あれは小学校最後の夏休みのことだった
最終日の前日、クラスメートの翔太から遊びの誘いがあった
いや、元クラスメート、か
翔太はその夏休みが始まる前、隣町の小学校に転校していったから
翔太
樹
樹
翔太
樹
翔太
まだだよ
翔太
樹
悠人と芽瑠も誘おうぜ
翔太
樹
母
樹
母
今度はあんたと同い年だって
樹
治安悪すぎ!
母
被害者みんな男の子なんだから
樹
樹
母
樹
あと少しだし
母
樹
行ってきまーす
芽瑠
悠人
樹、宿題終わったのか?
樹
明日には
芽瑠
悠人
樹
もう半分くらいは終わってるっつーの!
樹
芽瑠
学校離れちゃうとなかなか遊べないし
翔太
樹
悠人
顔色も悪いみたいだけど
翔太
樹
悠人
芽瑠
樹
翔太行きたいとこあるか?
翔太
樹
久しぶりにあれやるか
悠人
芽瑠、平気か?
芽瑠
芽瑠
樹
けってーい!
夕方
樹
悠人
芽瑠
ほんと単純バカ
樹
悠人
翔太
芽瑠
樹
悠人
芽瑠
翔太
悠人
翔太
芽瑠
かわいい
樹
悠人
翔太
樹
翔太
芽瑠
樹
悠人
そろそろ帰ろうとしたその時だった
辺りに漂う異様な臭いに気付いたのは
芽瑠
樹
悠人
翔太
悠人
道から少し外れた草むらを悠人が進んでいく
俺たち3人は怯えながらその後に続いた
一歩一歩進む度、異臭が濃くなっていく
やがて辿り着いた一本の大木の前
そこで俺たちが見つけたのは
子供の…たぶん俺たちと変わらない歳の子供の
腐乱した死体だった!
芽瑠
悠人
樹
普段は冷静な悠人ですら半ばパニックになっている
普段から別に冷静じゃない俺がパニックにならないわけがなく
気付けばその場から一目散に逃げ出していた
気付けば俺たちは学校の校庭にいた
全速力で裏山から降りてきたから、息が苦しい
樹
なんだったんだよ、あれ
悠人
芽瑠
芽瑠
翔太は!?
3人で顔を見合わす
校庭に翔太の姿はなかった
2人とも血の気が引いた顔をしていた
もちろん俺もだろうけど
樹
探さねえと!
悠人
悠人
悠人
悠人の言うとおりだった
ただ、行方不明という言葉に不吉なものを感じた
芽瑠
悠人
悠人
樹は念のために翔太のお母さんに連絡しといてくれ
樹
樹
翔太の母
樹
翔太の母
翔太の母
あなたたちには連絡しないとと思ってたんだけど
樹
翔太の母
翔太の母
樹
そんなはず…
悠人
樹
樹
芽瑠
芽瑠
悠人
悠人
樹
悠人
あの時、気が動転していたけどなんとなくは覚えている
樹
芽瑠
あと近くに赤い帽子落ちてたかも
悠人
悠人
樹
芽瑠
薄い色の
悠人
帽子は?
樹