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天使の居場所

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天使の居場所

1 - 天使の居場所

♥

70

2020年04月27日

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プルルルルル~ プルルルルル~

ガチャッ

真一

もしもし、美羽?

美羽

しんちゃん
お疲れ様

真一

なんでさっき電話に
出なかった?

美羽

あ、ごめんね
夕食の準備してて
着信気づかなくて

真一

…浮気か?

美羽

えっ?

真一

電話に
出れないってことは
浮気してたんだろ?

美羽

そんなわけ…

真一

じゃあ、俺の電話には
絶対に出ろ、いいな!

美羽

…はい

美羽

通話終了

通話
00:30

ガチャッ

美羽

あ、おかえりなさい!

真一

美羽

さっきはごめんなさい
次からは気をつけるから

真一

バタバタバタ~

海斗

パパ!!

海斗

おかえり!!

真一

…うるさい

海斗

真一

海斗あっちに行ってろ

海斗

…うぇーん
パパこわい

真一

…うるさい
男なのにビービー泣くな

美羽

ちょっと、
海斗に当たらないで

真一

は?
お前が電話に出ないのが
悪いだろ

パンッ!!

美羽

美羽

(ほっぺジンジンする
…痛い)

美羽

(…でも泣いちゃだめ
泣いたらまた怒られる)

美羽

すみませんでした…

私の名前は美羽、23歳 主人は真一、25歳

真一とは高校の時に出会い 卒業後に同棲、

その後19歳の時に 妊娠したのをきっかけに結婚

20歳で出産、 いまは3歳の息子海斗と 親子3人で暮らしている

店長

…ちゃん?

店長

店長

美羽ちゃん!!

美羽

あ、はい!

店長

どーしたの?
顔色が悪いけど?

美羽

いえ、少し考えごとを
していただけです

美羽

すみません、仕事中に
ぼーっとしてしまって

店長

店長

体調が悪かったら
ちゃんと言ってね

美羽

はい、本当にすみません

真一の趣味はゲームと車 お金を惜しむことなく使う

そんな金遣いの荒い彼を支え 少しでも生活を安定させるために

私はファミレスの ホールスタッフとして アルバイトを始めた

店長

子供さん、保育園慣れた?

美羽

はい
でもまだ行く時は泣きます

店長

わかる!
うちの子も最初泣いた!

日中はアルバイトをするために 海斗を保育園に預けている

三嶋

おはようございます!

店長

三嶋、おはよう

美羽

おはようございます

店長

あ、三嶋は
美羽ちゃんとシフト入るの
初めてだったね

三嶋

あ、はい

店長

こちら、内館 美羽さん

美羽

あ、内館です
よろしくお願いします

三嶋

俺は、三嶋 寛太です
よろしくお願いします

店長

美羽ちゃんはオープンから
ランチタイムまでの
シフトだから

店長

三嶋も教えられることは
ちゃんと教えてね

三嶋

りょーかいっす

店長

じゃあ私は休憩入るよ

三嶋

はいっ!
いってらっしゃい

店長は私と同い年とは思えないくらい 仕事をテキパキこなす

性格はサバサバしていて 気さくで話しやすかった

三嶋

えっ?
内館さんも23歳なの?

美羽

あ、はい

三嶋

俺もおれもー!

美羽

えっ!?
…見えないですね

三嶋

ちょっと~
失礼だぞっ?笑

美羽

はっ!
す、すみません

三嶋も同い年 明るくムードメーカー的な存在

いつも、窮屈な生活をしているせいか 職場の仲間と話すのは とても楽しい時間だった

職場が現実逃避の場所… なんて、そんな気持ちにもなる

しかし、時間は止まらない すぐに現実に引き戻されるのだった

真一

なんだ?!
俺のコーラ
買ってないのか?

美羽

すみません

真一

ジュース切らすなよ

パンッ!

美羽

っ!!

真一

前髪切ったのか?
ブサイクだな

美羽

真一

恥ずかしいから
横並んで歩くなよ

美羽

…っ

真一

今日発売の
ゲーム買ってきた?

美羽

うん

真一

♪♪

美羽

あの、今月お金
足りないんだけど…

真一

は?
お前なんのために
仕事してんの?

美羽

ゲーム何本も買ってたら
生活費つらいよ

真一

じゃあお前がもっと稼げよ

美羽

真一

職場の男に
色目使ってんだろ?

