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ユリの花

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ユリの花

1 - ユリの花

♥

18

2020年02月17日

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彼女は突然僕の前に現れた

女の子

お兄ちゃん…

女の子

こんにちは

歩夢

あ、こんにちは

女の子

ねぇ…

女の子

お兄ちゃん、歩夢君だよね?

歩夢

え、そうだけど…

歩夢

なんで知ってるの?

女の子

ふふふ

女の子

なんででしょう

歩夢

え、教えてくれないの?

女の子

当ててみてよ

歩夢

え〜、全然分からないんだけど…

歩夢

あ、従兄弟の友達とか?

女の子

はずれ

女の子

全然そんなんじゃないよ

歩夢

違うか…

歩夢

(この子見た感じ小学生だし、僕小学生の知り合いなんていたっけ?)

歩夢

名前なんて言うの?

女の子

名前?

女の子

なんだと思う?

歩夢

分からないよ〜

女の子

分からなくていいから

女の子

当ててみて

歩夢

(分からないのにどう当てるんだ?)

歩夢

(まぁ適当でいいか)

歩夢

う〜ん、じゃあ…

歩夢

ユキ…とか?

女の子

あははは

女の子

全然違う

歩夢

あはは、ごめん

女の子

でも良い名前

女の子

私、ユキでいいよ

歩夢

え、いいの?

女の子

うん

女の子

ユキって名前気に入った

歩夢

じゃあユキちゃん、僕学校遅れるから、もう行くよ

女の子

待って

歩夢

なに?

女の子

これあげる

歩夢

…花?

女の子

ユリの花だよ

女の子

綺麗な黄色でしょ?

歩夢

ありがとう

歩夢

でもこれ僕なんかにあげていいの?

女の子

歩夢君にあげるつもりで摘んできたの

歩夢

そ、そうなんだ

歩夢

あ、ありがとう…

歩夢

(この子本当に誰なんだ?)

女の子

じゃあね歩夢君

女の子

また明日

歩夢

う、うん

悠真

おはよー歩夢

歩夢

ああ、おはよう

悠真

ん?なにその花

歩夢

なんか、さっき知らない女の子に貰った

悠真

知らない女の子?

悠真

なんだそりゃwww

歩夢

僕もよく分からないんだよ

歩夢

でもその子、僕の事知ってたんだ

悠真

で、お前は知らないの?

歩夢

うん…

悠真

そりゃお前が忘れてるだけなんじゃないのか?

歩夢

うん…多分そうかも

悠真

思い出してみろよ

悠真

その子が可哀想だろ?

歩夢

まぁ、努力するよ

学校が終わり、放課する時間になっても、僕はあの女の子が誰なのか分からなかった。

歩夢

(僕の名前を知ってるって事は、絶対僕も知ってるはずだよな…)

女の子

歩夢君

歩夢

うわ!びっくりした!

女の子

ふふふ

女の子

こんにちは

女の子

ねぇ、私の事思い出した?

歩夢

いや、なかなか分からなくて

歩夢

名前教えてくれないかな?

女の子

それじゃ面白くないじゃない

女の子

それに私の名前はもうユキだよ?

歩夢

そう言わずに教えてよ〜

女の子

……思い出して

女の子

お願い

歩夢

う〜ん、そうは言ってもなぁ、

歩夢

まぁ、とりあえず家で考えてみるよ

歩夢

ごめん、今日はもう帰るね

女の子

待って

歩夢

え?

女の子

これあげる

歩夢

これ…またユリの花?

女の子

うん

女の子

綺麗でしょ?

歩夢

う、うん

歩夢

ありがとう

女の子

じゃあまたね歩夢君

翌日

女の子

こんにちは、歩夢君

歩夢

また君か…

女の子

私のこと思い出してくれた?

歩夢

一晩考えたけど、やっぱり分からないよ

歩夢

名前が分からないんじゃ、どうしようもなくて

女の子

名前なんか聞かなくても、

女の子

私の顔を見れば思い出すはずだよ

歩夢

顔?

女の子

そう

女の子

じっと私を見て

女の子

何か思い出さない?

歩夢

う〜ん

歩夢

……

歩夢

ごめん、本当に分からない

女の子

そう…

女の子

…残念

歩夢

また思い出したら言うよ

女の子

絶対思い出してね

歩夢

うん

歩夢

じゃあまたね

女の子

待って

歩夢

え?

女の子

はいこれ

歩夢

また…ユリの花?

女の子

うん

歩夢

あ、ありがとう

歩夢

ねぇ、でもなんで僕にくれるの?

女の子

…それも考えてみて

女の子

そして、見つけて

歩夢

見つける?

歩夢

何を?

