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無謀なクエスト挑戦中

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無謀なクエスト挑戦中

55 - フラッシュバック

♥

1,130

2024年09月01日

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明日から学校の民です。 実感無さすぎて宙に浮いてます.....

2024/09/1投稿

第55話

「フラッシュバック」

ついたな....

ここが....!

勇者パーティーまでもが未攻略のダンジョン!!

ここまで長かった。 2ヶ月間の準備と普段通りのクエスト。 2週間の移動と1週間の野宿。 昨日は1日休んで今日に備えていた。

緊張する〜〜っ....!!

さすがに平常心は無理だね....w

2ヶ月間の準備の間にこのダンジョンについてみんなで調べた。 勇者パーティーは本当は最下層までは進んでいたらしい。

しかし、勇者パーティーを追い返そうとしたダンジョンボスの咆哮がすぐ側の山を崩した。 そのためやむおえずダンジョンを脱出し近くの村人を避難させていたそうだ。

(山を崩すほどの咆哮をするようなボスと戦うんか....)

さすがに顔も強ばる。メンバーの顔も少し引きつり気味である。

...みんな緊張してんな

初兎も足ガクガクやんけ....w

マジ足の震え止まらん

でも、みんなと一緒やから大丈夫!

自信に溢れた、でも引きつったままの笑顔にみんなの緊張がとける。

顔引きつってんじゃん....w

きっ、緊張すんのは仕方ないやん!

でも初兎ちゃんの言う通りだねっ!

俺ら6人ならきっとできるよな

せやな

頑張るぞー!!

おーっ!

この前のダンジョンとはだいぶ雰囲気が違うな?

ここは自然生成のダンジョンだからね

入り口からモンスタうじゃうじゃしてる〜....

物陰からたくさんのモンスターの気配を感じる。 種類も多種多様なようだ。

ほとけ、絶対誰かのそばに__

モンスター

グェェッ!!

ぎゃぁぁぁ"っ!?!?

《ファイアボール》

モンスター

グァッ".....(バタッ

お前...いつになったら叫ぶ癖治るんや

だってだって怖いじゃん!?

不意打ちは受け付けてないの!!

叫ぶ気持ちもわかってやりたいところだが、その叫び声に他5人がびっくりしつつあるのが現状だ。 声のボリュームは控えめにお願いしたい。

安心安全のないちゃんにべったりくっついとこうかな

べったりは勘弁して....

ないこは最後尾におったほうが全体見やすいんちゃう?

それもそうやな

いむくんは〜.....まろちゃんと悠くんの間に挟まっとったら無事やろ

挟まっときま〜す

じゃあ先頭はりうらと初兎ちゃんで!

さっさとひとつめの目的地まで進むで〜!

《真直拳》!!

モンスター

ベチャッ(床に

スライムとかもう見慣れたな。 昔はスライム1匹と対峙するだけでも緊張していたが、我ながら成長を感じる。

なんか、1年前のダンジョン思い出すねぇ

ほとけが呑気そうに周りを見渡しながら言う。俺とまろの間はそれなりに安心できるみたいだ。

え、もう1年前やっけ?

たしかちょうどクリスマスやったよな

そう思えば大体1年か

まだ昨日のことみたいw

その感覚は分からないこともない。 里帰り、初の野宿、夏の旅。すべてがあっという間な1年だった。 このメンバーと出会ってからは時の流れが早い。

...俺ら、いつまで一緒におれるんやろな

ふとこぼれ落ちたようにぽつりと呟く。 彼がこういうことを言うのは珍しい。

バカだな〜っ!ずっと一緒に決まってるでしょ!!

何事も終わりがあるやろ

バカはそっちや

暗っ!!ネガティブ!!!

じゃあその"終わり"ってなんなのさ

そりゃいろいろあるけど.....今回みたいなことがまた起こる可能性もあるわけやろ?

それはなんとかなったじゃん

毎回上手くいくわけないやろ....!

