爽やかな春風が吹き
小鳥のさえずりが鳴き渡り
桜の雨が降る頃
人々の顔は晴れている気がする
でも 14歳のおなご
というのはそう単純ではなくて
毎日 雨雲が差し掛かっている
もう、なにがなんだか
朝8時に起きて
ベランダで春の匂いを感じる
それだけで昔は幸せだったのに
今は物足りない
お気に入りの椅子に座って
お気に入りのペンで
物を語る
でも、何故だか思い通りなものでなくて
クシャッ
と、丸くしてしまう
本当なら
春は、希望に溢れたはず
と、今日もまた溜息をつく
思春期というのは面倒くさいものだ
そのうち周りでさえも嫌いになる
友達も
家族も
ああ、もう
なにがなんだか。
人が嫌いだ
この世界も
好きだった、自然さえも
一番嫌いなのは
私だったのかもね
でも、春のある日のこと
静かだったスマートフォンが 久しぶりに振動した
嫌々メールを見ると 一瞬だけ
時 が 止 ま る
佐々木
くん
?
!
いつもは散々人の嫌味を言っておいて
こういう時だけ素直になれない
爽やかな風も
上っ面な友達も
大っ嫌い、だけど
君のお陰で
春の愁いは
案外、嫌いじゃない
かもね。
コメント
34件
初コメ失礼します! 短い話の中で変わっていくものがあって、なんて言うか…すごい尊敬しました! 今、より良い作品作りのために色んな作家様の作品を読み漁っていたんですが、すごくこの作品は心に残るものがありました。。。素晴らしい…の一言ですね
主人公の素直な気持ちがしっかり表現されていてとっても素敵な作品でした✨✨短編なのに凄いなと思いました…!初コメ失礼します!m(*_ _)m
本当に短いのに主人公の気持ちがよく表されており… 今回も素晴らしい作品でした👏