知らないって楽だよね。
世の中には、知らない方がいい ってもんがある。
例えば、今日食べたご飯にハエが 止まっていたこととか
タバコを一本吸っただけで、
寿命が5分半も縮まることとか。
僕
僕
あとは
この胸の痛みの理由とか
目の前にいる、彼氏のいる こいつのことが
好きだって感情とか。
生きてると、知らない方が幸せだったことがありすぎるんだ。
僕
広くて堂々としている海を見ると
こんな悩みも、ちっぽけなもの だなって思えると思うし。
真由
真由
僕
真由
真由
僕
僕
真由
真由
そう言った君は
俺が見たことのない顔で、
泣きながら笑っていた。
僕
俺なら、絶対に君を泣かせたり しないのに。
僕
僕
そう言おうと思ったが
その言葉を出しかけて飲み込む。
僕
バサッ
真由
真由
真由に、自分の上着を投げつけた。
僕
僕
僕
真由
真由
僕
僕
僕
真由
真由
僕
僕
真由
僕
二人でバイクに飛び乗って、
肌寒い夜の街を走った。
真由
真由
真由
街は街灯の光に照らされて
幻想的な風景を作り上げていた。
僕
僕
肌に当たる風が
熱くなった頬を心地よく 冷やしていった。
波の音だけが、闇の中で響く。
真由
僕
海はやっぱり
壮大で、力強くて
まるで自分の汚い感情も、全部
すくい上げてくれるような、 そんな感じがした。
知らなくていいことばかりだと 思っていた。
でも、君を好きだって感情を 知らなかったら
こんなに君の言葉だけで心が踊ったり
落ち込んだり、
幸せだと感じられることはなかった。
僕
真由
真由
真由
真由
僕
僕
僕
いつか君に
君が知らない僕の気持ちを伝えよう。
その時、君はどう思うだろう。
気持ち悪いと思うだろうか。
それとも、喜んでくれるのかも しれない。
僕が気持ちを伝えた時
僕もまた、知らなかったことを知る ことができるだろう。
それまでは
気楽に悩みを話せる相手でいい。
君が俺を必要としてくれるなら
僕
真由
僕
俺の笑顔も
君の不思議そうな顔も
全部海が、波の音と共に すくい上げていった。
コメント
41件
いやぁもう、本当に、本当に世界に流れる空気が清浄で、読んでいるだけなのに作中世界に見惚れてしまいます。 彼の恋がいつか叶うのを願いつつも、片想いのままこの距離でいてほしい気持ちもあります。 本当にいつも素敵な作品をありがとうございます!
主人公の彼はずっと切ない思いをしながらも真由さんを励ましてるのか… 応援したくなりますね 素敵なお話をありがとうございます!
ほんっとに表現が綺麗... あと、フォロワー100人おめでとー!(樋田蛍様にフォローされてるってめちゃ凄いじゃん!!!)