ほとけが呆れたように顔をしかめる。 「なんか言ってやってよ」という視線が俺に飛んできた。

まぁみんな結局死ぬまで一緒におる気なんちゃう?

まろの言う"終わり"はそういうことちゃうやろうけどな、w

...

....1年間しか過ごしてない仲間とは、まだわからんって感じ?

っ!

そんなこと思ってへんよ!

冒険者っていつ死ぬかわかんないけどさ、

もし全員が健康に生きてて、引退して静かに暮らそうってなったらどこに住む?

そんな先のこと考えたこと無かったな。 細かい希望は無いが、故郷のような自然豊かな場所だと嬉しい。 けど....

お前と暮らすならどこでも騒がしそうやなw

このパーティー、おじいちゃんとかになってもうるさいのかなぁ?

ないちゃんとかこんな感じでさ、杖ついてさw(老人の真似

ぶッ....www

ふはっww

おーーーーい

肩を組まれて引き寄せられる。 隣のほとけと頭がくっついた。

さっきから3人に向かってくるモンスターぜ〜〜んぶ俺が倒してるからね?

おしゃべりしすぎ

すまん....

ゴメンナサイ....

あといむ、ダンジョン終わったらちょっとお話しようね

はへっ

ほら、目的地ついたじゃん

見上げた視線の先には大きな獣の口が壁に埋まっていた。 俺らが全員入れそうなほど大きな口だ。

これだね

りうらが触って確かめる。

触っていいの!?

いいでしょ。どうせ俺らこの中入るんだし

計画を立てた結果、勇者パーティーが進んだルートと同じ進み方で攻略しようということになった。

そのうちのひとつがこれ。 大きな口が5つ壁から飛び出ているのだが、その口の中にはモンスターがはびこっているらしい。

舌の部分を5つ同時に攻撃すると先に進めると巻物に書いてあった。

1番上の口に入るのは至難の技やな....

思ったより高いね

俺たちの宿の屋根より高いのでは無いだろうか。壁に凹凸があるとはいえ、角度は垂直だ。

誰が行く?

りうらあの高さなら手伝ってもらえれば登れる気がする!

マジ....??

俺の肩に乗るか?

いける?

もちろん

じゃああの比較的大きそうな出っ張りまで登ってくれると助かる

りうらそこまで飛ぶから

えっ、飛べるん.....?

もちろん!!

登っちゃったよあの子.....

バケモンやな

アニキのおかげ〜!!

獣の鼻部分にぶら下がって満点の笑みを見せるりうら。 さすがの身体能力である。

先入っちゃうねー!!

攻撃するときは合図ちょうだい!!

気をつけてなー!

上の方から「はーい」という元気な声が飛んでくる。 なんの躊躇もなく入っていった。いけると思ったら立ち止まらないからな。

りうらのためにもなるべく早く入ろっか

そうやな

じゃ、悠くん

落ち着いたら合図してな

了解!

まろが2番目に高い口に、ないことほとけはセットで1番入りやすいところに送り込んだ。

俺らが入って、初兎が指笛を吹いたらみんなで同時に攻撃を始める。

入ろう!!

暗っ....

瞬きをして暗闇に目を慣らす。 足元は不安定で、生きている生き物の中という不快感が漂っていた。 入口は外の空気と混じりあって寒かったが、ここは生ぬるい。

モンスター

シャーーッ

っ!

ふんッ(拳

モンスター

ギャッ

かすったがトドメはさせなかった。 やはり視界が悪すぎる。

ずいぶん前に入ったりうらが心配だ。

モンスター

キィッ!!

サッ(避ける

微かに見えるが正確な形が分からない。向こうの呼吸の音とモンスター独特の匂いで判断するしかない。

....っ!

はぁッ!!(蹴

モンスター

ギャッ、ァ........(バタッ

ふー.....

ピィィィィィィッ

初兎の指笛だ。 外の光が届かないほど空間が隔たれているのに、よく響いている。

《タイガー》!!

