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聖なる夜、君と2人で【完結】

聖なる夜、君と2人で【完結】

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【特別編】present for You

♥

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2023年05月03日

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へいへーい! バトエンが欲しいそうじゃないか!((

注意 めっちゃバトエン

この連載で使ってたアイコンじゃないけど許してね!

コメントくれた方、遅くなってごめんなさい!!( ;´꒳`;)

2023/05/3投稿

.˚⊹⁺‧ 特別編 ‧⁺ ⊹˚.

「present for You」

チャキッ

ん...なにこれ

手に冷たい鉄の感覚。

拾い上げてみると、右手にキラキラ輝くそれは少し曲がった釘だった。

釘....!

板があって...釘があって......

いふくんに伝える手段ができた....!!

結局こういうのも運なんだな、とか思う。

よーし....っ!

このときの僕は...まだ知らない。

今釘を拾ったその手が、 世界で1番嫌いなものになることを

ゲホッ....埃っぽいな...

ほとけのものであろう伝言板が手に3枚。

なかなか合流できない。

(やっぱほとけも手こずってるんかな....)

そもそも昔、俺とノアは「普通の道」から出られないからあの通り道を作ったのだ。 そりゃ普通に逃げるのはほぼ不可能。

でもほとけなら...

.....きっと

俺の異常なほどのほとけへの信頼は、俺自身が1番びっくりしてる。

「あいつならやってくれる」

これは1種の依存なのかもしれない。 出会った時から、「普通」となにか違う雰囲気が漂ってた。

「いふく〜ん!!」

信じざるを得ないなにかの原石が、 そこにあったから。

はぁっはぁっ

ふぃ....っ

全部景色が同じなせいでいちいち地図を見ないとどこを走ってるか忘れてしまう。

(頭に全部地図が入ってたらなぁ..)

なんてできるわけないか。

さっきの子!

テイニィ

あ....さっきの人

奥の方に座りながら少し驚いた顔で僕を見つめてくる。 僕もしかして1周したのかな....?

ねぇ、青い人見なかった?

黒パーカー着てる....

テイニィ

青い.....?いふのこと?

ん...?なんで名前を....

テイニィ

2人とも仲間なの?

うん

テイニィ

君がくる少し前までこの牢獄に入ってたよ

どうやら1回捕まってたらしい。 どうやって出たのかは知らないけど... この子に手伝ってもらったのかも。

出てからこの前通らなかった?

テイニィ

いや...多分見てないy....

中を見て思い出していた目の前の顔が凍りついた

どうしたn

ガタタッ

ッ!?

後ろからは木箱が動く音。 とっさに振り向いた時にはもう遅かった。

警備員

追い詰めたぞ!

.....っ

敵だ

警備員

お前...黒パーカーと仲間だったのか

っ...!

1番聞かれたくないことを聞かれた。僕が捕まってもいふくんが出れるかもしれなかったのに。

警備員

ても残念だな

え?

カツッ、カランッ

汚れた大人の顔で何かを蹴る。 僕の足元まで転がってきたのはナイフだった。

警備員

黒パーカーが持っていた

なッ.....!?

いふくんが準備してたものかも しれないナイフ。 それをなぜか目の前の奴が持ってる。

なんで?

.....会ったの?スッ(ナイフを拾う

お前は....っ

僕の大切な人に何をしたの!!?

いふくんいふくんいふくん

泣きそうだよ。助けてよ。 どうか無事で居て。

どうか無事で.....

警備員

殺されたよ

...!

警備員

ニヤッ

警備員

あまりにも逃げ回るから。

警備員

だからお前も....

.....ぅ"ッ

うそ..だッ....ぜったい......グスッ

いふくん"はそんなじゃ....っ

警備員

ふはw仲間殺されて泣いてるのかw

警備員

友情か?

警備員

大丈夫だ。お前は殺さずに....

気持ち悪い。

初対面だけど大っ嫌い

その顔が

その嘲笑う顔が...!!!

....涙枯れちゃった

警備員

は?

人殺して笑ってる奴に友情なんか語られたくない

僕の目見て。今真っ黒でしょ。

警備員

なにを...

見つめてみて

ほら

水色の目を黒に変えるほど怒らせたの

警備員

...

嫌な目。自分から挑発しておいて、 今は震えてる。

お願い。

警備員

ビクッ

死んで.....っっ

ビュオンッ(ナイフ

あーあ....もうなんでもいいや

いふくんに会えないんだし....

ほとけッ!!

え?

いふ...くん......?

嘘..だ.....

僕....いふくんを......

ゴホッ....

刺した?

いふくん!!!

ほとけ....っ

なんで?なんでいふくんが...っ??

