引き続き、 私の家。
ヴィッテ
「インターネットを作ろう」 という私の提案に、 ヴィッテは首を傾げていた。
ヴィッテ
ヴィッテ
って なに?
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>私の知識に存在しません。
・・・・・・・・・・
ヴィッテ
ヴィッテ
しらないって
めずらしいね!
スライ
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>……不本意。
・・・・・・・・・・
それまで、ふよふよ動きながら ヴィッテと会話していた はずのスライ。
だがこの言葉を表示した途端に 黙り込み、縮こまって 動かなくなってしまった。
マキリ
すねてる…?
気まずくなった私は、 慌てて説明をはじめる。
マキリ
マキリ
使われてる技術だから
マキリ
無理ないと思うっ
マキリ
びっくりしちゃうから…
スライ
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>ならば、インターネットとは?
・・・・・・・・・・
マキリ
マキリ
データをやり取りできる』
マキリ
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>成る程。
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・・・・・・・・・・
あ、スライが 動き出した。
機嫌を直してくれた っぽくて一安心…
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>そのようなものを作っても意味はありません。
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・・・・・・・・・・
マキリ
マキリ
ネットみたいな
仕組みが?
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>そんな事もご存じないとは!
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・・・・・・・・・・
わぉ、上から目線!
まぁ下手に食いかかると めんどくさそうだし、
話を先に進めますか~。
マキリ
マキリ
遠距離通信手段って
どんな感じなの?
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>現在、ヒト社会に浸透する遠距離通信手段には『個別輸送』と『ギルド便』が存在します。
・・・・・・・・・・
マキリ
『ギルド便』…
マキリ
どういうシステム
なのかな?
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>『個別輸送』は、馬車や船等を用いて個別に輸送を行う仕組みです。
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・・・・・・・・・・
マキリ
マキリ
運ばせるのが
『個別輸送』で
マキリ
『ギルド便』
ってわけね
スライの言葉に トゲがあるのは気になるけど…
…機嫌が直っただけ良し!
マキリ
『ギルド便』とかって
時間かかるでしょ?
マキリ
パパッと瞬時に
情報を送れるんだ
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>確かにそのような仕組みは、ヒトの社会には存在しません。
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・・・・・・・・・・
マキリ
ネットを作ろうよ!
マキリ
世界中に広まれば、
マキリ
理想のおうちも
探しやすくなるし、
マキリ
見つかりやすくなると
思うんだ!
ヴィッテ
食いつくヴィッテ。
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>お待ちください。
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・・・・・・・・・・
マキリ
マキリ
人でも家でも
マキリ
割とすぐ見つかることが
多いんだ!
ヴィッテ
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>にわかには信じられません。
・・・・・・・・・・
マキリ
マキリ
インターネット
ってのはね――
私は基礎から丁寧に インターネットを 説明することにした。
ヴィッテ
ヴィッテ
おもしろいのね♪
説明が終わる頃、 ヴィッテは 目を輝かせていた。
私が描いたパソコン・スマホの絵や、 ネットワークのイメージ図などを 見比べ、はしゃいでいる。
スライ
時々考えこみつつも、 流暢に文字を表示するスライ。
私は簡単に話しただけなのに、 すぐに仕組みを理解できるのは すごいと思う。
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>瞬時の情報送受信が可能な『端末《コンピュータ》』複数台を相互接続し、小規模の『ネットワーク』を作成。
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文字表示(スライ)
・・・・・・・・・・
マキリ
マキリ
便利になると思うんだ!
文字表示(スライ)
>ですが本当に上手くいくのでしょうか?
文字表示(スライ)
・・・・・・・・・
マキリ
マキリ
みんな使ってたもの
マキリ
考えられないよ!
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>それは『本当にインターネットを普及出来たら』という仮定の話に過ぎません。
文字表示(スライ)
・・・・・・・・・・
マキリ
マキリ
思うけど
文字表示(スライ)
>ならば質問です。
文字表示(スライ)
・・・・・・・・・・
マキリ
分裂してもらえばOK!
スライ
文字表示(スライ)
>…マキリの発言、理解不能。
文字表示(スライ)
・・・・・・・・・・
マキリ
離れててもリアルタイムで
情報共有できるんだよね?
マキリ
端末《コンピュータ》の役割を
担ってもらえれば
マキリ
ネットワークを作れる状態
だと思うんだ!
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>成る程、完全に私の技能を当てにしているわけですね。
・・・・・・・・・・
マキリ
マキリ
そうなっちゃうね
スライ
しばしの沈黙。
声も表情も分かんないはずなのに、 スライが呆れてるのが ひしひし伝わってくる…
文字表示(スライ)
>……思うところはありますが、一旦は話を先に進めましょう。
・・・・・・・・・・
マキリ
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>私が安定して維持可能な分裂体は100体程度です。
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文字表示(スライ)
・・・・・・・・・・
マキリ
協力してもらうつもり
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>確かにその方法ならば理論上は『インターネット』の実現は可能…
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文字表示(スライ)
・・・・・・・・・・
ヴィッテ
インターネット!
ヴィッテ
やれば できるでしょ?
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>ヴィテッロ様⁈
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文字表示(スライ)
・・・・・・・・・・
ヴィッテ
ヴィッテ
すごいんだもの
ヴィッテ
うまく いくわ!
ヴィッテ
インターネット
つかってみたいなぁ…
ヴィッテ
スライ
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>……承知いたしました。
文字表示(スライ)
・・・・・・・・・・
ヴィッテ
ヴィッテ
スライに抱きついた ヴィッテは、 無邪気な顔で笑っていた。
その後、ネットについて 私に根掘り葉掘り質問してきた ヴィッテだが、
しばらく経つと 眠ってしまった。
マキリ
風邪ひいちゃうかも…
マキリ
マキリ
2階のベッドに
連れて行ってもいい?
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>…問題ありません。
・・・・・・・・・・
私は、ヴィッテを 起こさないよう そっと抱き上げた。
何気なく抱えた 少女の体は とても軽かった。
マキリ
マキリ
マキリ
マキリ
まだまだ小さいんだよね…
マキリ
親と死に別れて
旅をしてたなんて…
マキリ
力になりたいなぁ
…といっても私自身、 この世界での暮らしは まだ不安定だし、
できる範囲には なっちゃうけどね。