っ!?(ハッ

目の前の景色が一瞬で移り変わる。 転移魔法陣でも張られていたのか、本当にまったく別の場所のようだ。

えっ、えっ?えぇっ"!?

どこだここ....

聞きなれた声の方へ視線を向けると、へっぴり腰のまま抱きついているほとけと俺と同じく辺りを見渡しているないこが居た。

ほとけ!ないこ!

アニキぃぃっ!!(ダッ

まるでタックルするかのように抱きつかれる。

さっきの口の中めっっっちゃ怖かったんだけどぉぉぉ!!!(泣

頑張ったなぁ

アニキと一緒に入ればよかった....

なんで?ないこのほうが絶対安全で安心やろ、w

あの人冷たいの!!

真っ暗で離れたら危ないからくっついてたのにさ、

....動きにくいなぁ(声真似

ってボソッと言うの!!酷くない!?

事実ですから....

事実でも!!言わない優しさってのがあるでしょうが!!

ほとけの大声に他のメンバーも気づいたようだ。 向こうから3人がやってきた。

第一関門突破だねっ!

暗くて体内って感じの空気で苦手やったわぁ....

それわかる

しょーさんっ!!(ダッ

今度は初兎に抱きつきに行った。 ないこ以外なら誰でもいいらしい()

あぁは言ったけどちゃんと守ったじゃんか....(ボソッ

っ....w

それはほとけも分かっとると思うで?

分かってるのは俺も分かってるよ

まだムスッとしている。 怒っているというよりは「冷たい」と言われたことに傷ついいてる?

彼はたまに変なところでヘコむ癖がある。

ないこなんでそんな顔してんの?

怒ってるの....、?

落ち込んどる

アニキ....(圧

矛先が俺に向きそうで怖いのでこれ以上口は挟まないでおこう。 しかしずっとこのままなのはどうしたものか。先が思いやられる。

機嫌直してや、ほら、ダンジョン攻略できた後のこと考えよ

ん....

ないこはどうせ酒飲むんやろ?w

一緒に飲んだるから

......えっ?

未成年飲酒??

俺もう成人しとる!!w

はぁぁぁっ!?

言ってよ!!てか言質取ったからね!!

はいはい

ふふっ、ふふふふ(ニマニマ

うわぁ....(ボソッ

(ちょろいな....)

よっぽど嬉しいらしい。 というかまろはないこの機嫌取りが上手い。見習いたい限りだ。

えーっと....とりあえずここから下に向かって進むで

そこはちゃんとダンジョンやねんな

宝箱とかあるかなっ?

もしあったら夢あるなぁ....!✨️

この前は探す余裕も無かったもんねぇ

じゃあしゅっぱ__

ヒュゥゥッ

っ!?

ほとけっちッ!!!

近くの木がなぜか真っ二つに割れて倒れてきた。 ほとけの真上だ。

あ....

いむくんっ!!!(バッ

ッ、

ほとけを抱えたまま地面を蹴って後ろに体をひねる。

後ろの地面にはかなり大きい亀裂が入っている。もはや崖に近い。

(あかん....ッ、手届かん....!!)

計画通り進むんや!!!

下で合流するから!!

俺らのこと気にせんで!!

なんとか壁に手をひっかけたものの、1人を抱えたまま耐えるのは難しい。 だんだん暗闇に飲まれていく。

下の方から反響した「まかせたで」という声が聞こえてきた後、静寂があたりをつつんだ。

え....ぇっ、?

っ....助けに....

ダメだよ(ガシッ

ないこが俺の腕を掴む。 その力は強かった。絶対に行かせてくれなさそうだ。

底が見えない.....無闇に飛び込んじゃダメだ

じゃっ、じゃあ2人はどうなるの!?

それは.....っ

....いや、あいつらなら絶対大丈夫なはず

なんで....?

このダンジョンについて書かれた書類は勇者パーティーのものだけやなかったやろ?