美羽

そんなことしない

真一

信用できるかよ

美羽

真一

おい!なんだその目は
反抗的だな?

真一

お前みたいなアバズレは
近所のヤンキーに
やられてしまえ

美羽

…くっ

真一

…本当にごめん

真一

俺、すぐカァってなるから
キツいこと言っちゃって…

真一

美羽、愛してるよ

美羽

…しんちゃん
私も愛してるよ

真一はキツく当たった後は 必ず優しくしてくれた

だから、、、 私さえ我慢すれば、 これからもうまくやっていけると

そう思うしかなかった

三嶋

…それさぁ
DVだよ

美羽

えっ?

美羽

美羽

いや、DVだなんて
大袈裟だよ

三嶋

…DV受けてる人って
気づかないとかいうけど

三嶋

本当なんだなー

美羽

いやいや、
確かに叩かれるよ?

美羽

でもアザが出来る
ほどじゃないし

三嶋

暴力だけが
DVじゃないんだよ

三嶋

精神的なやつも

三嶋

美羽ちゃんひどいこと
言われてるし

美羽

たしかにキツいけど…
最後には
優しくしてくれる

三嶋

それDVの典型的なやつ

美羽

三嶋

美羽ちゃん、
マインドコントロール
受けてるよ

美羽

ちゃんと言い返してるよ

三嶋

いや、でも
反抗したら
叩かれるでしょ?

美羽

…うん

三嶋

完全にDV!!

美羽

う、

三嶋

美羽ちゃんだけが
我慢すればいいって
問題じゃないよ

美羽

三嶋

もしさ、
子供に暴力がいったら?

美羽

!!!

三嶋

よく考えた方が
いいと思うよ

美羽

…うん

三嶋の言うとおりだと思った もし海斗にまで暴力が及んだら?

そこまで考えていなかった…

一気に恐怖を感じた

それから何日かして 恐怖は現実になる…

5/15(金)

真一

今日は車イジるために
知り合いのとこに
預けるから

真一

仕事17時に終わるから
仕事場まで迎えきて

美羽

りょーかい

真一の仕事場は 家から車で30分くらいかかった

途中峠道を越えて、 真一の仕事場に16:50に着き 終業時間を待っていた

美羽

(車、、、また
なんか部品買ったんだ)

美羽

(いくら使ったんだろ)

ガチャッ

真一

お疲れ~

美羽

あ、しんちゃん
お疲れ様!

真一

じゃあ、
安全運転で帰ろう!

美羽

…あ、私の運転
だよね?

真一

当然だろ

真一

仕事で疲れてんだから
美羽が運転してよ

美羽

…うん

エンジンをかけ、 走り出そうとした瞬間

真一

おい、
ミラーが曲がってる
直せ

美羽

…はい

車好きの真一は 運転に関してもうるさい

真一

うぁ、左に寄りすぎ!

真一

おい、フラフラすんな

真一

ブレーキ遅いぞ

美羽

美羽

(だから運転
したくないんだよ)

帰り道も峠に差し掛かったあたり

真一

てかさー、この車に
他の男乗せてない?

美羽

…乗せてません

真一

なんか最近俺に対して
反抗的だしさ

真一

やっぱり職場の男と
出来てんじゃないか?
と思ってさ

美羽

…出来てないよ

… ガンッ!!

真一との会話に 気を取られていたせいか 段差に気付かず乗り上げてしまった

美羽

!!

真一

うぁっ!

車は制御を失い道を外れ 草むらに突っ込んで止まった

美羽

…ごめんなさい
大丈夫?
怪我はない?

真一

バタンッ

真一は何も言わず外に出て 車の様子を見ていた

真一

おい、外に出ろ

美羽

私は黙って車の外に出た

真一

お前何やってんだよ

美羽

すみません

真一

バンパー
ヘコんでんじゃねーかよ

真一

…まじで最悪

美羽

美羽

私の心配より
車の心配…

真一

は?

美羽

せっかく迎えにきても
ありがとうも言わない

真一

事故っといて
なんだよ?!

美羽

私だって仕事して
疲れてるのに

真一

あぁ?!
おまえ!!!

ガンッ!!!

一瞬目の前に火花の様なものが 飛び散った…

そして頬が熱い 痛い…

真一は自分の拳を抑えていた

真一

っ!!

真一

クソ、いてぇ

私は恐る恐る自分の頬を触る

美羽

(う、腫れてる…
グーで殴られた)

真一

ガチャッ

バタンッ!!

