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俺は紫
弟4人を養う社会人
弟たちはみんな個性豊かで可愛い
赤
紫
紫
この子は赤くん
高校2年生で我が家の次男
部活も忙しいはずなのにバイト代で家系を助けてくれている
赤
紫
赤
赤
紫
橙
紫
紫
橙
紫
この子は橙くん
我が家の三男
ムードメーカーで暗い空気が流れている日でもみんなを明るくしてくれる
黄
黄
紫
この子は黄くん
ツンデレな所もあるけどいつも俺たちを心配してくれてる
2人とも中学生なのに反抗期の「は」の字も感じられないほどいい子だ
紫
紫
青
この子は青
小学一年生の年齢ではあるけど
ある事情から大人を怖がるようになってしまって
学校には行けていない
今回は我が家の末っ子青ちゃんの過去と今について教えるね
青ちゃんが大人を怖がる最大の理由
それは2年前まで遡る
青
母
青
母
当時4歳の青ちゃんと俺たちの母さんが保育園から帰る途中
何気ない会話をしていただけだったのに
通り魔
母
青
深くフードを被った人
男か女かも分からないそいつは母さんをめった刺しにして殺した後
通り魔
青
青ちゃんに瀕死の傷を与えた
母さんの直接的な死因は出血多量だったそうだ
そして何日も何日も生死の境をさまよった青ちゃんは
奇跡的になんの後遺症も残さず退院の日を迎えた
紫
赤
橙
黄
紫
青
体は間違いなく元気になった
でも、青ちゃんの心はもう壊れていた
目が合わない
名前を呼んでも反応しない
話さない
泣かない
笑わない
精神科へ連れていった
何ヶ所も回って話を聞いた
でもどこへ行っても診断は同じだった
「トラウマだろう」
「時が解決してくれる」
心を失った青ちゃんはいつまで経っても笑うことは無くなった
異常はそれだけじゃなかった
家に帰ったその日から青ちゃんは絵を描き続けている
必ず桃色と水色が使われた絵
人のように見えるその絵を何枚も何枚も1日中描き続けていた
紫
青
赤
黄
橙
紫
赤
そして本当の問題は母さんの葬儀中に起こった
親戚
紫
親戚
親戚
青を撫でようとする
青
会場に響き渡る悲鳴のような声
親戚
紫
頭を下げることしか出来なかった
表情すら動かさなくなった青が突然叫び出した
俺らはすぐに理解した
大人がトラウマになってしまったのだと
紫
青
橙
黄
赤
どれだけ頑張っても
青の心に深く刻まれたトラウマは取ることができない
俺たち以外の大人が近づくだけで泣き叫ぶ
外に出るのも恐ろしくて
俺は完全にリモートワークに切り替えて青ちゃんと過ごすことにした
青
紫
青
そんなある日
紫
不在着信
紫
紫
親戚
紫
親戚
親戚
紫
親戚
親戚
親戚
親戚
紫
紫
親戚
親戚
紫
親戚
すぐに断るつもりだった
青ちゃんだけでも大変なのにもう1人はさすがに難しい
1度会ったら断ろう
そう思っていた
その子と会うまでは
紫
桃
小学校低学年くらいなのに
絶望したような、疲れきったような顔をしていた
紫
桃
正直、心配だったんだ
こんなに暗い子を青に会わせていいのかな
またパニックを起こしたらどうしよう
そんな俺の考えなんて、無駄だった
青
青
青ちゃんが桃くんを見た瞬間
駆け出した
桃
ぎゅっ
青
笑った
紫
橙
赤
黄
初めて会ったとは思えなかった
目が合った瞬間に確信したかのように
抱き合って
笑っている
紫
青
桃
生き別れた兄弟のように
惹かれあった恋人のように
2人は笑いあっていた
紫
赤
黄
橙
紫
紫
桃
紫
紫
紫
桃
桃
赤
青
青ちゃんの笑顔のためなら
いくらでも頑張れる
紫
紫
〜数週間後〜
外へ出ることすら出来なかった青ちゃんが
今では桃くんと庭を駆けている
青
桃
青
橙
黄
橙
橙
紫
赤
まだ、大人を怖がる
でも
確実に、回復している
ひとつだけ、気になっていたことがあった
なぜ、2人はあそこまで馴染むのが早かったのか
紫
赤
紫
赤
紫
紫
紫
そう、母さんがまだ生きていた頃
2人は既に出会っていた
青
桃
母
たまたま、公園にいつもいた子の1人
そして、それを見ていた人がいた
おじいさん
母
母さんとよく世間話をしていた程度の人
そんな人が、見ていてくれた
公園に来なくなってしまった2人を心配して
連絡をしてくれたのだ
赤
赤
赤
紫
紫
赤
赤
青
紫
紫
青
紫
紫
「桃くん」しか言えなかったのに
笑顔を見せてくれるだけでも嬉しかったのに
これ以上の幸せをくれるんだね
青
そして
青
紫
青
紫
青ちゃんは確実に言葉を覚えつつある
最近の口癖は「これ、なぁに?」
沢山話して
沢山笑うようになった
青
橙
青
黄
青
赤
青
紫
青
赤
紫
俺たちは今
幸せです
このお話は馳 星周様の「少年と犬」という小説を参考にさせて頂きました
東日本大震災で家族を亡くした犬の「多聞」が5年の歳月をかけて大切な人に会いにいくという内容です
2025年3月20日に映画が公開されるそうですのでぜひ観に行ってみてください!