あれから数週間
しばらくあの子は来ていない
最近は来る頻度が減っていて
ちょっと寂しいと感じるようになった
時々あの子が来ると嬉しくなって
話していると自然と笑顔になれる気がした
未来のことは教えてもらえないから
私が一方的に話してばかりいるけど
あの子はいつも耳を傾けてくれて
優しい笑顔で応えてくれた
波瑠
愛紗
波瑠
愛紗
波瑠
あの後、波瑠からの連絡はなく
私もわざと連絡をしなかった
これ以上、話をしても平行線になるだけ
恭也さんとは別れる
これはもう決めたことで
今後、波瑠が何を言ってきても
この気持ちが変わることはない
愛紗
恭也さんに会ってちゃんと伝える
もう付き合うことはできない
まだ完全に気持ちが冷めたわけじゃないけど
こんなにも辛くて苦しい思いはもうしたくない
だから……
私は……
愛紗
愛紗
愛紗
愛紗
一方的に送ったメッセージ
しばらくして既読になって
返事が送られてきた
恭也
恭也
愛紗
愛紗
少し驚いたけど
会いに行くことに決めた
急いで着替えてメイクをする
恭也さんにかわいいって思われたくて
これまでずっと頑張ってきた
波瑠と一緒に買った新色のリップ
それまでメイクなんてしたことのなかった私に
波瑠が色々と教えてくれた
そんなメイクも今日で最後
電車に揺られあの日と同じカフェに向かう
この日も雨が降っていた
私が何かを決意するといつも太陽が隠れてしまう
緊張で胸の鼓動が早くなる
愛紗
愛紗
明日夢
明日夢
明日夢
あの子の顔が浮かんで
ほんの少しだけ落ち着いた
恭也
愛紗
恭也さんは既に飲み物を頼んでいた
私の分も勝手に……
愛紗
恭也
私の苦手なアイスティー
せめてアイス烏龍茶かジュースにして欲しかった
愛紗
愛紗
恭也
私はそんなことをお願いした覚えはない
前から紅茶は苦手だと伝えていたはずなのに
コーヒーが似合わないってどう言うこと?
愛紗
恭也
七ヶ月前
恭也さんから告白されてお付き合いをスタートさせた
あの頃は何もかもが嬉しくて
恭也さんの言動の全てを幸せだと感じていたけど
今は不快にしか思えない
こんな人のために苦手な紅茶を克服する気にはなれない
愛紗
愛紗
恭也
愛紗
私の言葉を遮るように
恭也さんが語り始める
恭也
愛紗
数ヶ月前の私なら動揺したかもしれないけれど
自分でも驚くほど頭の中は冷めていて
恭也さんの言葉がまるで他人事のように思えた
愛紗
一応それらしく聞いてみる
恭也
恭也
愛紗
ここで気づいた
恭也
あの時の言葉の意味
もしかしたら……
あの時にはもう……
愛紗
愛紗
恭也
愛紗
恭也さんの言葉に血の気が引いていく
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