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ナンパ男の秘密

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ナンパ男の秘密

12 - 例えば、こんな始まり

♥

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2022年05月12日

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朝 学校最寄駅前

リュウジ

相っ変わらず人やべーな、この時間

サトル

リュウジ

すでに帰りてぇわ

サトル

まだ登校してねぇのに?

リュウジ

だって…お

リュウジ

アレ高城シュンじゃね?

サトル

お、まじだ

リュウジ

朝から暗いな~

サトル

なにやってんの?

リュウジ

誰かと話してるっぽ…うわ

リュウジ

あれ近所のお嬢様女子高の子じゃん!

サトル

は?!マジで?

リュウジ

うわあいつあんなとこに彼女いたのか?

リュウジ

根暗の癖に?

サトル

いや、なんか違うぽくね?

サトル

ほらなんか渡してる

リュウジ

なんだあれ

リュウジ

定期…?

サトル

あー

サトル

落とした定期拾ってあげたんじゃん?

リュウジ

なんだよ

リュウジ

そういうことかよ

サトル

あいつに彼女なんかいるわけねーじゃん

サトル

友達すらいねぇのに

学校

リュウジ

…ってことがあってさ

タツキ

ふーん

タツキ

俺だったら定期拾ってあげたお礼にメアドくらい聞くけどね

サトル

あいつにできるわけねーだろ

リュウジ

…あ

リュウジ

そうだ

リュウジ

おもしろいこと思いついちった

サトル

なに?

リュウジ

いいからいいから

リュウジ

なぁサキー!

数分後

リュウジ

ククク…

リュウジ

やってるやってる

サトル

お前趣味悪いなー

タツキ

ほんとだよ

サトル

定期落とした子に頼まれた風に装って

サトル

アドレス渡すって…

タツキ

てか渡したのって誰のアドレス――

サキ

聞いてきたよ~

サキ

はいこれ

リュウジ

おぉサンキュー

リュウジ

じゃぁはい、サトル

サトル

なにこれ

リュウジ

なにって

リュウジ

高城のメアド

サトル

は?なんで俺に…

リュウジ

だって渡したのお前のメアドだもん

サトル

はぁー?!

タツキ

ブハハ

タツキ

ちゃんとメールしろよサトル

リュウジ

やたらグイグイきたりヤリ目っぽいこと言ってきたらすぐ報告しろよ

タツキ

それ笑える

タツキ

いいネタになるよな

リュウジ

あんな根暗なのに中身サルかよってな

リュウジ

ソッコー噂回してやろうぜ

サトル

俺あんな根暗と関わりたくねぇんだけど

サトル

絶対友達になれねぇタイプ

ガタンッ

タツキ

あ、高城が…

リュウジ

出てっちゃった

リュウジ

聞かれたんじゃね、今の

サトル

…もう決定的に友達になれねぇわ

サトル

リュウジの奴…なんで俺が…

サトル

つか女の子からメアド渡したのになんも来ねぇし

サトル

…俺から送った方がいいのか?

マオ

初めまして

マオ

今朝定期を拾ってもらった、山本真央っていいます

マオ

東校の方ですよね?

マオ

丁度知り合いがいたので、その子にメアドを渡してくれるよう頼みました

マオ

いきなりすみません

マオ

良かったら友達になってもらえませんか?

サトル

我ながら誰だよ山本真央って…

サトル

まいっか

サトル

送信…っと

30分後

サトル

まだ返事来ねぇ~

サトル

つか既読もつかねぇし

サトル

…ってなんで野郎からのメール心待ちにしなきゃいけねぇんだっつの

サトル

アホらし

サトル

寝よ

2:48

ピロリン

サトル

はっ

サトル

…なんだ、メール?

サトル

だれだコレ…高城?

シュン

初めまして、高城シュンです

シュン

今朝の方ですよね?

シュン

ご丁寧にメールありがとうございます

シュン

返信遅くなってすみません

サトル

んな時間に送ってくんなよ常識ねぇな~

サトル

…友達いねぇから知らねぇのか

マオ

全然気にしてません!

マオ

お勉強でもしてたんですか?

シュン

バイトしてました

サトル

バイトなんかしてんのかこいつ

サトル

つか、なんだこの中身のない内容は…

翌日

リュウジ

なぁメールした?

サトル

あ?あー…

サトル

まぁしたけど

リュウジ

どう?なんか面白いことあった?

サトル

なーんもねぇ

サトル

ただバイトしてるらしいってことはわかった

リュウジ

そんだけかぁ、つまんね

マオ

高城さんってなんのバイトしてるんですか?