他に挑戦した冒険者が残してた記録もいくつかあった

早くに引き返したパーティーの記録やったから多分みんな読んでへんかもやけど....

なんか書いてあったん、?

そのパーティーのあるメンバーが、この崖みたいな亀裂に落ちたらしい

でも生きてた

後から1人でダンジョンを出てきたんやって

....それがこの亀裂かは分かんないけど、その話を信じるしかないね

....

それに、「気にせんで」って言われたんやから俺らも進まな

せやな

進もう。計画通りに

元々計画では初兎とほとけはペアだった。最初の口のステージが例外なだけだ。 このままボス部屋の手前あたりで合流できれば計画にズレは無い。

それはきっと向こうも分かっている。

(生きとってくれよ....)

ここ入ってからどんくらい経ったんやろ....

まだ3時間も経ってないはず

体感はもうずっとおる感覚やのにな

...

初兎ちゃんとほとけっちが居ないと、なんだか不安になってくる。 パーティー内の雰囲気も硬い。

みんな真面目な顔してるし....いつもは平気なのに緊張する。

もし今怪我したら? この4人がバラバラになったら? 計画にズレができたとき、初兎ちゃんたちに伝える術はあるの?

顔が怖いで?りうら

あ....ごめん

まろも怖いけどね〜

なー、

俺はデフォがこれやから!!!

ぷっ、w

...笑ったなりうら

笑ってないヨ.....ふふっw

そういえば初めて会った頃、まろの顔怖かったんだよなぁ。 背高いし笑わないしほとけっちと喋る度もめてるし。でも泊めさせてもらってたから嫌でも顔合わすし。

今はメンバーのこと少しは理解できてるから、どんな気持ちなのかもわかる。

この状況もそこまで心配することじゃないのかもな。

えっ、!まってまって

あれ宝箱じゃない!?

The宝箱みたいな形の箱がツタに隠されるようにして鎮座していた。 本当にあるんだな。

あの形絶対そうやん!?

金銀財宝.....!✨️

開けていいかなっ?開くかなっ?

ツタ切ってあげるよ

ないくんがナイフで手際よくツタを切っていく。 宝箱はだいぶ古びてる感じだけど、金の部分の輝きは失われておらず高級感がある。

開けます!!

3...2......1!

パカッ

モンスター

ウジャウジャ

え....

ひぃッ、!?(後ずさり

虫....?

いや、モンスター.....

中には隙間も見えないくらいの虫型のモンスターがびっしり詰まっていた。 キモイ。ほんと見た目キモイ。

お宝じゃ無いんかいッ!!

ガコンッッ(閉める

はぁ....開け損じゃん....

いやでも....1回開けたら封印解けちゃうから.....

え....?

ギィッ.....(勝手に開く

うわっ

ないくんそれってつまり....

逃げy

《ファイアボール》ッッ!!!

まろの呪文と共にボウッと音を立てて宝箱ごと燃え始める。 ファイアボールの勢いじゃないよこれ。

てかまろのあんなに必死な『ファイアボール』初めて聞いたな。

はぁッ....はぁッ......

火力ヤバない??

俺の髪ちょっと焦げたんだけど!?

虫....マジでキモイ.....っ

...ごめん開けて

進もっか....

うん.....

なにこの.....微妙な空気......

なかなか着かないね....

目に見えん可能性とかあるんかな、?

たしかにそれはあるかも

勇者パーティーが次に進んだのは「音の部屋」ってところ。 ちなに名前はりうらたちが勝手に付けた。さっきのは「口の部屋」って感じ。

このダンジョンは全ての部屋を攻略しないといけないらしい。 なので手分けをしてそれぞれの部屋を攻略しにいくのが今回の計画だ。

「音の部屋」はアニキと俺の担当だけど、ないふも途中まで着いてきてくれるみたい。

....なんか静かじゃない?

そう?

たしかにモンスターはあんまり居ないね

なんかあるんやろか

う〜ん.....(キョロキョロ

あっ!宝箱!!

