〜純黒の悪夢編〜
明かりを落としたサーバールームでは、 ずらりと並んだ筐体から発せられる無数の青白い光が明滅していた。
空調管理の行き届いたひんやりとした空気に、ブーン……と低く唸るような稼働音が絶えず響いている。
部屋の中央にある端末の前に、 一人の女が立っていた。
襟足辺りまでまっすぐ切りそろえた黒髪、鍛えられたしなやかな体にピッタリと密着するタイトスカートのスーツを身につけた女は、モニターの画面をまばたきせずにじっと見つめていた
その黒い瞳に、モニターに表示された文字が映る
〈所属〉MI6〈コード〉スタウト〈プロフィール〉本名不詳────
〈所属〉CSIS〈コード〉アクアビット〈プロフィール〉本名不詳────
〈所属〉BND〈コード〉リースリング 〈プロフィール〉本名/レオン・ブッフホルツ────
〈所属〉FBI〈コード〉ライ〈プロフィール〉諸星大。本名/赤井秀一────
〈所属〉FBI〈コード〉マティーニ〈プロフィール〉西園寺 葵。本名/ルーカス・月野────
〈所属〉CIA〈コード〉キール〈プロフィール〉水無怜奈。本名/本堂瑛海────
〈所属〉警察庁警備局警備企画課〈コード〉ブラン〈プロフィール〉日照雨遥。本名/陽十々星鶫────
〈所属〉警察庁警備局警備企画課〈コード〉バーボン〈プロフィール〉安室透。本名/降谷零。毛利探偵事務所、喫茶ポアロ勤務。組織において幹部であり────
女はまばたきを一度すると、横に置いたバッグから単語帳のようなものを取り出した。
目の前に持っていき、リングで繋がった五色の透明カードを扇形に広げる。
白、橙、青、緑、赤────。
?
大きく息を吐いた女は、目を見開いて五色の透明カードを見た。すると、瞳孔が収縮し、目まぐるしく動く────。
パチン
そのとき、パチンと照明のスイッチを入れる音がした
天井の照明が一斉につき、女は入り口を振り返った。
日照雨 遥(ブラン)
入り口には公安刑事の日照雨遥と風見裕也が立っていた。背後に二人の部下が拳銃を構えながら部屋へ入る。女が両手をゆっくりと上げると、風見はフッと笑った
風見 裕也
女の口元がニヤリと持ち上がったと思うと────
次の瞬間、女は部下の間に飛び込んだ。
ドンッと一人の首筋に手刀を打ち、すぐにもう一人の部下のあごを手のひらで砕く。部下たちが崩れると同時に女はすばやく体を回転させ、右ひじを風見のこめかみに打ち込んだ。が、
日照雨が風見の前に立って腕で強烈なひじ打ちを受け止める
日照雨 遥(ブラン)
左ストレートを女に打とうとした瞬間、女は開いた扉から疾風のごとく飛び出し、照明が消えた廊下を駆け抜けた。
日照雨 遥(ブラン)
すると、正面の窓から差し込む月明かりが曲がり角の向こうに立つ人物を照らした
安室透だ。
その姿を見たとたん、女は大きく飛び上がり、蹴りを安室に叩き込んだ。が、安室はすばやく腕でガードし、着地する女にすかさず左ストレートを打つ。
女が身をかがめてパンチをかわすと、安室はすばやく回し蹴りを繰り出した。蹴りをかわすと、女は両手を床について体をひねりキック、安室の腕がそれを受け止める。
女は回転して体制を整え、着けていたウィッグを取って安室に投げつけた。
すかさず間を詰めた安室は、ウィッグを左手で払いのけるとそのままジャブを打った。女が体を後ろに引いてよけると、さらに右ストレートを打つ。
女は両手をクロスしてガードしたが、安室の拳はガードを崩して女の額に直撃、女の体が後ろに吹っ飛び、その左目からコンタクトレンズが落ちた。
風見 裕也
安室 透(バーボン)
日照雨 遥(ブラン)
安室 透(バーボン)
女はフッフッフ…と不気味な笑いをもらし、ゆらりと立ち上がった。窓から差し込む月光が女を照らす。
ウィッグを取った女の髪色は銀色で後ろで束ねられていた。その銀髪からのぞく瞳を見た安室の表情がこわばる。
安室 透(バーボン)
日照雨 遥(ブラン)
風見 裕也
安室が左に体をずらすと風見は
風見 裕也
と女に銃を向けた。 フッ……と不敵な笑みを浮かべた女は、すばやく振り返り窓に向かって走り出した。
日照雨 遥(ブラン)
風見 裕也
女はガラス窓を突き破り、ビルから落下した。
真下の植木に突っ込んだかと思うと、すぐさま回転しながら滑り落ちていく。二階ほどの高さから大きくジャンプした女は、正門の上に着地すると、一回転して地上に降り立ち、外に向かって走り出した
警官
警備勤務の警官たちが女を追いかける
女が侵入したビルの玄関には〈国家公安委員会 警察庁〉と書かれた看板が掲げられていた。
桜田通りに飛び出した女は道路の真ん中で立ち止まった。走ってきたふるいマークIIが急ブレーキをかけて止まる
「危ねぇだろうが!」と怒鳴りながら運転席からでてきた若い男に、女の膝蹴りがくい込んだ。
コメント
3件
ちゃんと私の正体と本名バレてた…w キュラソーは出来れば助けたい(あれ見たら情湧くよ)