僕たちは、苦しい日々でもお互いの夢に向かって支えながら生きた
だが、さすがに食料がない
どんなに前を向いても、飢えだけはどうにもならなかった
るぅと
お腹すいた……
ジェル
そうやなぁ…
るぅと
早くご飯こないかなぁ……
ジェル
うーん…もうそろそろやと思うんやけど…
男の子
お前ら、配給待ってんの?
ジェル
え?あぁ…そうやけど
男の子
配給なんかあてにしてたら飢え死にすんぞー
男の子
それよりも、「闇市」のほうがよっぽどいいぜ!
るぅと
や、やみ…いち?
男の子
あぁ!お菓子とかもあるらしいぜ〜
男の子
そんじゃ、俺行ってくる!
ジェル
や、闇市…か
るぅと
うーん…どうします?
ジェル
でも、こんなところで悩んでても本当に飢え死にしてしまうで…
ジェル
行ってみよか
るぅと
は、はい!
2人が闇市へ行くと、たくさんの人と商品が溢れていた
るぅと
ひ、人がたくさん…!
ジェル
るぅちゃん、離れないよに俺の手掴んでてや
るぅと
はい!
ジェル
(…どこからこんなにたくさんの食料が出てきたんやろか…)
るぅと
(あ、甘いものがたくさん…!うぅ、欲しくなっちゃいます…)
ジェル
なぁ、るぅちゃん
るぅと
はい?
ジェル
ご飯買うにはお金が必要みたいや…
るぅと
お金…!?でも、僕たちお金なんて…
ジェル
こうなったらしかたないなぁ…るぅちゃん、俺が定員さんの気を引くから、その隙に盗ってや
るぅと
(盗む…ってことですよね)
るぅと
(でも、生きるためだから…)
るぅと
わ、わかりました
それから、僕たちはお腹が空いては闇市へ行った
毎回後ろめたさと申し訳なさが残ったが、生きるためにはこれしかなかった
そんな生活を続けて一ヶ月
ジェル
る…るぅちゃん……
るぅと
どうしたんですか?
ジェル
か…髪が…
るぅと
なっ…!?
ジェル兄の手には、オレンジ色の綺麗な髪があった
ジェル
髪が…抜けてきてんやけど…
るぅと
ど、どうしてでしょう……
ジェル
俺どうなるんかなぁ…
るぅと
だ、大丈夫ですよ!元気出してください!
るぅと
たまたま抜けちゃっただけですって…!
ジェル
そう…やな
ジェル
大丈夫やな!
僕たちにはまだわからなかった
これがさらなる不幸の前兆だと
髪が抜けてから、ジェル兄は頻繁に吐血をするようになった
ジェル
コホッ!ゲホッ!
るぅと
ジェル兄…!ジェル兄しっかり!
ジェル兄の体は恐ろしい速さで蝕まれていった
ジェル
はぁ…はぁ…
俺…死ぬんかな……
俺…死ぬんかな……
るぅと
そんなこと言わないでください…大丈夫ですから…!
ジェル兄はどんどん衰弱していった
とうとう僕はジェル兄背負い病院へ連れて行った
るぅと
お願いします…ジェルを見てあげてください!
だが
医師
またこの症状か…
医師
残念だが、これには手の施しようがないんだ…
るぅと
そんな…じゃあジェル兄はどうなっちゃうんですか!
医師
もう、難しいだろう…
それは、放射能が引き起こす原爆症というものだった