頭の中がぐるぐる回る。 黒い目が揺らぐ。

静かにっ...

人差し指で言葉を遮られる

人殺しは...ッ、お前に向いてない...から....っ

一旦頭冷やせ....っ!

飛ばしたナイフの辺りの服を握るいふくん。その左手は血まみれだ。

いふくんッ!いふくん!!

やだ!!死なないで!!いふくん!!!

〜〜っ.....

ガバッ

っ!!

いきなり起き上がって僕の両肩を掴む

苦しそうな顔が目の前に来た

お"まえっ....こいつ刺しとったらどうするつもりやった....っ?

警備員

っ!

後ろの警備員を親指で示す

殺す気で投げたんか?

....うん..

....

今はお前の頬叩く余裕も気力もないんやけど....ゲホッ

....っ

顔を見られたくなくて俯く

おれはほとけを人殺しにするためにこの計画に乗ったわけやないんや....

ただ母さんの確認するだけ

お前の未来を潰すつもりはない...

でも...っ、庇ったらいふくんがッ....さぁ...っ

....っ

なぁ

んっ

涙を拭われる。 顔を上げると、優しいいふくんの顔があった。

プレゼント、、いる?

プレゼント.....?

クリスマスプレゼント

え....?

はい、

いふくんが僕の手になにかを押し付けるようにして渡す

左手をゆっくり開く。 人形用のガラスのポットに小花が葉と共に数本閉じ込められていた。

ガラスポットの本当は開いているはずの部分はすこし不格好に閉じられ、 水がギリギリまで入っている

ハーバリウム.....?

いろいろ....集めて作ったやつ..

汚れてても綺麗やろ....?

涙で濡れた瞳は見開いても乾かない

いふくんが僕の肩に倒れてくる 互いの顔が見えない

やだ....いふくん....!

涙で世界がゆらぐ

はは.....お腹ドクドクいっとる.......

ごめん...っごめんなさっ....

ありが...と......な、?

泣く..なっ....て.......w

途切れ途切れのその言葉が痛い

ほ...ら.......

....ぁ"

僕の頭に手を置いたまま、いふくんの瞼は落ちた

首元にあった大切な人の温もりは、 僕の知らない所へ消え去ってしまった

テイニィ

やっほ

テイニィ

元気.....じゃ、ないよね...

...

水色の瞳を失った少年を自分は知っている

真っ黒な瞳は光を全て吸い込み、 ハイライトなんて無かった

テイニィ

生きてる?

...

テイニィ

...

この少年はある1人を追っている

大切な人だ

今までの人生の3分の2を牢屋で過ごしてきた自分にはわからないが、 死にたい気持ちを振り払ってその人のために生きるほど大切らしい

テイニィ

テイニィ

なに?

僕...死のうと思うんだけど....どう?

テイニィ

.....は?

寿命ってなかなかこないんだ

テイニィが僕が生きてた方がいふくんが喜ぶって言ったから生きてきたけど、正直もうよくわかんない

テイニィ

「わかんない」って...言われても.....っ

言っとかなきゃいけないと思ったのがテイニィだけだから...今日呼んだの

奴隷制度が無くなってから結構会ってたしね

テイニィ

...

君に人生を語れるほど 自分は偉くないし賢くない

ありがとう。今まで

さようなら

テイニィ

...っ

黒い瞳の少年の足取りは、来た時よりも軽かった

「あぁ....ホントに死ぬ気なんだ」

誰もがそう思えるほどに

...

ガラッ

4階の自室の窓を開け放つ

この部屋もだいぶ散らかったと思う

自暴自棄になってた時期に荒らした 部屋を直す気にはなれなかったし

でももうバイバイ...

この体ともお別れだね

自分の体の中では右手が1番嫌い

人殺しの手

左手には思い出がある

いふくんからプレゼントを受け取った手

最後に触れた感覚も、頭に手を置かれた時の気持ちもすべて覚えてる

これだけは...持っててもいいよね(ギュッ

いふくんからもらったハーバリウム

大きな大人の手ですっぽり入るくらいの大きさだから、僕の手の大きさだったら隙間からゆらゆら中が見える

きっと頑張って集めたのだろう

人形用のポットも

それを溶かしてくっつけるマッチも

あの季節にはなかなかない咲いている花も

1からのいふくんが集めたもの

ゆらゆら光っているハーバリウムは、僕には似合わないくらい綺麗だ

ふぅぅ.......

ガタッ(窓の枠に立つ

「やな世界でも綺麗なものはある」

って言いたかったのかな

いふくんは自分の運命もこの世界も 受け入れてたのかな

っ....

ごめんねいふくん

僕はこんな世界、 好きになりたくないや。

ガタンッ

聖なる夜、君と2人で【完結】

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