浩太
(この人は、コジマじゃない…!)
浩太
(大島だ…)
浩太
(銀行強盗で指名手配された1人だ!)
数日前に発生した銀行強盗において、
実行犯は逃走中に覆面を外しており、それが街中にある監視カメラに映っていた。
そのうち1人には前科があり、すぐに特定され指名手配に至ったのだ。
浩太
(大島はすでに3人殺している)
浩太
(俺たちを殺すことにも躊躇しないだろう…!)
圭一郎
どうしたー浩太?
美晴
早く入りなよ
大島
火もおこしているので暖かいですよ
浩太
え、ええ
浩太
(圭一郎と美晴は気づいてない)
浩太
(俺が妙な動きさえしなければ、やり過ごせるかもしれない)
浩太
(だけど、犯人はもう1人いた)
浩太
(近くに潜んでいるのかもしれない)
浩太
(油断は禁物だ…)
美晴
暖かーい!
圭一郎
生き返るー!
山小屋の中で、大島は焚き火をしていた。
大島
奥に薪があるので取ってきますね
大島は隣の部屋に向かった。
美晴
お腹すいたねー
瞬間、圭一郎の腹も鳴った。
圭一郎
昼から何も食ってないもんなぁ…
圭一郎
コジマさん、何か食い物持ってないかな?
圭一郎
あの大きいバッグに入ってないかな?
圭一郎は、部屋の隅にあったバッグに近づいていった。
浩太
お、おい!
美晴
勝手に見ちゃダメでしょ!
圭一郎
大丈夫大丈夫
圭一郎
ほら、チャックが開いてるじゃん
圭一郎
隙間から覗くだけ──
圭一郎
えっ
美晴
どうしたの?
美晴もバッグに近づき、中を覗いた。
美晴
な、なにこれ!
圭一郎
じゅ、銃だ!
浩太
み、みんな逃げ──
大島
動かないでください
戻ってきた大島は、こちらに銃を向けていた。
大島
もう少し好青年を演じようと思いましたが
大島
バレてしまえば仕方ない
浩太
(最悪な展開になってしまった…!)
大島
これからあなたたちは奴隷です
大島は、不気味なほどに爽やかな笑みを浮かべた。
大島
一緒に楽しく過ごしましょう
圭一郎
は、ははは
圭一郎
冗談きついっすよコジマさん
圭一郎
おもちゃなんかで──
バァン!
圭一郎
ひぃ!
大島
残念ながらおもちゃではありません
大島
妙な動きをしたら問答無用で撃ちます
大島
それと、私はコジマでもありません
大島
隣の賢そうな坊やは、気づいているんでしょう?
浩太
──その人は、大島
浩太
銀行強盗、殺人で指名手配されてる奴だ
圭一郎
ま、マジかよ…!
美晴
そんな…!
圭一郎
どうして指名手配犯がこんなところに…?
大島
仲間のミスで、私の顔が割れてしまいまして
大島
一時的に身を隠しているのです
大島
ここなら、めったに人はこないですから
大島
君たちが来てしまったのは予想外です
大島
ですが、何事にもイレギュラーはつきものです
大島
今はそのイレギュラーを楽しみましょう
大島
君たちが来てくれて良かった
大島
退屈で、遊び相手がほしかったところなんです
大島
まずは何をしましょうか
浩太
(相手は銃を持ってる凶悪犯…)
浩太
(下手なマネはできない)
浩太
(だけど、うまく逃げられたとしても)
浩太
(外は吹雪で、明かりもない…)
大島
良い案が浮かびました
大島
そこのお嬢さん
美晴
あ、あたし!?
大島
お名前は?
美晴
み、美晴です
大島
それでは美晴さん
大島
ストリップをしてください
美晴
は、はぁ!?
大島
男子諸君も興味あるでしょう?
浩太
!
圭一郎
なっ…!
大島は銃を向けてくる。
大島
興味ありますよね
浩太
(ここは反抗しちゃダメだ…)
浩太
(ごめん、美晴!)
浩太
はい…
圭一郎
お、俺もです…
美晴
あんたたち、サイテー…!
大島
さあ、仲良しの男子も望んでいることですし
大島
美晴さん、ストリップをしてください
美晴
い、いや!
バァン!
大島は、美晴の足下を撃った。
美晴
ひっ…!
大島
私はすでに3人殺しています
大島
銀行にいた女の子、その母親、支店長
大島
殺した3人には共通点がありました
大島
それは、私の『命令』に従わなかったこと
美晴
…っ!
大島
利口な美晴さんにはわかりますよね
美晴
は、はい…
美晴は涙を流しつつ、服を一枚一枚脱いでいった。
浩太は慌てて視線を逸らした。
圭一郎もそれにならい、下を向く。
大島
私はロリコンではありませんが
大島
中々に楽しいですね
大島
君たちもそう思うでしょう?
浩太
…………
圭一郎
…………
大島
美晴さんを気遣う良い子ですね
大島
しかし、それでは面白くありません
大島
美晴さんを見なさい
大島
これは、『命令』です
浩太と圭一郎は、視線を上げた。
そこには、下着姿の美晴が恥ずかしげに立っていた。
大島
ほら、もっと近づいてやりなさい
美晴は、赤面した顔を横に向けたまま、2人に近づいてきた。
大人へと成長し始めた幼なじみを見て、ドキリとしてしまう。
大島
残るは下着ですね
大島
さあ、脱ぎなさい
美晴
う、うぅ…
美晴は震えながらブラジャーに手をかけた。
浩太
(このままで良いはずがない…!)
浩太
(美晴を助けないと…!)
浩太
(でも、どうやって!?)
浩太は思考を巡らせる。
浩太
(成功する確率は低い)
浩太
(でも、やるしかない…!)