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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

影山アストに何をされたのか、次々と ここから姿を消してしまったみんな

百瀬

(っ違う、今は絶望してる場合じゃない!!)

百瀬

おい!! お前みんなに何しやがった!?

アスト

簡単なことだ。能力による幻覚と軽い精神支配、後は魔法具の力を使った

百瀬

魔法具……!?

アスト

“光の加護”。光の魔力を使って作られたという、遥か昔の指輪型魔法具だ

そう言って、さっきまでしていた 黒い手袋を外して、左手を見せられる

その中指には確かに、月明かりで 金色に光る指輪がはめられていた

アスト

これをはめた手で人や物に触れると、任意の場所へ“テレポート”させることができる。使用回数は約10回。

アスト

他に質問は?

百瀬

え……み、みんなをどこにやった!!

意外にも友好的な態度を見せられて、 少し戸惑いつつも質問を続ける

百瀬

(こいつ、俺を飛ばす気はないのか……??)

アスト

……その問いに関しては、今後のお前によって返答を変えることになる

百瀬

……?

アスト

サージェンツ家の末裔、鳴海百瀬。

アスト

──貴様がBoEに加入すれば、教えてやろう

百瀬

なっ……!?

まさかBoEの本当の目的は、 俺達全員じゃなくて、 俺1人だけだったのか……??

百瀬

(みんながいる場所の情報と引き換えにって……)

アスト

但し。

アスト

……もし断るのであれば、奴らの命の無事は保証できない

百瀬

っ──!?

アスナ

邪魔なゴミは捨てて終わり、後は燃やすだけ。

アスナ

……ただ、天宮翔太だっけ。あれだけはちょっと違うけどね。だって……

アスト

アスナ

アスナ

う……はいはい、ごめんって。ちょっと口が滑っただけじゃん

命の無事を保証できないって、 こいつら一体何するつもりだ……!?

百瀬

(しかも、天月君だけ違うって一体……)

アスト

話を戻すが。

アスト

魔力覚醒した貴様には、是非我々と共に来ていただきたい

アスナ

私らはアンタに危害を加えるつもりはないんだよ。寧ろ仲間として歓迎するつもり

アスト

どうだ? 俺達と共に、世界をひっくり返す気はないか?

1人になってしまった背で、 2人の相手と対峙する

百瀬

(みんなを助けるには……あの手を取るしか、ないのか……??)

アスト

……鳴海百瀬。お前はどの道を選ぶ?

百瀬

っ……。

百瀬

……くっそ……。

百瀬

…………分かったよ……入りゃ良いんだろ、BoEに

 

アストの指輪の力で、 とある場所へと連れられる

どこかの森の中に、鳴海と似たような デカい日本家屋が建っている場所

百瀬

ここは……?

アスト

影山家本部。我らBoEの本拠地だ

着いて来いと言うように、 俺の前を歩いて行くアストとアスナ

百瀬

(いきなり敵の本丸かよ……)

警戒しつつ2人について行って、 建物の中へと入る

ザッと見る限り、中の構造も 鳴海と似たようなものだった

しばらく廊下を進んでいると、 前を歩いていた2人が足を止める

アスト

この奥にいるのは、現影山家総代でありBoE代表、影山末(まつ)様だ。

アスト

あのお方は気が短い。くれぐれも失礼のないように

少し圧も混じった釘を刺された後、 襖の向こう側にいる“末様”とやらに、 アストが声をかける

アスナ

……やっぱ私先行ってる〜

アスト

好きにしろ

部屋に入る前、アスナが そう言って離れていく

百瀬

(自由だなあの子……)

アスト

ついて来い

アストの後ろをついて、 部屋の中へと入る

百瀬

(ここも、瀬様がいた部屋と似てんな……)

鳴海では瀬様が座っていた場所には、 別の人が鎮座していた

一段上がった台の上に、 片膝を立てて座っている、 男らしい雰囲気の漂う女の人

百瀬

(この人が、影山とBoEのトップ……)

へぇ、こいつが例の鍵か

あぁ、一応自己紹介しておくか。

アタシは影山末だ。お前の知ってる瀬と同じようなもの、とでも言っておけば十分だろう。

後、今はこいつら兄弟の親みたいなもんだな。

……ところでアスト、アスナはどこ行った?