美羽

!!!

美羽

ちょっ、
しんちゃん!!

真一

お前少し頭冷やせよ

真一は運転席に乗り込み 私を外に置き去りのまま 車を出そうとした

美羽

な、何言ってんの?!

美羽

置き去りにするの?

真一

美羽

ちょっと!
グーで殴ったでしょ?

美羽

逃げんの?!

真一

ブルルルルル

美羽

ちょっとーーー!!

私の叫びは届かず 真一は無言のまま車を出してしまった

峠道に1人取り残され 頬の痛みと心の痛み

美羽

(もう…
無理かもしれない)

~2時間後~

ガチャッ

美羽

ただいま

海斗

ただいまーーー!!

美羽

あれ?
パパ帰ってきてないね

峠道に取り残され、 携帯電話も圏外

しかし、 保育園の迎えがあることに気付き、

峠道を必死で走り なんとか電波のある所まで下り

父に助けを求めた

プルルルルル~ プルルルルル~

ガチャ

美羽

お、お父さん!

お父さん

美羽?
どうした?

美羽

ちょっと、
えっと

美羽

(しんちゃんのことは
言わないでおこう)

美羽

実は峠道で
事故っちゃって

お父さん

なにやってんだよ

美羽

それで、しんちゃんが
車を移動して
くれたんだけど

美羽

予備のタイヤがあって
私、車に乗れなくて

美羽

まだ峠道に
いるんだけど、

美羽

海斗の迎えがあるから

お父さん

まったく
いま美羽迎えにいって
海斗も迎えにいくから

お父さん

怪我はないのか?
大丈夫か?

美羽

うん、大丈夫

その後は父に送ってもらって アパートまで戻ってきた

頬をハンカチで抑えて 腫れを隠しながら…

父には心配をかけたくなかった

美羽

(本当は
帰ってきたくなかった)

美羽

(でも…)

海斗

パパいないねー
どうしたんだろ?

美羽

(海斗のために
ここに戻ってこないと)

美羽

きっとすぐに
帰ってくるよ

海斗

うん!

美羽

(やっぱり海斗には…)

美羽

(海斗のためにも
私が我慢しないと)

ガチャッ!!

真一

美羽!!!

美羽

あ、しんちゃん…
あの、、

私が言葉につまっていると 真一は私を抱きしめた

真一

よかった
無事で

真一

ごめん、
俺どうかしてた

真一

置き去りにしてごめん

美羽

…私こそ
車ぶつけちゃって
ごめんなさい

真一は、 腫れ上がった拳を私に見せた

真一

この拳の痛みは
美羽の心の痛み

真一

真一

俺、子供の頃、
躾って言われて

真一

親に叩かれてて…

真一

たぶんそれで
俺は暴力を
振るうんだと思う

美羽

真一

もう、二度と美羽に
手を
挙げたりしないから

美羽

…うん

海斗

パパ??
ママ??

真一

海斗~!!

真一は海斗を抱きしめた

真一

海斗~
今日はたくさん
遊んでやるぞ!

海斗

えっ!!
ほんとぉー?

海斗

じゃあ、ミニカーで
あそぼ!!

真一

いいぞー!!

2人の笑顔を見て 少し気持ちが落ち着いた

美羽

(やっぱり海斗には
パパが必要…か)

次の日、 私はたまたま仕事が休みだった

美羽

(よかった~
今日はシフト
入ってなくて)

美羽

(腫れは引いたけど
…アザが残ってる)

美羽

(こんな顔じゃ
仕事出来ない)

車を修理に出しているので 歩いて買い物に出掛ける

美羽

…あ

美羽

(店の前まできてた)

近所のスーパーに行く途中に 職場であるファミレスがあるため

自然と職場の前で足を止めていた

美羽

!!!

三嶋

真一

美羽

(えっ?三嶋くんと
しんちゃん?)

美羽

(なんで職場の駐車場に
しんちゃんが?)

咄嗟に物陰に隠れていた

美羽

(う、遠くて
何話してるか
聞こえない)

美羽

(てか、しんちゃん
仕事は?)

真一

てめー!!

真一が三嶋の襟首に 掴みかかったのが見えた

三嶋

落ち着いてください

美羽

ちょっと!!

