TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
永遠の愛を、きっと

一覧ページ

「永遠の愛を、きっと」のメインビジュアル

永遠の愛を、きっと

2 - 永遠の愛を、きっと #2

♥

3,162

2019年09月07日

シェアするシェアする
報告する

俺の隣に

触れられる距離に

俺の愛しい人がいた

だけどその体に

息はなかった

お前

……ん…

あ…起きた…

お前

ん、おはよ…?

おはよって…

朝じゃないしw

軽く笑って返すと

お前

じゃあ…こんにちは?

そういうことじゃない…w

ちょっとした天然な所 新しい発見で嬉しくなって

他愛ない会話に縋りたくなる

だって…毎日

意識の無い時間が 多くなっている気がするから

可愛いな、お前は…

ほんとに…さ

お前

…なに

お前

なんかちがくない?

薄く笑う彼女は

少し動揺したようにも見えた

…別に

何でもない

お前

何それー…

少しだけ沈黙が流れる

まるで彼女の死を 受け入れるような時間

彼女が目の前で 動いていることに

何故か泣きそうになる 自分がいて

思わず目を伏せた

お前

ねぇ

お前

お祭り、行かない?

いたずらっぽく笑う顔に

病人の弱々しさは無くて

………何で俺が 落ち込んでるんだろ

彼女がこんなにも明るいのに

と、自分が馬鹿らしくなった

……うん

行こうか

揺らぐ提灯

櫓を囲む人々

綿菓子の甘い匂いが 鼻を掠める

お前

お祭りとか、懐かしー!

確かに、久しぶりかも。

お前

ね!金魚掬いしよ?

え、うん

翻る袖が煌めくみたいで

何処か儚くて美しかった

お前

あっはは!

お前

全然掬えてないじゃん!

うるっせぇな…

そっちはどうなんだよ?

ふと隣を見ると

俺より遥かに多い 金魚を掬った器が見えた

うわ…お前、マジか

お前

そっちが下手なだけだよ

そんな事はねぇよ…

現状、彼女より多い人は 周りに居ない

金魚掬いの仕事が あったら向いてるな…

ま、そんな仕事ないけど。

なんてことを思いながら 金魚掬いを終えた

お前

ねぇねぇ、あっちで花火大会だって!

お前

行こうよー!

はしゃいだ声に乗せられて

俺は河川敷に座った

お前

まだかな?

流石にまだじゃない?

お前

お前

まだかな?

それ、2分前も聞いた

お前

えぇー?

お前

そんなことないって!

いやいや、そんなことあるよ

お前

むぅ…

口を膨らませる彼女

大丈夫、大丈夫

花火大会は逃げないから…

不満気な彼女の頭を そっと優しく撫でた

この時間がずっと 続きますように、と

縋るように願いながら

彼女の病気が

夢だと願いながら

お前

お前

なに、どうした…?

え…?

お前

泣いて…

え……?

いつの間にか 頬が濡れていて

自分が泣いていたことに気づいた

お前

大丈夫…?

彼女が頬に触れて

俺の涙を拭ったから

その瞳が悲しげだったから

彼女に近づいて 力強く抱きしめた

ドーンッ

パチパチパチ…

抱きしめた瞬間 花火が上がった

お前

なに、急に…

お前

なんか変だよ…?

離したくない

お前

えっ?

消えてほしくない

居なく、ならないで…?

お前

それは

お前

私が死期病、だから…?

自ら病気のことを話すのは

あの日 俺に話した日以来だと

心の何処かで感じた

お前の意識がない時間が

毎日長くなっている気がして

怖くなるんだ

いつか本当に死ぬんじゃないか、って

そしたら、お前のそばを離れられなくて…

お前

うん……

耳のすぐ側で 彼女の声が聞こえた

何処か泣きそうで それでいて誇らしげな声

お前

ありがと…

お前

そんなにも私を想ってくれてたんだね…

お前

嬉しい

彼女の言葉嘘はなくて

けれど、病気の進行の事は 否定していなくて

それが酷く悲しかった

一週間後

あのさー…

お前

………

え…?

お前

………

ソファーに横になっている彼女

それに近寄っても息はなくて

……もう、意識無くしたのか

後で良いか

僕は彼女が起きるのを待った

………ん…

目の前の ソファーに横たわる彼女

まだ、息をしていない

朝になっていた

いつの間にか 寝てしまったようだ

なぁ…

いい加減、起きろよ…?

起きてるんだろ?詩音!

彼女の名前を呼んだ

けれど、一向に返事は無くて

彼女はどこにも居ない気がして

泣き叫んだ

あれからどんなことがあったのか

俺はよく覚えていない

ただ、彼女だけが

俺の世界から消えていった

彼女だけがどこにも居なかった

空に消えて

何、してんだよ…

額縁の向こうの 彼女に語りかける

どこにも居なくて

だけど会いたくて

もどかしい想いに 胸が締め付けられたけど

それ以上に彼女がまだ好きだ

渡せなかった物があるんだ

キキョウの花言葉、知ってる…?

そう言って、写真の前に キキョウを置いた

「永遠の愛」

そっちに行ったら
永遠の愛を誓うから

もう、どこにも行くなよ…?

鼻がツンとして 目が熱くなった

可愛いな、お前。

お前とのいつもの言葉

それに答えるように

庭に咲いたリンドウが揺れた

この作品はいかがでしたか?

3,162

コメント

46

ユーザー

ん?ww 噛み合ってないねwwまあ、いいか←(適当w

ユーザー

んん? 多分噛み合ってないからまぁいいや((投げやり

ユーザー

ほぇ?☪︎ *.これのこと?( ˙꒳​˙ )???

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