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雪晶奏
やなと
おさでい
あなたの残り時間:23:41:12
授業中も、数字は減り続けている。
黒板の文字なんて、まるで頭に入ってこない。
スマホは机の中。
それでも、画面の赤い数字が見えている気がして、 胸の奥がずっとざわついていた。
らおらおは、消えた。
昨日の夜、通話が切れた直後から、連絡は一切つかない。
今朝、学校にも来ていなかった。
担任は、また同じ言い方をした。
先生
……嘘だ。
モブも、らおらおも。
二人とも、同じ通知を受け取っている。
そして、消えた。
偶然のはずがない。
俺は、休み時間、図書室に向かった。
この通知について、何か記録が残っていないか。
スマホで調べるのは怖い。
ルール違反になる可能性がある。
だから、紙の本と、過去の新聞記事。
手当たり次第に、ページをめくった。
そして――
見つけた。
三年前の、地方新聞。
小さな記事。
高校生3人、原因不明の連続失踪
写真。
……見覚えのある校舎。
俺の通っている学校だ。
記事を読む。
深夜0時、同時刻に3人が失踪。 直前、友人に“変な通知が来た”と話していたという証言あり
背筋が、ぞくりと冷えた。
さらに、二年前。
中学生2人、不可解な死亡
一年前。
会社員1人、不可解な事故死
共通点。
全員、失踪や死亡の直前に――
“謎の通知”の話をしていた。
やっぱりこれだ。
この通知は、少なくとも三年以上前から存在している。
そして、 逃げ切れた人間は、1人もいない。
喉が、ひくりと鳴る。
そのとき。
背後で、椅子がきしむ音がした。
おさでい
振り向くと、クラスメイトのおさでいが立っていた。
驚きで、心臓が跳ねる。
やなと
記事を隠そうとした、その瞬間。
おさでいの視線が、俺のスマホに向いた。
おさでい
声が、微かに震えている。
おさでい
全身の血が、冷たくなった。
――やばい。
話してはいけない。
ルール1。
口を開いた瞬間、俺の残り時間は“0”になる。
でも、おさでいの顔は、青ざめていた。
おさでい
小さな声。
おさでい
耳鳴りがする。
おさでい
俺は、言葉を失った。
おさでいの手も、震えている。
おさでい
その問いに、答えたくて仕方なかった。
でも、言えない
言えば、俺が死ぬ。
数秒の沈黙。
その間にも、数字は減り続ける。
あなたの残り時間:21:17:09
……ダメだ。
俺は、首を横に振った。
やなと
おさでいは、一瞬、傷ついたような顔をした。
でも、すぐに俯いた。
おさでい
それ以上、何も言わず図書室を出ていく。
罪悪感が、胸を締めつける。
でも、仕方がない。
生きるためには――
誰かを、切り捨てるしかない。
その瞬間。
スマホが、震えた。
新しい犠牲者が選ばれました
表示された名前。
やなと
心臓が、止まりそうになる。
俺は、知ってしまった。
“知った”というだけで、 次の犠牲者になる。
この通知は、
関わった人間全員を、逃がさない。
――残り時間、21時間。
俺は、生き残れるのか