プルルルルル~ プルルルルル~
ガチャッ
真一
美羽
お疲れ様
真一
出なかった?
美羽
夕食の準備してて
着信気づかなくて
真一
美羽
真一
出れないってことは
浮気してたんだろ?
美羽
真一
絶対に出ろ、いいな!
美羽
美羽
/s/[storyId]/_components/chat-script-render/op/end-call/assets/call-end.7ffbe621715a9ef9.png)
通話
00:30
ガチャッ
美羽
真一
美羽
次からは気をつけるから
真一
バタバタバタ~
海斗
海斗
真一
海斗
真一
海斗
パパこわい
真一
男なのにビービー泣くな
美羽
海斗に当たらないで
真一
お前が電話に出ないのが
悪いだろ
パンッ!!
美羽
美羽
…痛い)
美羽
泣いたらまた怒られる)
美羽
私の名前は美羽、23歳 主人は真一、25歳
真一とは高校の時に出会い 卒業後に同棲、
その後19歳の時に 妊娠したのをきっかけに結婚
20歳で出産、 いまは3歳の息子海斗と 親子3人で暮らしている
店長
店長
店長
美羽
店長
顔色が悪いけど?
美羽
していただけです
美羽
ぼーっとしてしまって
店長
店長
ちゃんと言ってね
美羽
真一の趣味はゲームと車 お金を惜しむことなく使う
そんな金遣いの荒い彼を支え 少しでも生活を安定させるために
私はファミレスの ホールスタッフとして アルバイトを始めた
店長
美羽
でもまだ行く時は泣きます
店長
うちの子も最初泣いた!
日中はアルバイトをするために 海斗を保育園に預けている
三嶋
店長
美羽
店長
美羽ちゃんとシフト入るの
初めてだったね
三嶋
店長
美羽
よろしくお願いします
三嶋
よろしくお願いします
店長
ランチタイムまでの
シフトだから
店長
ちゃんと教えてね
三嶋
店長
三嶋
いってらっしゃい
店長は私と同い年とは思えないくらい 仕事をテキパキこなす
性格はサバサバしていて 気さくで話しやすかった
三嶋
内館さんも23歳なの?
美羽
三嶋
美羽
…見えないですね
三嶋
失礼だぞっ?笑
美羽
す、すみません
三嶋も同い年 明るくムードメーカー的な存在
いつも、窮屈な生活をしているせいか 職場の仲間と話すのは とても楽しい時間だった
職場が現実逃避の場所… なんて、そんな気持ちにもなる
しかし、時間は止まらない すぐに現実に引き戻されるのだった
真一
俺のコーラ
買ってないのか?
美羽
真一
パンッ!
美羽
真一
ブサイクだな
美羽
真一
横並んで歩くなよ
美羽
真一
ゲーム買ってきた?
美羽
真一
美羽
足りないんだけど…
真一
お前なんのために
仕事してんの?
美羽
生活費つらいよ
真一
美羽
真一
色目使ってんだろ?
美羽
真一
美羽
真一
反抗的だな?
真一
近所のヤンキーに
やられてしまえ
美羽
真一
真一
キツいこと言っちゃって…
真一
美羽
私も愛してるよ
真一はキツく当たった後は 必ず優しくしてくれた
だから、、、 私さえ我慢すれば、 これからもうまくやっていけると
そう思うしかなかった
三嶋
DVだよ
美羽
美羽
美羽
大袈裟だよ
三嶋
気づかないとかいうけど
三嶋
美羽
確かに叩かれるよ?
美羽
ほどじゃないし
三嶋
DVじゃないんだよ
三嶋
三嶋
言われてるし
美羽
最後には
優しくしてくれる
三嶋
美羽
三嶋
マインドコントロール
受けてるよ
美羽
三嶋
反抗したら
叩かれるでしょ?
美羽
三嶋
美羽
三嶋
我慢すればいいって
問題じゃないよ
美羽
三嶋
子供に暴力がいったら?
美羽
三嶋
いいと思うよ
美羽
三嶋の言うとおりだと思った もし海斗にまで暴力が及んだら?
そこまで考えていなかった…
一気に恐怖を感じた
それから何日かして 恐怖は現実になる…
5/15(金)
真一
知り合いのとこに
預けるから
真一
仕事場まで迎えきて
美羽
真一の仕事場は 家から車で30分くらいかかった
途中峠道を越えて、 真一の仕事場に16:50に着き 終業時間を待っていた
美羽
なんか部品買ったんだ)
美羽
ガチャッ
真一
美羽
お疲れ様!