女の子

じゃ、またね

歩夢

あ、ちょっと…

歩夢

(行っちゃった…)

歩夢

(なんだろう…見つけてって)

それから、彼女は毎日僕の前に現れ

会う度に黄色のユリの花を僕にくれた。

でも僕は彼女が誰なのかも分からなかったし、ユリの花の意味も分からなかった。

次第に僕は、毎日彼女に質問されるのが図々しく感じるようになってきた。

そして今日も彼女が道路に立っていた。

女の子

歩夢君

女の子

こんにちは

歩夢

こんにちは…

歩夢

(はぁ、こう毎日立たれると、めんどくさいなぁ。)

女の子

さぁ、今日は私が誰だか分かった?

歩夢

あの、その事なんだけど…

女の子

うん

歩夢

僕、本当に君が誰なのか分からないんだ

歩夢

これ以上続けても同じな気がするし

歩夢

もう僕に関わるのはこれが最後にしてくれないかな?

歩夢

それか、名前だけでも教えて欲しい

女の子

……そう

歩夢

ごめんよ

歩夢

これ以上は僕も流石に疲れるんだ

女の子

私の名前…聞いたら、思い出してくれる?

歩夢

確証は無いよ

歩夢

努力はするけど

女の子

……歩夢君

女の子

あの時の事、思い出して

歩夢

あの時?

女の子

私の名前は…

女の子

金城結衣だよ

歩夢

え…

歩夢

今…な、なんて…

女の子

じゃあね歩夢君

女の子

私、信じてるよ

女の子

あなたが見つけてくれること

女の子

はいこれ

女の子

最後のユリの花…

歩夢

待って…

歩夢

ほ、本当に…君は

歩夢

金城結衣なの?

女の子

さよなら歩夢君

歩夢

待って!

悠真

おーい歩夢!

悠真

おっは〜!

歩夢

ゆ、悠真…

悠真

ん?どうした?

悠真

顔が深刻そうだけど

歩夢

(あ、いなくなってる…)

歩夢

悠真、僕は…夢を見ているのかもしれない

悠真

夢?

悠真

ここをつねれば分かるぞ?

歩夢

いたたた!

悠真

夢じゃないな

歩夢

そんな…ありえない…

悠真

どうしたんだよ

歩夢

悠真、僕が前に話した女の子の話覚えてる?

悠真

女の子?

歩夢

ほら、このユリの花渡してくる女の子

悠真

あ〜そう言えば言ってたな

悠真

それがどうかしたのか?

歩夢

今日、彼女の本当の名前を聞いたんだ

歩夢

そしたら

悠真

そしたら?

歩夢

彼女、金城結衣だって…

悠真

は、はぁ〜?

悠真

いやいやそりゃないだろ

悠真

金城結衣は7年前に行方不明になってるんだぞ?

歩夢

そうだよ

歩夢

でも彼女は確かに金城結衣なんだ

歩夢

名前を言われて気付いた

歩夢

あの顔、あの声…

歩夢

紛れもなく金城結衣なんだよ

歩夢

どうして、僕は気づかなかったんだろう…

悠真

いやいや本気かお前?

悠真

もし金城結衣だとしたら

悠真

俺達と同じく高校生になってるはずだぞ

悠真

でもその子は小学生だろ?

歩夢

簡単な話だよ

歩夢

金城結衣は小学生の時に行方不明になった

歩夢

彼女はその時の姿のまま…

歩夢

亡くなって、僕の前に現れたんだ

悠真

ま、マジかよ…

悠真

じゃあその子は金城結衣の幽霊とでも言うのか?

歩夢

それ以外ないよ

悠真

ひぃっ

歩夢

もう全て繋がったよ

歩夢

見つけてって言うのは

歩夢

きっと金城結衣の事だ

歩夢

彼女は行方不明になった自分自身を見つけて欲しかったんだ

悠真

で、でも

悠真

どこにいるんだよ金城結衣は

歩夢

それは…分からない

歩夢

唯一の手がかりは…

歩夢

このユリの花くらいしか…

悠真

あ、ちょっと待てよ?

悠真

この近くにあったよな?

悠真

ユリの花が咲いてる所

歩夢

本当に!?

悠真

ああ

悠真

前に家族と行ったことがあるけど…

悠真

それに関係してるのか?

歩夢

絶対そうだ!

歩夢

悠真、放課後連れてってくれ

悠真

お、俺が〜?

歩夢

悠真しかいないんだ

歩夢

頼む

悠真

はぁ、仕方ないな…

そして放課後

僕は悠真にユリの花が咲いている場所まで案内して貰った

悠真

ここだよ

歩夢

うわ…確かにユリの花だらけだな

悠真

ここに金城結衣がいるのか?

歩夢

あ、悠真見て!

悠真

え?

歩夢

あのユリの花だけ黄色だ

歩夢

他は赤とか白とかなのに

歩夢

あの花だけ黄色い…

悠真

それがどうかしたのか?

