 慣れている人よりは時間がかかったものの なんとか目当ての本を見つけることができた
Mz
そうっと本棚からそのシリーズの一巻を引き出すと、 そこには可愛らしいデザインで書かれているメモと同じ文字の羅列と、 アニメっぽい絵柄の美少女のイラストが載っている
パラパラと軽く本をめくりながらその内容に目を通すと、 挿絵も結構たくさんあってこれならオレでも読めそうだと感じた
Mz
オレがその本を持って先生のいるカウンターまでいくと、 一冊ね、とつぶやいたTg先生が貸出手続きを行う
Tg
Mz
Tg
ニコッと笑ったTg先生から生まれて初めて借りた本を受け取り、 窓際にある読書スペースに座って胸を躍らせながら表紙をめくる
タイトルのページの後に人物紹介があり、 それらを確認した後で本編を読み進めていくと、 オレは少しずつ現実を忘れて本の世界に没頭した
Pr
聞こえてきた声にびっくりして声がした方に目を向けると、 そこには少しずつ見慣れてきたPrの顔があった
Mz
Mz
Pr
Mz
Pr
Mz
Pr
Pr
Mz
オレが本を閉じてその表紙を見せると、Prは少し驚いたように目を見開いた
Pr
Pr
Mz
Pr
Pr
Mz
Pr
Pr
Mz
Pr
Mz
Pr
Tg
Tg先生の声にPrと2人で「わかってます!!」と返事をして、 オレ達は授業に間に合わせるために気持ち早歩きで教室に戻った