明日から学校の民です。 実感無さすぎて宙に浮いてます.....
2024/09/1投稿
第55話
「フラッシュバック」
黄
水
紫
ここまで長かった。 2ヶ月間の準備と普段通りのクエスト。 2週間の移動と1週間の野宿。 昨日は1日休んで今日に備えていた。
赤
桃
2ヶ月間の準備の間にこのダンジョンについてみんなで調べた。 勇者パーティーは本当は最下層までは進んでいたらしい。
しかし、勇者パーティーを追い返そうとしたダンジョンボスの咆哮がすぐ側の山を崩した。 そのためやむおえずダンジョンを脱出し近くの村人を避難させていたそうだ。
黄
さすがに顔も強ばる。メンバーの顔も少し引きつり気味である。
紫
青
紫
紫
自信に溢れた、でも引きつったままの笑顔にみんなの緊張がとける。
桃
紫
水
黄
青
赤
紫
紫
桃
赤
物陰からたくさんのモンスターの気配を感じる。 種類も多種多様なようだ。
黄
モンスター
水
青
モンスター
青
水
水
叫ぶ気持ちもわかってやりたいところだが、その叫び声に他5人がびっくりしつつあるのが現状だ。 声のボリュームは控えめにお願いしたい。
水
桃
黄
紫
紫
水
赤
紫
黄
モンスター
スライムとかもう見慣れたな。 昔はスライム1匹と対峙するだけでも緊張していたが、我ながら成長を感じる。
水
ほとけが呑気そうに周りを見渡しながら言う。俺とまろの間はそれなりに安心できるみたいだ。
黄
青
黄
水
その感覚は分からないこともない。 里帰り、初の野宿、夏の旅。すべてがあっという間な1年だった。 このメンバーと出会ってからは時の流れが早い。
青
ふとこぼれ落ちたようにぽつりと呟く。 彼がこういうことを言うのは珍しい。
水
青
青
水
水
青
水
青
ほとけが呆れたように顔をしかめる。 「なんか言ってやってよ」という視線が俺に飛んできた。
黄
黄
青
黄
青
青
水
水
そんな先のこと考えたこと無かったな。 細かい希望は無いが、故郷のような自然豊かな場所だと嬉しい。 けど....
黄
水
水
青
黄
桃
肩を組まれて引き寄せられる。 隣のほとけと頭がくっついた。
桃
桃
黄
青
桃
水
桃
見上げた視線の先には大きな獣の口が壁に埋まっていた。 俺らが全員入れそうなほど大きな口だ。
赤
りうらが触って確かめる。
水
赤
計画を立てた結果、勇者パーティーが進んだルートと同じ進み方で攻略しようということになった。
そのうちのひとつがこれ。 大きな口が5つ壁から飛び出ているのだが、その口の中にはモンスターがはびこっているらしい。
舌の部分を5つ同時に攻撃すると先に進めると巻物に書いてあった。
黄
桃
俺たちの宿の屋根より高いのでは無いだろうか。壁に凹凸があるとはいえ、角度は垂直だ。
紫
赤
青
黄
赤
黄
赤
赤
黄
赤
水
青
赤
獣の鼻部分にぶら下がって満点の笑みを見せるりうら。 さすがの身体能力である。
赤
赤
紫
上の方から「はーい」という元気な声が飛んでくる。 なんの躊躇もなく入っていった。いけると思ったら立ち止まらないからな。
桃
青
紫
黄
紫
まろが2番目に高い口に、ないことほとけはセットで1番入りやすいところに送り込んだ。
俺らが入って、初兎が指笛を吹いたらみんなで同時に攻撃を始める。
紫
黄
瞬きをして暗闇に目を慣らす。 足元は不安定で、生きている生き物の中という不快感が漂っていた。 入口は外の空気と混じりあって寒かったが、ここは生ぬるい。
モンスター
黄
黄
モンスター
かすったがトドメはさせなかった。 やはり視界が悪すぎる。
ずいぶん前に入ったりうらが心配だ。
モンスター
黄
微かに見えるが正確な形が分からない。向こうの呼吸の音とモンスター独特の匂いで判断するしかない。
黄
黄
モンスター
黄
ピィィィィィィッ
黄
初兎の指笛だ。 外の光が届かないほど空間が隔たれているのに、よく響いている。
黄
黄
目の前の景色が一瞬で移り変わる。 転移魔法陣でも張られていたのか、本当にまったく別の場所のようだ。
水
桃
聞きなれた声の方へ視線を向けると、へっぴり腰のまま抱きついているほとけと俺と同じく辺りを見渡しているないこが居た。
黄
水
まるでタックルするかのように抱きつかれる。
水
黄
水
黄
水
水
水
水
桃
水
ほとけの大声に他のメンバーも気づいたようだ。 向こうから3人がやってきた。
赤
紫
青
水
今度は初兎に抱きつきに行った。 ないこ以外なら誰でもいいらしい()
桃
黄
黄
桃
まだムスッとしている。 怒っているというよりは「冷たい」と言われたことに傷ついいてる?
