あともう少しで屋上の扉。
というところで、僕は彼を見つけてしまった。
ひゅっと心臓が出そうになるのを食い止める。
彼は屋上の扉を開けて、なにやらじっと見ている。
どうして入らないのだろう。
うちの中学校は屋上禁止ではないから、自由に出入りしていいはずなのに。
僕は彼に話しかけようと、少し近づいた時だった。
扉の隙間から見えたのは、ルートヴィッヒくんとフェリシアーノくん。
二人は親密そうに抱き合っており、
そして、
キス、を、したのだった。
それも軽い短いキスではなく、長いキス。
互いに互いの存在を確かめ合うような濃厚なキスに僕は血の気が引く。
焦って彼の姿を見た。
彼はふるふると震えながら、目から涙を流していた。
ああ、なんで!
そう思いながらも、僕は彼に声をかける。
イヴァン・ブラギンスキ
だが、彼は僕の手を振り払って階段を下っていってしまった。
ルートヴィッヒ
ルートヴィッヒくんの声が近づいていく。
僕は焦って彼のことを追いかけた。
ルートヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルートヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルートヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルートヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
ルートヴィッヒ
フェリシアーノ・ヴァルガス
フェリシアーノ・ヴァルガス
どこに行ったんだ?
まだ遠くには行っていないと思うけど、すばしっこくて全然追いつけない!
僕の足は速い方ではないけど、彼の足は速すぎるよ!
イヴァン・ブラギンスキ
イヴァン・ブラギンスキ
ああ、いた!
めっちゃ遠いところにいた!
しかもそこ突き当たり!
僕は焦っていたせいか、突き当たりの方へ走る彼を背中から抱きしめた。
イヴァン・ブラギンスキ
身長のせいで、彼の頭が僕の鼻をかすめる。
いい匂いがする……じゃなくて!
イヴァン・ブラギンスキ
彼はグスグスと泣いている。
よっぽどショックだったんだろう。
好きな人が友だちとキス、なんてしているところを見たら……
でも、チャンスだと思ってしまった。
イヴァン・ブラギンスキ
本田菊
イヴァン・ブラギンスキ
イヴァン・ブラギンスキ
イヴァン・ブラギンスキ
イヴァン・ブラギンスキ
イヴァン・ブラギンスキ
イヴァン・ブラギンスキ
イヴァン・ブラギンスキ
何言ってんだ、僕!
もっとスマートに告白できないの?!
なんでそんなどもっちゃうの!
全然かっこつかないし!
本田菊
イヴァン・ブラギンスキ
イヴァン・ブラギンスキ
イヴァン・ブラギンスキ
本田菊
彼は潤んだ瞳で僕を見上げた。
きゅるんとした可愛い彼の姿が僕の心臓を撃ち抜いていく。
イヴァン・ブラギンスキ
本田菊
目をこすりながら、彼は精一杯の笑顔で僕に笑いかけてくれた。
でもきっと、この笑顔は本当に笑っている顔じゃない。
耐えているんだ。
だから、喜んじゃいけない。
イヴァン・ブラギンスキ
これはただ、彼の心に空いた穴を埋めるだけにすぎない。
彼はきっとフェリシアーノくんが好き。
だから、僕がキクくんの本当の彼氏面なんかしちゃいけない。
そんな思いを胸に秘めながら、彼の涙を拭った。
コメント
4件
もう本当に最高です… こういう両片想い的なのめちゃくちゃ好き… ありがとうございます…!
まさかこんな展開になってしまうとは…告白は一応成功しましたが、なんだか悲しい気分ですね……それに、フェリシアーノがおっしゃっていたことも気になります…!より一層、続きが読みたくなりました! 投稿ありがとうございました!またの投稿、楽しみにしております!