気づいたら2人の間に入っていた

真一

美羽、なんでここに

美羽

歩いて買い物にきたら
2人が話してるのが
見えたの

真一

…やっぱり
出来てんのか?

美羽

なんの話?

美羽

しんちゃん、
仕事は?

真一

上司と喧嘩したから
辞めてきた

美羽

は??

三嶋

とりあえず!
一旦落ち着いて
もらえますか?

真一

上司はクズだし
嫁は浮気かよ

美羽

だから、
浮気してないし

美羽

三嶋くんを
巻き込まないでよ

真一

こいつを庇うのか?

三嶋

…あの
内館さん

三嶋

誤解されてますが
僕は結婚して
子供もいますし

三嶋

美羽さんとは
職場で
話しているだけで

三嶋

電話番号もアドレスも
知りませんよ

真一

お前、ケータイ貸せ

三嶋

え?

真一

早くよこせよ

真一は、 三嶋の携帯電話を奪い取り

ガッシャーン!!

美羽

な!

思いっきり地面に叩きつけた

三嶋

真一

これで美羽と
連絡出来ないだろ

美羽

信じられない

美羽

思い込みで
人の物を壊すなんて

真一

は?

美羽

三嶋くんごめん
ちゃんと弁償します

三嶋

三嶋

あの内館さん

三嶋

警察呼びますよ

真一

やってみろよ

美羽

やめて、
いい加減にして!

美羽

三嶋くん、
携帯は
必ず弁償します

美羽

今は警察は
呼ばないで貰えると
助かります

美羽

こちらの都合ばかりで
すみません

三嶋

三嶋

わかりました

三嶋

(美羽ちゃん
もう別れた方が
いいよ)

三嶋は私に小声で伝えた

真一

お前らが
浮気してることで

真一

俺は
訴えられるんだぞ

三嶋

内館さん、
美羽さんこそ
あなたを訴えられますよ

三嶋

…休憩終わりますので
戻らせていただきます

三嶋

もし職場で
騒ぎを起こすのであれば

三嶋

警察を呼ばせて
いただきますので

三嶋

では…

真一

おい、
話終わってないぞ

美羽

もうやめて

私は、真一の前に立ち塞がり 行く手を阻んだ

真一

どーゆーつもりだ

美羽

もう限界

真一

なに?

美羽

ここまで
私を追い込んで

美羽

何が楽しいの?!

真一

全部お前が悪い

真一

浮気したお前が

美羽

その思い込み
治ることは
ないでしょうね

美羽

美羽

家を出ていきます

真一

!!

真一

バカ
何言ってんだよ

美羽

もう決めた

私は、真一が止めるのも聞かず 海斗を迎えに保育園に向かった

保育園の帰り道 私は海斗と手を繋いで帰った

海斗

ママ、おむかえ
はやいねー

美羽

うん、
今日は特別だよ

海斗

いっしょにあるいて
かえるのたのしい!

美羽

そうだね

美羽

美羽

海斗

海斗

ん?
なーに?

美羽

ママとパパは
別々に住むことに
なったの

美羽

海斗はママとパパ
どっちと一緒がいい?

ドラマのワンシーンで 何度か聞いたことのあるセリフ

まさか、自分が言うことになるとは

海斗の返事次第では、 もう一緒に住めないかもしれない…

この質問をするのには

覚悟がいることを知った…

海斗

ママ!!

美羽

うっ…

なんの迷いもなく 海斗は私を選んでくれた

うれしくて涙がこぼれた

美羽

ありがとう、海斗

アパートでは 真一が待ち構えていた

真一

おい、
冗談はやめろよ

美羽

真一

お前が悪いんだろ

真一

なんでお前が
勝手に出てくんだよ

美羽

私は無言で荷物をまとめていた

真一

なんか言えよ

真一

おい

真一がまた手を挙げようとする

美羽

美羽

またぶつの?

真一

!!!

美羽

やっぱり頭より先に
手が出るんだね

真一

突然どうしたんだよ

美羽

突然じゃない!!

真一

!!!

美羽

私は…

美羽

ずっとずっと
我慢してきたんだよ

真一

え…

美羽

しんちゃんは
突然に
感じるかもしれない

美羽

でも今まで
私のこと何回ぶった?

美羽

何回ひどいこと言った?

美羽

何回泣かせた?!

真一

真一

別居だけは絶対だめだ

真一

そのまま
帰ってこなくなるかも

真一

俺は美羽を
失いたくない

美羽

真一

なぁ、
本当に実家に
帰ろうとしてるのか?

