どうして愛を知ってしまったんだろう

どうして，僕は誰かとずっと一緒にいることができないんだろう

どうして僕は何もできないんだろう

答えは簡単

僕が，ただの猫のぬいぐるみだから…。

どちらでもいいさ

どうせ僕は，話せないし。

出たよ

“ぬいぐるみだから”

そんな言葉が僕は1番嫌いだ

生きてる人にはわからないかもしれない

でも

“ぬいぐるみだから”

そんな言葉，好きになれる訳ないんだ

ぬいぐるみで生まれたくて生まれてきたわけじゃない

なのに

ぬいぐるみ差別を受けるんだ

酷いよ

僕なんて、生まれてこない方が良かったんだ

遊ばれるために，捨てられるために作られた僕は

1人で動くことだってできない

うるさいなぁ

ほっといてくれよ

話せないのにどうして優しいなんて思うんだよ

勝手なこと言わないでよ

お別れ？

覚えてて？

そんなの無理だ

何度も捨てられる僕に，覚えてろなんて，絶望出来ない話だ

寂しい訳ないだろ

あの子？

誰だ，あの子って。

どんな子なんだ

そんな小さなことを聞くことさえ，僕にはできないんだ

なんて虚しいんだろう

…まぁ別に，どうでもいいけどさ

もしも僕に口があったら，どんな感じなのかな

もしも…

もしも僕が人間だったら

どんな感じなのかな

次の日

僕は知らないところへ連れて行かれた

あぁ

やっぱり僕はただのぬいぐるみなんだ

僕は，人間じゃないんだ

僕の持ち主が，また変わるんだな

今度はいつ，手放されるかな