テラーノベル
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此の時間は仄暗くて 、 個人的に凄く好みの空 。
時を待たずに空の顔を変える 。
今日は午前中に 雨音が響いていたから
カラッと変わった空が好きだ 。
君と帰るのも日常に 成った今日は君も天を仰ぐ 。
晴哉くんも空が好きなのかな
なんて自惚れた 考えに行きつく 。
火照る可愛く無い顔面が もっと嫌になる 。
でも今は沈む日で 紅くなるのは気付かれないのが
今の空の好きなところ 。
晴 哉
私が視界にいれた空とは 裏腹に晴哉くんが見詰めた空には
薄暗く他より一層厚い雲が 空を覆い始める 。
私達の歩幅も大きく 速くなりつつある 。
茉 陽
地面と不満を 蹴飛ばすように歩く 。
ローファーに小石が 入る感覚が鬱陶しい 。
もう少しで終わる此の時間が
惜しくて 、嫌で 、 気持ちが狂う 。
晴 哉
あれ 、と首を傾げる 。
偶に魅せる可愛らしさが 自然と私を笑顔にさせる 。
けれど ‘ 何笑ってんの ’ と 毎回怒られるから気をつける 。
自分の口角が上がってゆくのは 可笑しいかな 。
茉 陽
口角を抑えていた所為で 語尾も可笑しい 。
今の私は兎に角可笑しい
自分でも恥ずかしい位 自覚してる 。
晴 哉
茉 陽
正直他人の生死とかで 泣いたりできない 。
だけど君は一緒に居たいから 、
‘ さようなら ’ でも ‘ ばいばい ’ でも無く
またね 、って笑顔で 言うのは忘れない 。
また逢える事が 、また話せる事が 、
また一緒に帰る事が 何より嬉しくて
私は晴哉くんと ‘ また ’ を 待ち侘びているから 。
そんな私の美学
晴哉くんには届いて無い と解っていても 、
晴 哉
そう返す君が居るから 醜い勘違いを起こす私が 、
夕日に紛れて頬を 椛のように紅く染める 。
醜い私が君を見詰めて立ち尽くす 。
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