さっきのコピーみたいな宝箱が前方に見えた。 意外とたくさん見つかるのだな。

もう開かんとこうや....また虫出るんちゃう?

こんなにあるならダミーの可能性は高いね

え〜....でもせっかくだし....

アニキ行こうよ!

好奇心は抑えられない。 なんだかんだ乗ってくれそうなアニキを誘う。

う〜ん....w

ないくんとまろの方をチラチラ見て気にしている。

大丈夫だって〜!(後ろを見ながら走る

きっといいものが__

グラッ

えっ、?

足元がグラつく。 顔の向きを変えた後見えたのは、さっき初兎ちゃんたちが落ちたような亀裂。

今までちゃんと避けてたのに。 注意不足だ。

(ダメだ。落ちる.....っ)

りうらっっ!!!

っ!

ッあ、

俺の右手を力強く握る。が、なんせダンジョンなので足元が悪い。 勢いのままアニキまで落ちてくる。

〜〜ッ、!!(ガシッ

(ないくん!?)

絶対っ....耐えてよ.....ッ(黄の腕を引っ張ろうとする

頑張れりうら~~ッ....!!(桃を引っ張る

さすがにその体勢で2人を引っ張るのは無理でしょ。 そっちが落ちるじゃん。

アニキだけならまだ助かる.....?

(この手....なんとか.....っ)

っ、(手を離そうとする

!?

バカかお前ッ!!!

へっ?(ビクッ

あッ、ちょ....っ!!

っ!

離そうとしてもう一度強く握られた右手はアニキと離れた。

同時にみんな上から落ちてくる。

(りうらの....せいで.......)

ガシッ

捕まえた.....っ

アニキに背中から抱えるようにして固定された。

動かんといて

っ.....?

はッ、!(着地

う"っ

うわっ!?

痛っっ

すごい....視界が回ってよく分からなかったけど、抱えてくれていたアニキが受け身を取ったおかげで衝撃だけで済んだ。

痛い.....けど、

生きてる.....

天井がある....上見えへんけど俺らどっから落ちてきたんや、?

下に落ちたのか転移魔法でどこかへ飛ばされたのか分からないが、先程と雰囲気がだいぶ違う。

壁にあるのは....ベル? まさにトランペットとか、ホルンとか、管楽器が壁に刺さっているようだ。 大きさは通常のものとは桁違いだけど。

もしかしてここ....

探してた部屋じゃない?

あの亀裂は俺らが探している部屋に繋がっているのかもしれない。 初兎ちゃんたちの落ちたところもそうだといいけれど....

たしかに見た目そっくりやな...?

しッ、(青の口を塞ぐ

っ!?

(あ....っ)

俺たち今、普通に喋って__

「音の部屋」.....って、音を出しちゃいけないんだよね

部屋におる主は音でしか俺らの居場所を感知できひんらしい

音さえ出さんかったら大丈夫や

....ねぇ、なんでこんな簡単そうな部屋が「攻略不可能」と言われてるダンジョンにあるんだろう

ダンジョンも生きてる。弱かったら長い年月をかけて変わっていくはず

情報が無いだけで、もっと危険ななにかがありそうじゃない?

...それって例えば

『俺らの居場所を感知したときに飛んでくる攻撃が、想像以上のものかもしれない』

ヒュンッ__

りうら!!!

っ!(ハッ

ぐ.....ッ

命中するのは避けたけど、気づくのが遅かった。腕がやられた。 刃物のような切れ味の棘だ。あんなのが体に刺さったらすべて終わる。

それが物凄いスピードで飛んできた。 その上、ズレのない正確な位置を音で感知されている。

ないこ、声.....!(小声

あっ、

今度はないくんに攻撃が飛んできた。 防ぐより先に飛び退いたのは、彼でもそのスピードを殺すことができないからだろう。

(これじゃ連携もとれない....)

4人は厳しい。当初の予定通りこの部屋は2人が限界のようだ。

2人は離脱して!

予定通り俺とアニキで攻略する!!