彼はたまに変なところでヘコむ癖がある。
青
赤
黄
桃
矛先が俺に向きそうで怖いのでこれ以上口は挟まないでおこう。 しかしずっとこのままなのはどうしたものか。先が思いやられる。
青
桃
青
青
桃
桃
青
桃
桃
青
桃
赤
黄
よっぽど嬉しいらしい。 というかまろはないこの機嫌取りが上手い。見習いたい限りだ。
紫
黄
赤
紫
水
紫
ヒュゥゥッ
黄
桃
近くの木がなぜか真っ二つに割れて倒れてきた。 ほとけの真上だ。
水
紫
紫
ほとけを抱えたまま地面を蹴って後ろに体をひねる。
後ろの地面にはかなり大きい亀裂が入っている。もはや崖に近い。
黄
紫
紫
紫
なんとか壁に手をひっかけたものの、1人を抱えたまま耐えるのは難しい。 だんだん暗闇に飲まれていく。
下の方から反響した「まかせたで」という声が聞こえてきた後、静寂があたりをつつんだ。
赤
黄
桃
ないこが俺の腕を掴む。 その力は強かった。絶対に行かせてくれなさそうだ。
桃
赤
桃
青
赤
青
青
青
黄
青
青
青
桃
赤
青
黄
黄
元々計画では初兎とほとけはペアだった。最初の口のステージが例外なだけだ。 このままボス部屋の手前あたりで合流できれば計画にズレは無い。
それはきっと向こうも分かっている。
黄
青
桃
黄
赤
初兎ちゃんとほとけっちが居ないと、なんだか不安になってくる。 パーティー内の雰囲気も硬い。
みんな真面目な顔してるし....いつもは平気なのに緊張する。
もし今怪我したら? この4人がバラバラになったら? 計画にズレができたとき、初兎ちゃんたちに伝える術はあるの?
青
赤
桃
黄
青
赤
青
赤
そういえば初めて会った頃、まろの顔怖かったんだよなぁ。 背高いし笑わないしほとけっちと喋る度もめてるし。でも泊めさせてもらってたから嫌でも顔合わすし。
今はメンバーのこと少しは理解できてるから、どんな気持ちなのかもわかる。
この状況もそこまで心配することじゃないのかもな。
赤
青
赤
The宝箱みたいな形の箱がツタに隠されるようにして鎮座していた。 本当にあるんだな。
黄
青
赤
桃
ないくんがナイフで手際よくツタを切っていく。 宝箱はだいぶ古びてる感じだけど、金の部分の輝きは失われておらず高級感がある。
赤
3...2......1!
パカッ
モンスター
赤
青
黄
桃
中には隙間も見えないくらいの虫型のモンスターがびっしり詰まっていた。 キモイ。ほんと見た目キモイ。
赤
ガコンッッ(閉める
赤
桃
青
ギィッ.....(勝手に開く
黄
赤
桃
青
まろの呪文と共にボウッと音を立てて宝箱ごと燃え始める。 ファイアボールの勢いじゃないよこれ。
てかまろのあんなに必死な『ファイアボール』初めて聞いたな。
青
黄
桃
青
赤
桃
黄
なにこの.....微妙な空気......
赤
黄
青
勇者パーティーが次に進んだのは「音の部屋」ってところ。 ちなに名前はりうらたちが勝手に付けた。さっきのは「口の部屋」って感じ。
このダンジョンは全ての部屋を攻略しないといけないらしい。 なので手分けをしてそれぞれの部屋を攻略しにいくのが今回の計画だ。
「音の部屋」はアニキと俺の担当だけど、ないふも途中まで着いてきてくれるみたい。
桃
青
赤
黄
赤
赤
さっきのコピーみたいな宝箱が前方に見えた。 意外とたくさん見つかるのだな。
青
桃
赤
赤
好奇心は抑えられない。 なんだかんだ乗ってくれそうなアニキを誘う。
黄
ないくんとまろの方をチラチラ見て気にしている。
赤
赤
グラッ
赤
足元がグラつく。 顔の向きを変えた後見えたのは、さっき初兎ちゃんたちが落ちたような亀裂。
今までちゃんと避けてたのに。 注意不足だ。
赤
黄
赤
黄
俺の右手を力強く握る。が、なんせダンジョンなので足元が悪い。 勢いのままアニキまで落ちてくる。
桃
赤
桃
青
さすがにその体勢で2人を引っ張るのは無理でしょ。 そっちが落ちるじゃん。
アニキだけならまだ助かる.....?