真一
安全運転で帰ろう!
美羽
だよね?
真一
真一
美羽が運転してよ
美羽
エンジンをかけ、 走り出そうとした瞬間
真一
ミラーが曲がってる
直せ
美羽
車好きの真一は 運転に関してもうるさい
真一
真一
真一
美羽
美羽
したくないんだよ)
帰り道も峠に差し掛かったあたり
真一
他の男乗せてない?
美羽
真一
反抗的だしさ
真一
出来てんじゃないか?
と思ってさ
美羽
… ガンッ!!
真一との会話に 気を取られていたせいか 段差に気付かず乗り上げてしまった
美羽
真一
車は制御を失い道を外れ 草むらに突っ込んで止まった
美羽
大丈夫?
怪我はない?
真一
バタンッ
真一は何も言わず外に出て 車の様子を見ていた
真一
美羽
私は黙って車の外に出た
真一
美羽
真一
ヘコんでんじゃねーかよ
真一
美羽
美羽
車の心配…
真一
美羽
ありがとうも言わない
真一
なんだよ?!
美羽
疲れてるのに
真一
おまえ!!!
ガンッ!!!
一瞬目の前に火花の様なものが 飛び散った…
そして頬が熱い 痛い…
真一は自分の拳を抑えていた
真一
真一
私は恐る恐る自分の頬を触る
美羽
グーで殴られた)
真一
ガチャッ
バタンッ!!
美羽
美羽
しんちゃん!!
真一
真一は運転席に乗り込み 私を外に置き去りのまま 車を出そうとした
美羽
美羽
真一
美羽
グーで殴ったでしょ?
美羽
真一
ブルルルルル
美羽
私の叫びは届かず 真一は無言のまま車を出してしまった
峠道に1人取り残され 頬の痛みと心の痛み
美羽
無理かもしれない)
~2時間後~
ガチャッ
美羽
海斗
美羽
パパ帰ってきてないね
峠道に取り残され、 携帯電話も圏外
しかし、 保育園の迎えがあることに気付き、
峠道を必死で走り なんとか電波のある所まで下り
父に助けを求めた
プルルルルル~ プルルルルル~
ガチャ
美羽
お父さん
どうした?
美羽
えっと
美羽
言わないでおこう)
美羽
事故っちゃって
お父さん
美羽
車を移動して
くれたんだけど
美羽
私、車に乗れなくて
美羽
いるんだけど、
美羽
お父さん
いま美羽迎えにいって
海斗も迎えにいくから
お父さん
大丈夫か?
美羽
その後は父に送ってもらって アパートまで戻ってきた
頬をハンカチで抑えて 腫れを隠しながら…
父には心配をかけたくなかった
美羽
帰ってきたくなかった)
美羽
海斗
どうしたんだろ?
美羽
ここに戻ってこないと)
美羽
帰ってくるよ
海斗
美羽
美羽
私が我慢しないと)
ガチャッ!!
真一
美羽
あの、、
私が言葉につまっていると 真一は私を抱きしめた
真一
無事で
真一
俺どうかしてた
真一
美羽
車ぶつけちゃって
ごめんなさい
真一は、 腫れ上がった拳を私に見せた
真一
美羽の心の痛み
真一
真一
躾って言われて
真一
真一
俺は暴力を
振るうんだと思う
美羽
真一
手を
挙げたりしないから
美羽
海斗
ママ??
真一
真一は海斗を抱きしめた
真一
今日はたくさん
遊んでやるぞ!
海斗
ほんとぉー?
海斗
あそぼ!!
真一
2人の笑顔を見て 少し気持ちが落ち着いた
美羽
パパが必要…か)
次の日、 私はたまたま仕事が休みだった
美羽
今日はシフト
入ってなくて)
美羽
…アザが残ってる)
美羽
仕事出来ない)
車を修理に出しているので 歩いて買い物に出掛ける
美羽
美羽
近所のスーパーに行く途中に 職場であるファミレスがあるため
自然と職場の前で足を止めていた
美羽
三嶋
真一
美羽
しんちゃん?)
美羽
しんちゃんが?)
咄嗟に物陰に隠れていた
美羽
何話してるか
聞こえない)
美羽
仕事は?)
真一
真一が三嶋の襟首に 掴みかかったのが見えた
三嶋
美羽
気づいたら2人の間に入っていた
真一
美羽
2人が話してるのが
見えたの
真一
出来てんのか?
美羽
美羽
仕事は?