口を開くのはこれが最後だ。 飛んでくる攻撃を避けながらとにかく前を目指す。

っ、!

アニキの足音も聞こえる。 それが少し心強かった。

〈 このベルに入ろう!!

〈 はぁっ!?どう見てもそこが出口なわけないやろ!!

〈 じゃあ逆に聞くけど他にどこなの!

〈 ここはふたりに任せよう。入るよ

〈 あぁもうっ__

後ろの会話を聞く限り、2人もなんとかこの部屋を出れそうだ。 この後スムーズに合流できればいいな。

この部屋の攻略方法はおそらくここをずっと進んだ先にあるであろう大きなベルから外へ出ること。 こちらからの攻撃はいらないらしい。

っ.....ピタッ(止まる

りうr__あっ、

っ!

飛んでくる攻撃をアニキに覆い被さるようにして2人で倒れ込んでかわす。

行こう(口パク

少しの声、少しの足音でも聞き取られてしまう。相手も口パクで「すまん」と返してきた。

この部屋を舐めてはいけない。気を張りつめなければ死んでしまいそうだ。

(なかなか進まないなぁ....)

いつもの2分の1ほどの速さで歩いているので当たり前だ。 しかしそのおかげで攻撃は一度も飛んできていない。

トントンッ(肩

あれ、(口パク

アニキが指さす先には物陰に隠れるようにして辺りを見渡しているゴブリンが居た。

今飛びかかってこられたらかなり困る。 さっきまでモンスターなんか居なかったのに、迷い込んだのだろうか。

モンスター

!!

っ!

やばい。目が合った。

モンスター

βξαю!!

くそっ....ダンッ(飛び上がる

こちらへ突っ込んできたゴブリンを避け、その流れのまま上から仕留めた。

ゴブリンの攻撃に当たらなかったからいいものの、突っ込んでくるときに叫ばしてしまった。 魔法を発動したことで自身の息も上がっている。

っ、(口を塞ぐ

グルンッ

えっ、?

いきなり視界が回る。 滑ったとかじゃない。後ろからホールドされて回された。

強く塞いだつもりの口から不意に小さな声が漏れると共に、後ろから掠れたうめき声が聞こえた。

っ"....

ッ、!?

血のにじむ腹部を苦しそうに押さえているアニキが、その姿を見て叫びそうになった俺の口を塞いだ。

恐れていた事態。 白魔が居ないのに、この後すぐに合流できるかもたしかではないのに、致命傷ともいえるほどの傷を負っている。

どんどん赤く染っていく彼の服。 ただの傷じゃない。なにか処置しないと止まらない、大量出血。

(あ...りうらに向かってきた攻撃を....)

(アニキが.....)

フルフル(首を振る

「喋るな」という意味だろう。 なぜ彼はそんなに冷静なのか。痛みにそれほど耐えれるのか。

なぜそんなにも悲しそうな笑顔をしているのか。

シェイラ

りうら.....、っ

シェイラ

おれ...の....、たから....も..の.....

フラッシュバックするあの記憶。

目の前の彼の姿が、その笑顔が、血まみれの恩人と重なって仕方なかった。

(どうしよう...どうすれば....っ)

死んでしまう。 大切な人が、また目の前で。 りうらの力不足で。

....っ"ぁ

ぃゃ....ッ

ギュ...ッ(引き寄せる

抱きしめても意味が無いのに、必死に温もりを感じようとする自分がいる。

これ以上失いたくない。

(ひとりにしないで.....っ)

続け

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コメント

7

ユーザー

うわぁぁフラッシュバックってシェイラさんのことか悲しい、、 黒さんどうか無事でいて😭 続き楽しみにしてます!

ユーザー

はぁ、はぁ、はぁ、やばぃ、過呼吸で○にそう…がんばれぇ……

ユーザー

シェイラさん……ここからどうなっちゃうのか、これからの展開が楽しみです! 私も明日から学校だ…あぁ夏休みぃ…😭

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