赤
赤
黄
黄
桃
青
赤
離そうとしてもう一度強く握られた右手はアニキと離れた。
同時にみんな上から落ちてくる。
赤
ガシッ
黄
アニキに背中から抱えるようにして固定された。
黄
赤
黄
赤
青
桃
すごい....視界が回ってよく分からなかったけど、抱えてくれていたアニキが受け身を取ったおかげで衝撃だけで済んだ。
桃
青
黄
黄
下に落ちたのか転移魔法でどこかへ飛ばされたのか分からないが、先程と雰囲気がだいぶ違う。
壁にあるのは....ベル? まさにトランペットとか、ホルンとか、管楽器が壁に刺さっているようだ。 大きさは通常のものとは桁違いだけど。
赤
赤
あの亀裂は俺らが探している部屋に繋がっているのかもしれない。 初兎ちゃんたちの落ちたところもそうだといいけれど....
青
桃
青
赤
俺たち今、普通に喋って__
赤
黄
黄
赤
赤
赤
黄
『俺らの居場所を感知したときに飛んでくる攻撃が、想像以上のものかもしれない』
ヒュンッ__
桃
赤
赤
命中するのは避けたけど、気づくのが遅かった。腕がやられた。 刃物のような切れ味の棘だ。あんなのが体に刺さったらすべて終わる。
それが物凄いスピードで飛んできた。 その上、ズレのない正確な位置を音で感知されている。
黄
桃
今度はないくんに攻撃が飛んできた。 防ぐより先に飛び退いたのは、彼でもそのスピードを殺すことができないからだろう。
赤
4人は厳しい。当初の予定通りこの部屋は2人が限界のようだ。
赤
赤
口を開くのはこれが最後だ。 飛んでくる攻撃を避けながらとにかく前を目指す。
黄
アニキの足音も聞こえる。 それが少し心強かった。
〈 このベルに入ろう!!
〈 はぁっ!?どう見てもそこが出口なわけないやろ!!
〈 じゃあ逆に聞くけど他にどこなの!
〈 ここはふたりに任せよう。入るよ
〈 あぁもうっ__
後ろの会話を聞く限り、2人もなんとかこの部屋を出れそうだ。 この後スムーズに合流できればいいな。
この部屋の攻略方法はおそらくここをずっと進んだ先にあるであろう大きなベルから外へ出ること。 こちらからの攻撃はいらないらしい。
赤
黄
赤
飛んでくる攻撃をアニキに覆い被さるようにして2人で倒れ込んでかわす。
赤
少しの声、少しの足音でも聞き取られてしまう。相手も口パクで「すまん」と返してきた。
この部屋を舐めてはいけない。気を張りつめなければ死んでしまいそうだ。
赤
いつもの2分の1ほどの速さで歩いているので当たり前だ。 しかしそのおかげで攻撃は一度も飛んできていない。
トントンッ(肩
赤
黄
アニキが指さす先には物陰に隠れるようにして辺りを見渡しているゴブリンが居た。
今飛びかかってこられたらかなり困る。 さっきまでモンスターなんか居なかったのに、迷い込んだのだろうか。
モンスター
赤
やばい。目が合った。
モンスター
赤
こちらへ突っ込んできたゴブリンを避け、その流れのまま上から仕留めた。
ゴブリンの攻撃に当たらなかったからいいものの、突っ込んでくるときに叫ばしてしまった。 魔法を発動したことで自身の息も上がっている。
赤
グルンッ
赤
いきなり視界が回る。 滑ったとかじゃない。後ろからホールドされて回された。
強く塞いだつもりの口から不意に小さな声が漏れると共に、後ろから掠れたうめき声が聞こえた。
黄
赤
血のにじむ腹部を苦しそうに押さえているアニキが、その姿を見て叫びそうになった俺の口を塞いだ。
恐れていた事態。 白魔が居ないのに、この後すぐに合流できるかもたしかではないのに、致命傷ともいえるほどの傷を負っている。
どんどん赤く染っていく彼の服。 ただの傷じゃない。なにか処置しないと止まらない、大量出血。
赤
赤
黄
「喋るな」という意味だろう。 なぜ彼はそんなに冷静なのか。痛みにそれほど耐えれるのか。
なぜそんなにも悲しそうな笑顔をしているのか。
シェイラ
シェイラ
フラッシュバックするあの記憶。
目の前の彼の姿が、その笑顔が、血まみれの恩人と重なって仕方なかった。
赤
死んでしまう。 大切な人が、また目の前で。 りうらの力不足で。
黄
赤
ギュ...ッ(引き寄せる
抱きしめても意味が無いのに、必死に温もりを感じようとする自分がいる。
これ以上失いたくない。
赤
続け
コメント
7件
うわぁぁフラッシュバックってシェイラさんのことか悲しい、、 黒さんどうか無事でいて😭 続き楽しみにしてます!
はぁ、はぁ、はぁ、やばぃ、過呼吸で○にそう…がんばれぇ……
シェイラさん……ここからどうなっちゃうのか、これからの展開が楽しみです! 私も明日から学校だ…あぁ夏休みぃ…😭