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雪晶奏
やなと
おさでい
あなたの残り時間:20:43:21
おさでいの名前が表示された画面を、 俺は、しばらく動けずに見つめていた。
――助けなきゃ。
その思いだけが、頭の中を支配する。
でも、どうやって?
ルールは3つ。
話すな。 証拠を残すな。 逃げるな。
全部、塞がれている。
それでも。
何もしなければ、おさでいは――
やなと
俺は、必死に頭を回した。
これまでの犠牲者。
モブ。らおらお。
共通点は、“通知を受け取った”こと。
だったら――
もし、通知を受け取らなければ? スマホが、なければ?
俺は、衝動的に立ち上がった。
おさでいの家へ、行く。
それしか思いつかなかった。
放課後。
息を切らしながら、美咲の家の前に立つ。
インターホンを押すと、 少しして、ドアが開いた。
おさでい
驚いた顔のおさでい。
おさでい
やなと
自分でも、何を言ってるのかわからなかった。
やなと
おさでいは戸惑いながらも、 ポケットからスマホを取り出した。
俺は、それを受け取ると、 そのまま地面に叩きつけた。
――ガンッ!
乾いた音。
画面に無数のヒビ。
おさでい
やなと
俺は、さらに踏みつける。
完全に、動かなくなるまで。
息が荒くなる。
これで、通知は届かない。
これで、おさでいは助かる――
そう思った瞬間
おさでいのポケットから、 別の音が鳴った。
ブブッ
俺とおさでい、同時に固まる。
ゆっくりと、おさでいが取り出したのは。
……もう一台のスマホ。
おさでい
震える声。
画面には、はっきりと表示されていた。
通知が1件届いています
開いてはいけない。
やなと
逃げ道なんて、最初から無かった。
おさでい
おさでいの目に、涙が浮かぶ
おさでい
その言葉が、胸に突き刺さる。
言えない。
何も教えられない。
助けたくても、助けられない。
その時――
俺のスマホが、同時に震えた。
【特別ルール】 【他人の“残り時間”を引き取ることが可能】 【選択しますか?】
指が止まる。
…引き取る?
つまり、
おさでいの残り時間を、俺が背負う。
その分、俺の時間は減る。
いや。
ほぼゼロになる。
おさでいを見る。
泣きそうな顔。
震える指。
ここで、見捨てたら。
俺は、一生後悔する。
考える前に、指が動いていた。
YES
画面が、暗転する。
次の瞬間。
あなたの残り時間:00:10:00
……十分?
たった十分、
その代わりに。
おさでいのスマホには。
あなたの残り時間:72:00:00
おさでいは助かった。
でも、俺は、死ぬ。
十分後に。
心臓が激しく脈打つ。
残り時間。
09:59 09:58
――終わる。
その瞬間。
画面に、最後の通知。
【条件達成】 【あなたは“資格”を得ました】 【次の役割:通知の送信者】
やなと
全く意味が分からない。
視界が、ぐにゃりと歪む。 足元が、崩れる。
――倒れる直前。
スマホの画面に、 無数の名前が、表示された。
次の、犠牲者候補。
その中に。
俺自身の名前もあった。