美羽

真一

…さっきの
男のところだろ

美羽

真一

そうなんだろ
そうに決まってる

美羽

ねぇ

真一

なんだよ

美羽

その思い込み…
本当に無理

真一

!!

美羽

私はあなたの
奴隷じゃない!

真一

美羽

意思があるの
人形じゃないよ

真一

言い争いをしていると 海斗が心配そうに 私のそばにやってきた

海斗

パパ、
ママをおこらないで!

真一

っ!!

美羽

!!!

真一は 私のそばにいた海斗を引っ張り 首根っこを捕まえ宙に浮かせた

美羽

ちょっと!!
やめて!!!

海斗

うぇーん!!!
いたいよー!!

真一

…るせぇ!

美羽

やめてーーーー!!

私の静止を振り切り 真一は海斗をそのまま 床に投げつけた

ダンッ!!

美羽

海斗!!

急いで海斗に駆け寄る

海斗

う、う、

美羽

大丈夫?!

海斗

いたいよぉー
うぇーーん!!

美羽

海斗を抱きしめ 安心させるよう頭を撫でる

美羽

どこ痛い?
立てる?

私が必死になっている姿を 真一は少し遠くて見ていた

真一

真一

俺は悪くない

美羽

何言ってんの!?

美羽

海斗を投げ飛ばして

真一

お前がイライラさせるから

真一

全部美羽のせいだ

真一

お前のせいで
俺は海斗を…

美羽

私のせい?!

美羽

自分でしたことを
人のせいにするの
やめて

美羽

お義父さん
お義母さんの
せいでもないし

美羽

全部、
しんちゃんのせいだよ

真一

美羽

美羽

別居はやめた

真一

えっ!!?
本当!!

美羽

美羽

離婚してください

私の考えの甘さが 海斗を傷つけた

もう迷わない!!!

美羽

突然家に上がり込んで
すみません

離婚を決意した私は 真一の実家に足を運んだ

真一の母

いいのよ
どうしたの?

真一の父

急ぎの用かい?

真一の母

海斗と真一は?
一緒じゃないの

美羽

はい、
今日はお話があって

私は今までの経緯を 真一の両親に話した

真一の母

真一の父

なんであいつは…
暴力なんか…

美羽

美羽

私がイライラさせるから

美羽

あと

美羽

真一さんは
昔ご両親に躾で
叩かれたせいだと

真一の父

なっ!!

真一の父

なんでやつだ
それも親のせいに
するのか!

真一の母

美羽ちゃん
本当にごめんなさいね

真一の母は泣いていた

真一の母

バカ息子だとは
思っていたけど
ここまでとは…

美羽

真一の母

つらい思いを
させてしまったね

真一の母

私は美羽ちゃんの
味方だからね

美羽

美羽

ありがとうございます

美羽

でも海斗に
手を挙げてしまうのは…

美羽

すみませんが
もう限界です

真一の母

真一の母

大変だとは思うの
でも、そこをなんとか
我慢してもらえないかしら

真一の父

本当に申し訳ない

真一の父

こんなことを
頼める立場じゃないが

真一の父

あいつには
キツく言うから

真一の父

真一が変わるのを
待ってはくれないか?

美羽

すみません…

美羽

今は離婚の意思は
変わらないです

真一の父

真一の母

真一の両親は ガックリと肩を落としてしまった

5/17(日)

美羽

お義父さんと
お義母さんに
話してきたから

美羽

離婚したいってこと

美羽

あと、暴力のことも

美羽

ウチの親にも
話すから

店長に事情を説明し、 今日は仕事を休み 荷物をまとめて実家に転がり込んだ

お父さん

まったく
喧嘩したからって

美羽

喧嘩じゃないよ

お父さん

え?

美羽

離婚するつもり

お父さん

こらこら
一体どーした?

私は、少し薄れた頬のアザを見せた

美羽

しんちゃんに
殴られた

お父さん

なんだって?

美羽

もう無理だよ

お父さん

お父さん

でもなー
少し我慢ってものが

美羽

いっぱい
我慢してきたもん

真一

通話終了

通話
00:00

美羽

あ、電話

美羽

もしもし?

真一

いま実家にいるのか?

美羽

うん

真一

いまから
親とそっちに行くから

美羽

えっ?

真一

通話終了

通話
00:15

美羽

あ、

美羽

美羽

お父さん

お父さん

どうした?