アスト

…………

末に聞かれたアストが、 無表情のまま外へ視線を逸らす

あぁ、またか……。いいよ、アタシもアイツは嫌いだ

百瀬

(……? さっき、親みたいなもんって言ってた気がすんだけど……)

こっちはこっちで複雑……なのか?

話を戻すが、鳴海百瀬。BoE加入は嘘ではないな?

百瀬

もし嘘だったら、何かして来るんすか?

相手に気圧されないように、 少し強気に聞き返す

そうだな……まぁ、どちらにしろお前の命の保証はあるな。それは言える

百瀬

言えないこともあると?

それはそうだろう。こちとら、入ったばかりのひよっこに何もかも教えるほど、口が柔らかくはないんでね

百瀬

その割には、俺はそっちでかなり重要視されてたっぽいけど。

百瀬

俺が子供の頃から狙ってたんなら、俺はBoEにとって、よっぽどデカい存在のはずっすよね。

百瀬

だとしたら、その存在がいなくなるのは、そっちにとってかなりの損失になるはず。

百瀬

一応今、利は俺にあるんじゃないかと思うんすけど

……へぇ、そう来るか。そんな髪色のくせに可愛くねぇな。

ただ……お前、何か一つ勘違いしてないか?

百瀬

……?

言っておくが、ここはBoEの本丸だ。

……お前の逃げ道は、もうとっくに無くなってんだよ

百瀬

は……?

百瀬

……──っ!?

 

 

〜真冬 side〜

真冬

……ん……?

ふと意識が覚めて、目を開ける

確か僕は、公園でアストに 触れられた後……いや、 そこで意識が途切れて……

そうだ、ちょっとテレポートと 似たような感覚を感じたけど……

あ、まふも起きた!

真冬

え……? ……って、みんな!?

周りを見ると、 さっき姿を消したみんながいた

彼方

俺らも同じようにアストに飛ばされて、気失ってたんだよ

真冬

(もしかしてみんなが消えたのは、ここに飛ばされたから……?)

その原因は分からないけど……みんなが 無事だったことに、一先ず安心する

真冬

……ってあれ、天ちゃんとなるせ君は?

なるせ君は逃げれたかもしれないから、 まだいいとして……最初に飛ばされてた 天ちゃんがいないことに、疑問を抱く

それが、最初にわしが目覚めた時点でおらんかったんよ。

あの時、“お前達はこっちだ”的なこと言っとったし、それが関係してるんかなとは思うけど……

ただどっちにしろ、この状況は良くないな……

そう言ったうらたさんが、 僕らがいるこの部屋を見回す

真冬

(そういえば、みんなと再会したことで忘れてたけど……)

周囲を見ると、頑丈そうな鉄の檻に、 土の地面や壁が無造作にむき出ている ような、言わば地下牢のような部屋

真冬

僕ら、BoEに捕まった……ってこと?

彼方

そうだろうな。

彼方

ちなみにさっき、魔法で扉こじ開けられないか試してみたけど、そもそも魔法が使えなかった

真冬

魔法が使えない……?

彼方

技を出そうとしても空中で魔力が分散して、技として形を保てないんだよ。やってみれば分かる

そらるさんにそう言われて、 試しに“氷矢(アイスアロウ)”を 扉に向けて打とうとしてみる

真冬

あ……

だけど矢が形作られる前に、 魔力が光の粒になって、空中に 溶けるように消えていってしまった

一点に魔力の流れが集中しない、 意図的に魔法の発動を 阻害されるような感覚

真冬

(この檻全体に、何か魔法がかけられてる……?)

