コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
今年も暑い夏がやってくる
青い空に白い雲
黒いアスファルトに 赤い救急車のサイレン
コントラストが目に染みる
僕は思わず目を細めた
暑い
暑い
暑い
グイッと僕は冷えた水を煽り飲んだ
仁
汗が滴り落ちて ほんの少しだけ 地面に濃い滲みを描く
それだけで、どれだけ体力が奪われるか
どれだけ気持ち悪く感じるか
僕は、君らは 知っているはずだ
今日も、暑い
きっと、まだまだ暑くなる
暑さが、熱が、汗が 僕らから全てを奪っていく
仁
夏バテも、虫刺されも、暑いのも
全部全部 大っ嫌いだ
たとえどんなに食べ物が美味しくても
どんなに花火が綺麗でも
海で泳ぐことが出来たとしても
僕は一生、 夏が好きになることはないだろう
仁
仁
仁
仁
暑い
暑い
暑い
……その日は今日よりももっと暑かった
ただただ体力が奪われていくなか、 君だけが元気だった
雫
雫
仁
仁
雫
雫
雫
そう言って君がくれたのは
とても冷たい、氷のような水だった
雫
仁
仁
雫
雫
違う
恵みなんかじゃない
暑さは、全てをぶち壊した
君がいなくなった真夏の日もそうだった
真夏の暑さは、君から正常な思考回路を奪っていった
鋭い直射日光は、君から笑顔を奪っていった
雫
何の前触れもなく、君は倒れた
雫
雫
雫
仁
仁
君がくれた水を、渡し返した
君は、そっと手を伸ばす
その手は、ペットボトルに 触れることすらなかった
仁
雫
仁
仁
仁
必死に君を日影の方に連れてった
あのときの君の温かすぎる体温が
今も頭から離れてくれない
仁
仁
雫
雫
結局、君は遠くへ行って戻って来なかった
日射病に熱中症に、水分不足
汗をかいていない方が危険だって 後から知った
仁
仁
暑い
暑い
暑い
暑い
それでも僕がこの炎天下の中 外に出歩くのは
やっぱり、君のためなんだ
仁
手のある向日葵を、君に
仏花にはあまり見かけないけれど
君が、一番好きな夏の花を
仁
お盆には二度と逢えない人が帰ってくるという
だから君は夏を特別な季節だと言ったのだろう
仁
仁
仁
仁
仁
仁
雫
仁
雫
夏は嫌いだ
だけれども、そんな僕の気持ちお構いなしに一年に一度やってくる
だから、僕は
その大嫌いな季節を 特別な日に
仁
これは
僕が体験した少し不思議な
とある真夏の日の出来事