夏の暑さも、もう感じなくなり
外の空気も少し冷たくなってきた。
大沢 拓海
もうすぐ秋だなー
筒井 希美
秋だねー
大沢 拓海
文化祭に運動会
筒井 希美
恋が実りやすくて
大沢 拓海
カップルが急激に増える
筒井 希美
秋だねー
2人だけの図書室。
2人の、本をめくるペラっ という音と
廊下ではしゃぐ声だけが聞こえて くる、昼休み。
大沢 拓海
筒井は好きな人とかいんの?
本の内容を頭に入れながら、 筒井に話しかける。
筒井 希美
今本読んでるんで、
筒井 希美
話しかけないで
貰えますかー?
貰えますかー?
大沢 拓海
な……っ
大沢 拓海
まぁいいけど
大沢 拓海
ま、俺らみたいに
毎日図書室で本読んでる
ようなやつには
毎日図書室で本読んでる
ようなやつには
大沢 拓海
どれだけ大きな
行事があっても
行事があっても
大沢 拓海
付き合うやつが
出来るなんて
出来るなんて
大沢 拓海
無縁の話だろうけど
筒井 希美
今年の秋は、
違うかもよ?
違うかもよ?
筒井が、本をめくる手を止めて そう言った。
大沢 拓海
…どういう意味?
思わず、俺も手を止める。
筒井 希美
ふふ、今年の秋を
楽しみにしててよ
楽しみにしててよ
筒井 希美
大沢くん
筒井は満足げに微笑んだ。
大沢 拓海
なぁ、筒井
筒井 希美
え?
筒井の方に顔を向ける。
大沢 拓海
俺、前から筒井のこと
大沢 拓海
……やっぱ
大沢 拓海
ここから先は言わないわ
大沢 拓海
筒井が、秋になったら
自分から言って
くれるんでしょ?
自分から言って
くれるんでしょ?
にんまりとした顔で、筒井を見る。
筒井 希美
…っ!
筒井の顔は、りんごの様に赤かった。
もうすぐ、秋がやって来る。
恋の
〝実りの秋〟