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ソラ

もうすっかり春だなぁ...

彼女は外を眺めながらそう呟いた。

レイト

ああ、そうだな...

レイト

今年も...今年もアイツがやってきちまったのか...

彼はそう言った後溜息をついた。

ソラ

『アイツ』って?

レイト

花粉だよ!!

レイト

鼻かむだけで平気で30分経ってるんだぜ!?

レイト

マジで意味がわからん...

ソラ

色々大変そうだね...

レイト

ちょっと薬局に薬買いに行ってくる...

サクラ

...

ソラ

あ、サクラ何してるの?

サクラ

......

ソラ

...おーい!

サクラ

...あ、すみません、ちょっと考え事をしていました...

ハッとした表情で彼はそう言った。

ソラ

考え事って?

サクラ

それはですね...

5年前──

サクラ

...

...ここは、どこだろう...?

さっきまで真っ暗だったのが、急に作業部屋の様な所に...

クロノ

おや、お目覚めかい?

サクラ

えっと、貴方は一体...そしてここは...

クロノ

俺はクロノ。この『瑠璃の館』の館主さ!

サクラ

館、主...

サクラ

ええと、僕は...

クロノ

『サクラ』。

サクラ

...え?

クロノ

『サクラ』。それがお前の名前さ。

クロノ

なんてったって、お前の髪と目、

クロノ

綺麗な桜色をしているからな。
特注品なんだぜ。

クロノ

これでサクラと名付けない方が失礼だろ?

彼は微笑みながらそう言った。

『サクラ』...これが僕の名前らしい。

造られた工場を出るまでは『327』という番号で呼ばれていたからだろうか、少し慣れない...

クロノ

まぁいい、これからこの館を案内するよ。

サクラ

は、はい!

クロノ

それで、ここがリビングだ。

リビングの大窓に映るのは、大きな桜の木だった。

季節は丁度春だったから、桜の花は満開だった。 ひらひらと桜の花びらが舞っている。

サクラ

...

その綺麗さに、 その美しさに、 その儚さに、 僕は思わず見とれていた。

クロノ

...おーい!

サクラ

あ、す、すみません...

サクラ

あまりにも美しい、というか、
綺麗...いや儚いというか、

サクラ

とにかく、凄かったので、つい...

クロノ

おー、お前にもやっぱり分かるか!

クロノ

俺も結構気に入ってるんだよなー、これ!

サクラ

素敵ですね、この木...

クロノ

‪”‬アイツ‪”‬が褒めてただけあるなぁ...

サクラ

知り合いの方も褒めてたんですか?

クロノ

...あ、いや、さっきのは何でもないよ、忘れてくれ。

サクラ

...はい...

その事が少し引っかかるも、とりあえず今はあまり気にしない事にした。

それから、何年かの時が経ち...

ここはとても賑やかになった。

エルフの兄妹に、猫又に、白狼と龍に、天使、 それから記憶喪失の人間。

サクラ

...

サクラ

まぁ、色々な事があったなぁって思ってただけです。

ソラ

確か、サクラは最初からこの館に居たんだっけ?

ソラ

じゃあ、この桜の木と同じで色々な事を見てきたんだね!

サクラ

...

サクラ

...はい!

そう言うと、 庭の桜の木もそれに答えるように花びらが綺麗に舞った。

第5話 終わり

この作品はいかがでしたか?

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