美羽

いまから
内館家が揃ってくるって

お父さん

急だな?

美羽

(あれ?
あっちのお義父さんたち
なにかあったのかな?)

電話後、まもなくして 真一、義父、義母の3人は 私の実家へとやってきた

海斗

わーい!
じぃじとばぁばだー!

真一の母

海斗、元気ね

真一の父

突然ですが
お邪魔いたします

お父さん

いえいえ
散らかってますが
どうぞ

真一

父は3人をリビングに通す

真一は鋭い眼差しで 私を睨みつけた

真一の父

この度は
ウチのバカ息子が
美羽ちゃんに嫌な思いを

真一の父

本当にすみません

真一の母

お父さん

いえ、美羽にも
至らないところが
あったでしょうから

真一の父

ただ、
2人とも若いし

真一の父

お互い、自分の行動に
責任をもってもらいたい

お父さん

…?

美羽

昨日、真一の両親と話した時とは 明らかに態度が違うことに気付いた

美羽

(…しんちゃんが
…きっと)

真一

俺も美羽に嫌な思いを
させられたから

お父さん

えっ?!

真一

美羽は俺を裏切って
他の男と
付き合ってたんですよ

お父さん

おい!
美羽、本当か?

私は涙を溜めて 首を横に振るしか出来なかった

真一の父

暴力をした真一は
ちゃんと償っていかなきゃ
いけない

真一の父

ただキミも
ウチの息子に
償いが必要だろう

真一の母

美羽

私は何もしてません

真一の父

美羽ちゃん、
海斗を1人で
育てるつもりかい?

真一の母

…経済的に無理なら
ウチに預けなさい

美羽

美羽

(お義母さん、
私の味方だって…)

真一

…もう言うなよ
海斗は美羽に
任せるから

真一の母

真一!
海斗は…

真一

うるさい!
海斗にはママが
必要だから

美羽

お父さん

真一の父

…とりあえず
離婚届には
サインしてださい

真一の父

そして慰謝料は
一切考えないで
いただきたい

美羽

私は無言で離婚届にサインをする

お父さん

父は悔しそうに私を見ていた きっと私のつらさが 伝わったのだろう

親は皆、自分の子が可愛いのだ 真一の両親もきっとそうだ

私は、内館家では たった1人血の繋がらない家族だった

私の言葉より、 可愛い息子の言葉を信じるのだろう

真一の母

真一の母

美羽ちゃん

真一の母

ひとつ聞いても
いいかしら?

美羽

はい

真一の母

真一の母

妊娠はしてないわよね?

美羽

!!!

美羽

してません

悔しくて悔しくて… 悲しくて悲しくて… たまらなかった

涙も枯れた 声も出ない ただ、この人たちと一緒にいたくない

真一の父

では、
私たちはこれで

真一の父

短いお付き合いでしたが
ありがとうございました

お父さん

こちらこそ…

美羽

父と私で 玄関まで彼らを見送る

二人とも言葉はなく この場が終わることのみを 望んでいた

義父と義母はどこか 勝ち誇ったような顔をしていた

バタバタバタ~!!

海斗

じぃじ!
ばぁば!

海斗

おせわになりました!!

海斗はペコりと頭を下げた

美羽

っ!!

真一の父

くっ

真一の母

お父さん

こいつは
1番大人なこと言うなぁ

父は海斗の頭を撫で でかしたぞっと言わんばかりだった

さっきまで勝ち誇った顔の 真一の両親は

海斗の会心の一撃に打たれ 苦虫をかみ潰したような フクザツな顔で

私の家を去って行った

美羽

海斗!!!

海斗

ん?!

美羽

ありがとう!!

海斗

えっ?
なにがー?

海斗はキョトンとした表情で 私を見ていた

私は海斗を思いっきり抱きしめた

海斗

お母さん!
今日俺、算数のテストで
100点とったんだよ!

美羽

おぉ!
すごいじゃん!

美羽

海斗、
今夜はからあげにしよう!

海斗

よっしゃー
からあげサイコー!

親が離婚すること… それはどんな理由があろうと 親の勝手

子供は被害者である

でも、子供が本当に笑顔でいれる

そんな環境で育った方が 子供は幸せになれると思う

子は宝

そして…

子供は天使

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コメント

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私の親と同じ境遇です… ブックマーク失礼しますm(*_ _)m

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