ん〜、何か出る方法ないんかなぁ……?

コツ、コツ……

ちょっ坂田静かに。

……なんだこれ、足音……?

不意に聞こえた音に、 みんなで耳を澄ませる

しかも、段々近づいてきてる……?

アスト

……さっき振りだな。もう目を覚ましていたのか

影山アスト!!

現れたのは、ついさっきも会った 影山アストだった

アスト

先に言っておくが、ここからは何をしても出られない。

アスト

“水泡に帰せ(ヴァッサー・ブラーゼン)”。この檻には、闇以外の魔法を全て打ち消す付与魔法がかけられている。

アスト

力尽くでも出られない。……その上、

ヒュンッ

うおっ……!?

突然僕らの後ろの壁に、 “ダークナイフ”が一本突き刺さる

アスト

……こちらから一方的に痛めつけることもできる。

アスト

痛い目を見たくなければ、自分達の言動には精々気をつけておけ

今のは、僕らへの警告か……

真冬

っ……一つだけ聞かせて。天ちゃんとなるせ君は……あの2人は無事なの?

アスト

鳴海百瀬に関しては、命の保証はしてやる。ただ……。

アスト

……天宮翔太に関しては、奴自身によって結果が変わる、とだけ伝えておく

彼方

は……? おい、お前ら天月に何する気だ??

アスト

質問は一つだけと言っただろう。

アスト

さっきも言ったが、言動には十分注意しておくことだな

それだけ言い残して、 元来た道を戻っていったアスト

彼方

チッ……クソ、結果が変わるってなんだよ……!

真冬

とにかく今は、現状できることを探しましょう

せやな、何かしら抜け道が見つかるかもしれんし……

そうじゃなくても、どうにか2人と連絡を取れる方法があったらいいんだけどな……

ただ、携帯とかの持ち物は粗方奪われとるんすよね……

真冬

魔法空間に行くのは?

彼方

いや、さっき魔法と一緒に試したけど行けない。こっちも阻害される

真冬

そんな……

まさか本当に、何もかも手詰まり……?

タッタッタッ……

ってまた足音……!!

走って急いでいるような足音が、 またこちらに近づいて来る

次は誰だ……って……!?

えっ、つっきー……!?

彼方

いや……こいつは……

ベル

はあっ、はあっ……! み、みんな……!!

真冬

ベル……!?

彼方

お前、何でここに……

いつもの子供姿ではない、天ちゃんと 同じ姿のベルが、何かを持って 僕らのいる檻に近づいてきた

……いや、よく見ると、いつもの 大人の天ちゃんより、少しだけ若い?

真冬

(大体、高校生くらいのような……)

っていうか、それより……

ベル

っ……うぅ……!

ちょっ、お前何で泣いて……?

何故か嗚咽を漏らしながら、 子供のように泣きじゃくっているベル

ベル

え、と……こ……これ、ここの鍵でっ……!

えっ、鍵!?

彼方

マジで何があったんだ……??

ベルが現れたことも、鍵を持っている 経緯も、泣いている理由すら分からない

天ちゃん、一体何があったの……?

ベル

っ……お願い、助けて……!!

ベル

早くしないと、ショウタがっ……!

 

ベル

──ショウタが、死んじゃう……!!

魔法使いは何を唱う? -紫苑の叛逆者-

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コメント

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BoEの目的は元々なるせちゃん1人だった。 だからなるせちゃん以外の皆を牢屋に 飛ばしたんだ。なるせちゃんがBoEに 入らないと皆の命の無事は保証できない って…入らないで助ける方法はないの!? そしてなるせちゃん以外は魔法がかけられた 牢屋に…出られる術は無いと思ってたけど ベルが来てくれてよかった!でも あまちゃんが危ないってどういうこと!? 光使いはやっぱり… 続き楽しみにしています!!

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