真一
辞めてきた
美羽
三嶋
一旦落ち着いて
もらえますか?
真一
嫁は浮気かよ
美羽
浮気してないし
美羽
巻き込まないでよ
真一
三嶋
内館さん
三嶋
僕は結婚して
子供もいますし
三嶋
職場で
話しているだけで
三嶋
知りませんよ
真一
三嶋
真一
真一は、 三嶋の携帯電話を奪い取り
ガッシャーン!!
美羽
思いっきり地面に叩きつけた
三嶋
真一
連絡出来ないだろ
美羽
美羽
人の物を壊すなんて
真一
美羽
ちゃんと弁償します
三嶋
三嶋
三嶋
真一
美羽
いい加減にして!
美羽
携帯は
必ず弁償します
美羽
呼ばないで貰えると
助かります
美羽
すみません
三嶋
三嶋
三嶋
もう別れた方が
いいよ)
三嶋は私に小声で伝えた
真一
浮気してることで
真一
訴えられるんだぞ
三嶋
美羽さんこそ
あなたを訴えられますよ
三嶋
戻らせていただきます
三嶋
騒ぎを起こすのであれば
三嶋
いただきますので
三嶋
真一
話終わってないぞ
美羽
私は、真一の前に立ち塞がり 行く手を阻んだ
真一
美羽
真一
美羽
私を追い込んで
美羽
真一
真一
美羽
治ることは
ないでしょうね
美羽
美羽
真一
真一
何言ってんだよ
美羽
私は、真一が止めるのも聞かず 海斗を迎えに保育園に向かった
保育園の帰り道 私は海斗と手を繋いで帰った
海斗
はやいねー
美羽
今日は特別だよ
海斗
かえるのたのしい!
美羽
美羽
美羽
海斗
なーに?
美羽
別々に住むことに
なったの
美羽
どっちと一緒がいい?
ドラマのワンシーンで 何度か聞いたことのあるセリフ
まさか、自分が言うことになるとは
海斗の返事次第では、 もう一緒に住めないかもしれない…
この質問をするのには
覚悟がいることを知った…
海斗
美羽
なんの迷いもなく 海斗は私を選んでくれた
うれしくて涙がこぼれた
美羽
アパートでは 真一が待ち構えていた
真一
冗談はやめろよ
美羽
真一
真一
勝手に出てくんだよ
美羽
私は無言で荷物をまとめていた
真一
真一
真一がまた手を挙げようとする
美羽
美羽
真一
美羽
手が出るんだね
真一
美羽
真一
美羽
美羽
我慢してきたんだよ
真一
美羽
突然に
感じるかもしれない
美羽
私のこと何回ぶった?
美羽
美羽
真一
真一
真一
帰ってこなくなるかも
真一
失いたくない
美羽
真一
本当に実家に
帰ろうとしてるのか?
美羽
真一
男のところだろ
美羽
真一
そうに決まってる
美羽
真一
美羽
本当に無理
真一
美羽
奴隷じゃない!
真一
美羽
人形じゃないよ
真一
言い争いをしていると 海斗が心配そうに 私のそばにやってきた
海斗
ママをおこらないで!
真一
美羽
真一は 私のそばにいた海斗を引っ張り 首根っこを捕まえ宙に浮かせた
美羽
やめて!!!
海斗
いたいよー!!
真一
美羽
私の静止を振り切り 真一は海斗をそのまま 床に投げつけた
ダンッ!!
美羽
急いで海斗に駆け寄る
海斗
美羽
海斗
うぇーーん!!
美羽
海斗を抱きしめ 安心させるよう頭を撫でる
美羽
立てる?
私が必死になっている姿を 真一は少し遠くて見ていた
真一
真一
美羽
美羽
真一
真一
真一
俺は海斗を…
美羽
美羽
人のせいにするの
やめて
美羽
お義母さんの
せいでもないし
美羽
しんちゃんのせいだよ
真一
美羽
美羽
真一
本当!!
美羽
美羽
私の考えの甘さが 海斗を傷つけた
もう迷わない!!!
美羽
すみません
離婚を決意した私は 真一の実家に足を運んだ
真一の母
どうしたの?
真一の父
真一の母
一緒じゃないの
美羽
今日はお話があって
私は今までの経緯を 真一の両親に話した
真一の母
真一の父
暴力なんか…
美羽
美羽
美羽
美羽
昔ご両親に躾で
叩かれたせいだと
真一の父
真一の父
それも親のせいに
するのか!