サトル

…はい

サトル

そして例のごとく返信はなし、と

深夜

シュン

遅くなってすみません

シュン

バイトはファミレスとガソリンスタンドです

サトル

こいつまたこんな時間に…

サトル

つかかけ持ちかよ

マオ

2つもやってるんですか?!

マオ

すごいですね

シュン

いや

シュン

必要だからやってるだけですよ

マオ

欲しいものでもあるんですか?

シュン

家が貧乏なんです

シュン

恥ずかしいんですけど

サトル

…ふーん

マオ

家計を助けてるってことですか?

マオ

高校生ですごいですね

シュン

進んでやってる人はすごいと思うけど

サトル

……

翌日

リュウジ

なぁ、どう?

サトル

あ、あーメール?

リュウジ

なんかあった?

サトル

…いや、なんも

サトル

つかもう飽きてきたわ

リュウジ

だよなー

リュウジ

やっぱあいつメールもつまんなそうだもんな

1:56

マオ

兄弟喧嘩しちゃいましたー

マオ

高城さんは兄弟とかいるんですか?

シュン

6人兄弟なんですけど

シュン

バイトと学校で忙しくてあまり家にいないので

シュン

喧嘩は出来ないですね

サトル

6人!

マオ

6人兄弟ってすごいですね

シュン

これで母子家庭で僕が一番上なんで

シュン

バイトする他ないって感じです

マオ

それだとあんまり友達とかと遊べない感じですか?

シュン

まぁそもそも友達がいないので

シュン

こんなバイト漬けで

シュン

できたらいいなとは思ってたんですけど

シュン

やっぱり無理だったみたいです

マオ

それって寂しくないですか?

シュン

なくはないですけど

シュン

家族もお金も大事なんで

シュン

一つ下の妹が私立に入ったので

シュン

余計に頑張らないと

サトル

翌日

リュウジ

うわー

リュウジ

高城爆睡かよ

リュウジ

文化祭の決め事してんのにあの態度はねぇだろ

サトル

…いや

リュウジ

サトル

バイト忙しかったんだろ

サトル

あれは

リュウジ

なに?なんでアイツのこと庇うの?

サトル

いや別に庇うとかじゃねぇけど

リュウジ

は、なにお前

リュウジ

いつの間に高城なんかと友達になってんの?

サトル

違ぇって

サトル

ただ何も知らねぇのに決めつけんのとか――

リュウジ

うっせぇな!

リュウジ

別に知りたかねぇんだよ

リュウジ

あんな根暗のこと

サトル

バキッ

サキ

きゃー!

サキ

サトルがリュウジのこと…

タツキ

なにやってんだ!お前ら離れろ!

保健室

サトル

ってぇ~

サトル

リュウジのやつ思いっきりやり返しやがって…

サトル

――

サトル

まぁ、俺が悪いのか

サトル

知ってんの、俺だけだもんな

ガラガラ…

サトル

リュウジ?

サトル

なぁ、さっきは悪かっ――

シュン

ごめん、僕で

サトル

高城?

サトル

お前なんで…

シュン

それ僕のせいだよね

サトル

いや別にお前のせいじゃないだろ

シュン

…それと

シュン

怒ってくれてありがとう

サトル

は、はぁ?

サトル

いや俺が勝手にキレただけだから

シュン

知ってたんだよね

シュン

だから怒ったんだろ?

サトル

え、な…なに言って――

シュン

山本真央さんって君だろ?

サトル

お前…いつ気づいて…

シュン

最初から

シュン

だって僕が定期を拾った女の子なんていないんだから

サトル

は、え…

サトル

じゃぁあの子って…

シュン

妹だよ

シュン

言ったろ

シュン

私立に行った妹がいるって

サトル

そ…

サトル

そういうことかよ…

シュン

サキさんがアドレス持って君たちのとこに行ったのは見たし

シュン

君が受け取ったのも見た

シュン

駅使ってることは知ってたから

シュン

多分妹といるとこ見られて勘違いされたんだろうなーって

サトル

気づいてたのになんで返事なんかしたんだ?

シュン

…友達とメールしてみたかったんだ

シュン

相手が何を偽っててもいいから

サトル

シュン

ごめん、なんか気持ち悪いよね

サトル

いや

サトル

気持ち悪いのはお前のこと何も知らないで好き勝手に言ってた俺の方だ

シュン

あのとき…

サトル

シュン

あのときは「あいつなんかと友達になれない」って言ってたけど

サトル

お前それ聞いて――

シュン

こういう友達の始まりっていうの

シュン

なしかな?

サトル

サトル

いや…

サトル

案外いいんじゃね?
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