おれは、あの日の悪夢を忘れない
あの日の後悔が
身体にこびりついた返り血のように
生温かさと、不快な肌触りを残して
いつまでも
いつまでも
あきら
お前、そういえばみほと仲良かったよな
かいせい
別に
あきら
そうか
あきら
よかった。
犯人捜しグループ
あきら
これから計画の説明をしようと思う
佐々木
きた
佐々木
ワクワクしてきたぜ
華那
うち、ドキドキして眠れなかった!
あきら
まず、あの殺人鬼についてだが、被害者は共通して女性が襲われている
佐々木
ああ、おれも聞いたことある
佐々木
そして包丁でメッタ刺しに...
華那
怖いよね
あきら
そして犯行現場は決まって被害者の家の寝室だ
あきら
ここで注目すべきは、
あきら
うちの大学の学生から被害者が相次いでいるということだ
華那
美穂ちゃんも可愛い後輩の1人だったのに
佐々木
おい華那!
佐々木
お前って奴は!
華那
ごめん、でも、凄く悲しくて!つい...
あきら
いいさ。それよりもうわかっただろ?
佐々木
一体何がだよ
華那
被害者がうちの大学の女子学生で、全員家の寝室で襲われたことしかまだわからないよ
あきら
そうさ。
あきら
だから、
あきら
お願いがあるんだ、華那
華那
なに?
あきら
君を囮にしたい。
華那
え
佐々木
嘘だろあきら!
あきら
本当だ
あきら
これ以外に方法はない。
佐々木
だからって..
佐々木
美穂ちゃんの二の前になりかねないぞ!
あきら
わかってる
佐々木
くそ!華那の気持ちも考えてみろよ!
あきら
別に、無理にとは言わないが
華那
華那
わたし、囮やるよ。
佐々木
本当にいいのか!華那
華那
うん。あきらくんのためなら...わたし..
佐々木
佐々木
そうだったのか....華那。
あきら
ありがとう
AM1:30
華那
ねえ、本当に寝たフリをして待っているだけでいいの?
あきら
そうだ、奴は必ず来る
佐々木
安心しろ華那!
佐々木
何かあったらすぐ駆けつけてやっから
華那
うん。信じてるよ
華那
でも、1つだけ分からないことがあるんだ
佐々木
なんだ?
華那
なんで
華那
今夜殺人鬼がわたしを狙うことがわかるの?
佐々木
そういえば
あきら
言っただろ、おれが独自に入手した奴の情報があるって
あきら
パターンがわかったんだよ、犯行のパターンが
佐々木
詳しく聞かせてくれ
あきら
どうせ今夜っきりのことだ
あきら
伝えても伝えなくても結果に影響はない
佐々木
そうか...
華那
守って
華那
くれるよね?
華那
あきら君
あきら
任せてくれ
あきら
同じ過ちは、繰り返さないよ。
華那
待って!
佐々木
どうした!華那!
華那
一階で物音がしたの..
佐々木
なんだって!
あきら
そこを動くな!
あきら
すぐに華那の家に向かうぞ!佐々木!
佐々木
ああ!
華那
もう無理よ
佐々木
は?
あきら
まさか
華那
毛布被ってるからよく分からないけど、吐息が聞こえるの
佐々木
どういうことだ!
華那
毛布の繊維の隙間から青白い光がぼんやり見える
あきら
急ぐぞ佐々木!
佐々木
警察はもう呼んだ!行くぞ!
華那
あ、青白い光が消えたみたい
10分後
佐々木
なんてことだ..くそ!
あきら
まだ諦めるべきじゃない!きっと殺人鬼は近くにいる!
あきら
華那の死は無駄にさせないぞ!
佐々木
ぜってぇー捕まえてやる
あきら
お前は駐車場を探せ!おれは部屋や一階に奴の痕跡があるかどうかを調べる
佐々木
おう
5分後
佐々木
わかったぞあきら!
あきら
何がわかったっていうんだ!
佐々木
青白い光の正体さ!
あきら
殺人鬼が目の前にいるのか!
佐々木
ああ、顔はよく見えねぇがやつで間違いねぇ!
あきら
一人で捕まえられそうか?
佐々木
やってみる
佐々木
おい待てまさか!
あきら
どうした!今警察と一緒にそっちに向かっている!逃すなよ!
5分後
あきら
残り、あと一人ってわけか..
今日はとても恐ろしい一日だった
一連の事件が終わった後ぼくは自宅のベッドに潜り込んだ
恐怖で眠れない
そう思っていた
けどそんなことはなかった
とても心地の良い眠りだった
きっと思っていた以上に疲れが溜まっていたんだろう
目がさめると僕は全てを忘れていた。そう、本当に大事なことすらも
いつも通りの朝
しかし
悪夢はまだ終わっていなかった。