真一の母
本当にごめんなさいね
真一の母は泣いていた
真一の母
思っていたけど
ここまでとは…
美羽
真一の母
させてしまったね
真一の母
味方だからね
美羽
美羽
美羽
手を挙げてしまうのは…
美羽
もう限界です
真一の母
真一の母
でも、そこをなんとか
我慢してもらえないかしら
真一の父
真一の父
頼める立場じゃないが
真一の父
キツく言うから
真一の父
待ってはくれないか?
美羽
美羽
変わらないです
真一の父
真一の母
真一の両親は ガックリと肩を落としてしまった
5/17(日)
美羽
お義母さんに
話してきたから
美羽
美羽
美羽
話すから
店長に事情を説明し、 今日は仕事を休み 荷物をまとめて実家に転がり込んだ
お父さん
喧嘩したからって
美羽
お父さん
美羽
お父さん
一体どーした?
私は、少し薄れた頬のアザを見せた
美羽
殴られた
お父さん
美羽
お父さん
お父さん
少し我慢ってものが
美羽
我慢してきたもん
真一
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通話
00:00
美羽
美羽
真一
美羽
真一
親とそっちに行くから
美羽
真一
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通話
00:15
美羽
美羽
美羽
お父さん
美羽
内館家が揃ってくるって
お父さん
美羽
あっちのお義父さんたち
なにかあったのかな?)
電話後、まもなくして 真一、義父、義母の3人は 私の実家へとやってきた
海斗
じぃじとばぁばだー!
真一の母
真一の父
お邪魔いたします
お父さん
散らかってますが
どうぞ
真一
父は3人をリビングに通す
真一は鋭い眼差しで 私を睨みつけた
真一の父
ウチのバカ息子が
美羽ちゃんに嫌な思いを
真一の父
真一の母
お父さん
至らないところが
あったでしょうから
真一の父
2人とも若いし
真一の父
責任をもってもらいたい
お父さん
美羽
昨日、真一の両親と話した時とは 明らかに態度が違うことに気付いた
美羽
…きっと)
真一
させられたから
お父さん
真一
他の男と
付き合ってたんですよ
お父さん
美羽、本当か?
私は涙を溜めて 首を横に振るしか出来なかった
真一の父
ちゃんと償っていかなきゃ
いけない
真一の父
ウチの息子に
償いが必要だろう
真一の母
美羽
真一の父
海斗を1人で
育てるつもりかい?
真一の母
ウチに預けなさい
美羽
美羽
私の味方だって…)
真一
海斗は美羽に
任せるから
真一の母
海斗は…
真一
海斗にはママが
必要だから
美羽
お父さん
真一の父
離婚届には
サインしてださい
真一の父
一切考えないで
いただきたい
美羽
私は無言で離婚届にサインをする
お父さん
父は悔しそうに私を見ていた きっと私のつらさが 伝わったのだろう
親は皆、自分の子が可愛いのだ 真一の両親もきっとそうだ
私は、内館家では たった1人血の繋がらない家族だった
私の言葉より、 可愛い息子の言葉を信じるのだろう
真一の母
真一の母
真一の母
いいかしら?
美羽
真一の母
真一の母
美羽
美羽
悔しくて悔しくて… 悲しくて悲しくて… たまらなかった
涙も枯れた 声も出ない ただ、この人たちと一緒にいたくない
真一の父
私たちはこれで
真一の父
ありがとうございました
お父さん
美羽
父と私で 玄関まで彼らを見送る
二人とも言葉はなく この場が終わることのみを 望んでいた
義父と義母はどこか 勝ち誇ったような顔をしていた
バタバタバタ~!!
海斗
ばぁば!
海斗
海斗はペコりと頭を下げた
美羽
真一の父
真一の母
お父さん
1番大人なこと言うなぁ
父は海斗の頭を撫で でかしたぞっと言わんばかりだった
さっきまで勝ち誇った顔の 真一の両親は
海斗の会心の一撃に打たれ 苦虫をかみ潰したような フクザツな顔で
私の家を去って行った
美羽
海斗
美羽
海斗
なにがー?
海斗はキョトンとした表情で 私を見ていた
私は海斗を思いっきり抱きしめた
海斗
今日俺、算数のテストで
100点とったんだよ!
美羽
すごいじゃん!
美羽
今夜はからあげにしよう!
海斗
からあげサイコー!
親が離婚すること… それはどんな理由があろうと 親の勝手
子供は被害者である
でも、子供が本当に笑顔でいれる
そんな環境で育った方が 子供は幸せになれると思う
子は宝
そして…
子供は天使