歩夢

彼女はいつも決まって黄色のユリの花を僕にくれたんだ

歩夢

悠真、あのユリの花の下を掘り起こそう

悠真

えぇ〜!?

歩夢

いいから、早く

悠真

…はぁ

そして僕達は黄色いユリの花の下をシャベルで掘り返した。

すると…

ガツン!!

悠真

うわ!

悠真

なんか当たったぞ?

悠真

な、なんだこりゃ?

歩夢

それは…

悠真

おいおいまさか…

歩夢

間違いない

歩夢

骨だ

悠真

ぎゃぁぁあああ!!

歩夢

金城結衣の骨だ…

歩夢

…見つけた

歩夢

やっと見つけたんだ…

途端に僕は目から涙が溢れてきた

全て思い出したからだ

あの時の事、全てを…

歩夢

結衣、ごめんよ

歩夢

僕のせいだ

歩夢

僕のせいで君を死なせてしまったんだ…

歩夢

だから君は僕に話しかけたんだね…

悠真

な、何言ってんだ歩夢?

歩夢

これは全部僕のせいなんだ

悠真

歩夢のせい?

歩夢

悠真、

歩夢

今から話す7年前の話を聞いても…

歩夢

友達でいてくれる?

悠真

当たり前だろ

悠真

話してくれよ

歩夢

…分かった

歩夢

君を信じるよ

歩夢

……はぁ

歩夢

……7年前

歩夢

僕達は遠足に行った

歩夢

悠真も覚えてるだろ?

悠真

7年も前のことなんて、もう忘れたよ

歩夢

そうか…

歩夢

でも僕ははっきり覚えてる…

歩夢

なぜならその日に金城結衣が居なくなったからだ

歩夢

…僕のせいで

悠真

お前が、どう関係してるんだ?

歩夢

僕は、

歩夢

あの日、金城結衣と一緒に森の中で遊んでたんだ

歩夢

先生の目を盗んで、こっそりみんなの輪から抜け出して…

歩夢

でも、2人で遊んでたら急に知らない男に声をかけられた

歩夢

僕達はまだ小学生だったから、何も疑わずにお喋りしてたんだ

歩夢

そしたら急に男がポケットからナイフを取り出したんだ

悠真

な、ナイフ!?

歩夢

僕はすごく驚いて、とにかく逃げる事だけを考えた

歩夢

足は勝手に男から遠ざかるように動くんだ

歩夢

でも、その後ろで、僕のことを呼ぶ声が聞こえた

歩夢

結衣だ

歩夢

結衣は、先に男に捕まってしまったんだ

歩夢

「助けて」「置いてがないで」って

歩夢

今でもその金切り声は耳にこびりついてる

歩夢

でも僕は彼女を見捨ててしまったんだ

歩夢

怖くて…

歩夢

恐ろしくて…

歩夢

振り返りもしなかった

歩夢

最低なのは分かってる

歩夢

でも僕は臆病だったから、彼女を助けられなかった

歩夢

森を抜けて、何もなかったようにみんなの輪へ戻った

歩夢

でも結衣は、いつまで経っても戻ってこなかった

歩夢

当たり前だ

歩夢

僕が見捨てたから…

歩夢

彼女は僕のせいで死んだんだ

歩夢

僕のせいで…

悠真

歩夢、お前のせいじゃない

悠真

金城結衣が死んだのは

悠真

どう考えてもその男のせいだ

悠真

自分を責めるな

歩夢

でも、僕が見捨てたせいで…

女の子

歩夢君

歩夢

え!?

歩夢

ゆ、結衣…?

女の子

ありがとう…

女の子

見つけてくれて

歩夢

結衣、ごめん

歩夢

ごめんよ…

歩夢

僕のせいで…

女の子

歩夢君…

女の子

自分を責めないで…

女の子

私、森で遊んでる時、すっごく楽しかったよ

歩夢

ゆ、結衣…

女の子

じゃあね…

歩夢

ま、待ってよ…ゆ…

悠真

おい歩夢!

悠真

何一人で喋ってんだよ

悠真

大丈夫か?

歩夢

いや、今そこに結衣が

悠真

誰もいないよ

悠真

歩夢、もう終わったんだよ

悠真

終わったんだ…

歩夢

悠真…

悠真

警察に連絡しよう

歩夢

…そ、そうだね

それから、警察がさらにユリの花の下を掘り進めると、

小学生の白骨化遺体が出てきた。

DNA鑑定の結果、案の定それは金城結衣だった。

そして嬉しい事に、彼女に残っているわずかなDNAから犯人を特定する事が出来た。

これで僕の心は晴れそうだ…。

そして、あれから彼女は現れなくなった。

でも僕は前を向いて歩いていく

生きようと思うんだ

彼女の分まで

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