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三月少しだけ季節が前に進んだ頃
二月の終わりから三月にかけて
くにの時間の流れは 少しだけ遅くなった気がしていた
特別なことは起きていない
くにとこったろは今までと同じ道を歩き
同じ席に座り
同じ友達と話している
ただ“言わなくても伝わること” が増えただけだった
それが嬉しくて
同時に少しだけ怖い
くに
昼休みくには何気ないふりをして言った
こったろ
こったろは教科書をめくりながら答える
くに
こったろ
でもその返事は少しだけ遅かった
こったろの迷い
こったろは正直に言えば困っていた
バレンタインの日 くにが差し出してきたチョコは
ただの“イベント用”じゃなかった
手作りで不器用で
でも真剣だった
あれに対して お菓子で返していいのか
こったろ
放課後にゆうにぽつりと漏らす
如月ゆう
ゆうは柔らかく笑った
如月ゆう
その言葉がずっと頭に残った
周囲の視線
れるはこったろを見て言った
Relu
Relu
こったろ
Relu
れるが冗談めかして言うと
こったろは一瞬言葉に詰まった
こったろ
Relu
こえは静かに二人の様子を見ていた
Coe.
Coe.
その一言で こったろの中で何かが決まった
ホワイトデー前日
放課後くにと並んで歩く帰り道
こったろ
こったろが少しだけ視線を逸らして言う
こったろ
くに
即答だった
こったろ
理由は言わなかった でもくにはそれ以上聞かなかった
“待つ時間”も もう関係の一部になっていたから
ホワイトデー当日の朝
くには時計を 何度も見る自分に気づいて小さく深呼吸した
Coe.
こえが聞く
くに
Relu
れるが笑う
他の2人は少し離れたところから見守る
如月ゆう
こったろ
如月ゆう
放課後、屋上
屋上はまだ風が冷たい でも空は二月よりもずっと高い
こったろは少し遅れてやってきた
制服のポケットに 何かを大事そうにしまっている
こったろ
くに
こったろ
こったろはくにの前に立つ
こったろ
こったろ
ポケットから小さな箱を取り出す
こったろ
箱を開けると中には 小さなシルバーのブレスレットが入っていた
主張しすぎないシンプルなデザイン
こったろ
こったろ
こったろ
くには言葉が出なかった
こったろ
こったろが少し不安そうに聞く
くには首を振る
くに
こったろ
くに
そっと箱を閉じて胸に抱く
くに
こったろ
屋上の静かな時間
風の音だけが流れる
くに
くにが言う
くに
くに
こったろは少し照れたように視線を逸らす
こったろ
その一言でくにはすべて理解した
帰り道
夕方の道を並んで歩く
こったろ
くに
こったろ
くに
こったろ
くに
こったろは小さく笑った
ホワイトデーは派手な約束の日じゃない
それは自分の時間を使って 相手のことを考えた証を渡す日
素直になれない二人はまだ完璧じゃない
でもチョコの続きに
アクセサリーという答えを添えて また同じ日常へ戻っていく
春が来る前の静かで確かな一日として